DXはなぜ必要?アフターコロナ・WithコロナとDXへの取り組み方
新型コロナは企業活動へも大きな影響を与えました。コロナ禍で業務を継続させるポイントとなったのはデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応です。それは社会的な経済活動はもちろん、企業内の業務フローにも課題を残しました。
このような情勢の中「今後、どのようにDXへ取り組めばよいのだろう」と不安に思う担当者もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、DXの必要性やDX導入が失敗する原因にも触れながら、アフターコロナ・Withコロナに対応するためのDXへの取り組み方について紹介します。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)の意味とは
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念のことを指します。
アナログとデジタルを融合し、自動化や生産性向上などをとおして、労力を削減しつつ成果を上げやすくする活動のことだといえます。
現在はMAやCRM、SFAといった優れたITツールがあり、それらをうまく活用できれば、以前では想像もできなかったような生産性の向上や、イノベーションをおこすことも可能です。
なお、DXの詳細や推進方法については、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
DXはなぜ必要?理由2つを解説
DXが必要な理由は以下2つです。
- 既存の仕組みの維持費高額化(2025年の崖)などのリスクがある
- 生産性向上や市場で有利になれるといったメリットがある
ここから、リスクとメリットについて要素を分解して解説していきます。
DXをしないで発生するリスク3つ
DXを導入しないままでいると、以下3つのリスクが発生します。
DXしないリスク①既存システムの保守費が高額になる(2025年の崖)
既存システムの保守費が高額になるのは、総務省も指摘する事実です。
具体的には「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」というレポートで指摘されています。内容は、既存システムは変化していく状況に合わせて更新して複雑にならざるを得えない一方で、古い技術を扱える人間は減っていくというものです。
2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性
経済産業省の「DXレポート」
引用元:経済産業省の「DXレポート」
ちなみに、コロナ禍を受けてレポートの第2段も発表されています。理由は、コロナ禍をきっかけにDXに取り組んでいた企業と取り組まなかった企業で業績に大きな差が生まれ、取り組み始める企業と未だ取り組まない企業の二極化も進んでいるからです。
各企業が活用している自社のシステムは、長年にわたる機能追加などのメンテナンスによって複雑化し、ブラックボックス化しています。業務やシステムを熟知している人材の高齢化は人手不足や技術不足を生んでいますし、レガシーシステムを維持するためのコストもかかっているのです。
例えば、2015年時点で「21年以上利用している基幹システム」は2割程度でした。しかし、2025年にはそれが6割に達すると予測されています。このままでは、既存システムが徐々に老朽化し企業自体が新しい時代に対応できません。約8割の企業が未だレガシーシステムを抱えているという調査結果も出ている昨今、DXは多くの企業にとって自分ごとなわけです。
引用元:経済産業省の「DXレポート」
DXについては、今後のアフターコロナ・Withコロナへの備えだけではなく「2025年の崖」を視野に入れた抜本的な対策が今すぐに必要なのです。
DXしないリスク②市場の変化に対応できず倒産リスクが高まる
市場の変化に対応できずに倒産リスクを高めてしまうのも、DXに取り組まない場合のデメリットです。
なぜなら、国内外のあらゆる業界でDXは確実に進み、社会の需要と消費行動に変化を起こすからです。そして、市場の変化はすでにおきています。
たとえば、不動産を持たずに宿泊業界で成功を収めたAirbnbや、自らはなんのコンテンツも作らずに最大のSNSとして多額の広告費をかせぐFacebookを見れば、市場の変化がわかることでしょう。
特にコロナ禍以降は、ニューノーマルとして市場の変化が顕著におこっているのが実情です。実際、DXに取り組んでいたユニクロやニトリといった企業はのきなみ好調な業績をあげています。ニューノーマルでおこる市場の変化について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
DXしないリスク③データの喪失やブラックボックス化
先に紹介した既存システムの保守高額化とも関連しますが、DXをしないとデータの喪失やブラックボックス化という、自社の財産を失うリスクも出てきます。
生産年齢人口の減少やIT人材の不足が指摘されている国内では、既存システム全体を把握できる人材を確保できない可能性が出てくるためです。
特に、古いシステムをクラウド化することもなく使っているなら要注意といえるでしょう。事故や災害時にデータが損失し、古いシステムなために、データの復旧ができない可能性があります。
貴重な財産である企業データを守るためにも、DXに取り組むべきです。
なお、営業ラボでは、DXの導入・定着を目指す方に向けた無料資料を配布しています。
DX先進国であるアメリカと比較した日本の現状に加え、進める上での注意点や設定すべき数値などといったより実践的なDXの定着・導入のポイントについても解説しています。以下のバナーからダウンロードいただけますので、是非ご参照ください。
DXをして得られるメリット3つ
DX導入に取り組む代表的なメリットは、以下の3つです。
DXのメリット①業務の生産性と利益率が上がる
デジタルレイバー(仮想労働者)と呼ばれるRPAなどからもイメージできるように、DXを導入すると業務の生産性が向上します。
また、ビジネスの利益率の向上にも期待できます。
生産規模が倍増すれば、生産効率性が向上して生産量も倍増するという、収益逓増の法則があるからです。
歴史をひもとくと、収益逓増を実現してきたのは進化した技術と、それによる産業革命です。
今の時代においてはDXがこれに該当するでしょう。
DXのメリット②消費行動の変化に対応したビジネスがつながる
消費行動の変化に対応したビジネスにつながるのもDXに取り組むメリットです。
今後、売れる商品を開発するにはDXへの対応は欠かすことができないでしょう。
DXで活用するAIや5Gなどのデジタル技術は、消費行動を大きく変え、変わっていく消費行動に対応するには自ずとDXに対応した商品が必要だからです。
そして、顧客の需要を満たす新たな商品を用意できれば、一気に大きなビジネスになる可能性があります。
DXとブルーオーシャン戦略などを組み合わせて、ぜひ何かできないか考えてみてください。
DXのメリット③BCP(事業継続計画)の充実につながる
新型コロナの流行中でもBCPを実行に移して増益した企業はあり、DXに取り組んでいたかが明暗を分けたと日経新聞などで報道されています。
参考:日経新聞より
単純に扱う商材が巣ごもり消費と相性が良かった企業以外も、増益を果たしているのがポイントです。
たとえば、家具販売のニトリや日本マクドナルドは、ネット販売システムの強化で、コロナ禍の最中に最高益を更新しています。また、ナイキもネット注文の改善で増益、米ウォルト・ディズニーやウォルマートもネット販売や動画配信事業で、本来メインだった集客を補っています。
今後も企業は、BCPが必要になる災害などは確実にくるので、ライバル企業に差をつける機会にするためにも、ぜひDXに取り組んでください。
コロナ禍の対応がスムーズに行えたDXの事例
それでは、コロナ禍でもスムーズに対応できたデジタルトランスフォーメーション(DX)の具体的な事例を見ていきましょう。
これらの事例は、今後のアフターコロナ・Withコロナに向けた準備に役立ちます。
Web会議システムのスムーズな導入
コロナ禍でよく見聞きしたサービスは「Zoom」や「Skype」ではないでしょうか。
ZoomやSkypeはWeb会議システム(Skypeはビデオチャットシステム)で、テレワークへ移行すると決定したとき多くの企業が導入したシステムです。
これは、アフターコロナ・Withコロナのみならず、それ以降の企業活動でも使い続けられるシステムになるでしょう。
人が集まることなく会議を開催できるICTを利用したWeb会議は、まさにDXの必要性を象徴するようなサービスだと言えます。
営業支援システムを含めたクラウドの導入
また、クラウドストレージや営業支援システムは、遠隔地からのデータアクセスに最適です。
オフィスに集まれない状況でも、社内のデータやシステムにアクセスすることで、テレワークを円滑に進められます。
その他にも、以下の記事にてアフターコロナで営業成績を上げた事例を多数紹介しています。
特に、営業部を統括する立場の方はぜひご覧ください。
また、SFAを用いた業務改善の施策の一つとして、「業務の外注化=アウトソーシング」があります。アフターコロナにおいては特にテレワークとの相性も良く、近年になって多くの企業が導入しています。以下の資料にアウトソーシングの概要から、CRM/SFAを用いたアフターフォローまで詳細を記載いたしました。業務の生産性向上の一案としてぜひご検討ください。
アフターコロナで加速するデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが企業の将来を左右する
デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みは、企業の将来を左右します。
それは、アフターコロナ・Withコロナのためだけではなく、「2025年の崖」を乗り越える企業としての取り組みなのです。
DXに取り組むときは、全社的にDXの根本を理解し、レガシーシステムの刷新を積極的に行うことが大切です。