顧客とは?営業・マーケティングにおける定義や分類方法を解説!
営業・マーケティングにおける「顧客」とは、すでに自社と取引がある個人や企業のことです。この記事では、顧客の定義や分類方法、効果的な施策などを紹介します。「取引先」や「クライアント」など、似た言葉との違いも見ていきましょう。
営業やマーケティングにおける「顧客」とは?
営業やマーケティングにおける「顧客」とは、すでに自社と取引があり、商品やサービスを購入した経験がある個人や法人のことです。
また、「顧客」は社内で使う言葉であることも特徴の一つです。特に、営業やマーケティング部門では「顧客」という言葉を使うことが多く、カスタマーサービス部門では「お客様」が用いられます。
顧客と「お客」の違い
「お客」または「お客様」は、顧客と同じ意味です。
ただし、「顧客」や「お客」は、お客様本人の前では使わないので注意しましょう。たとえば、「顧客がお探しの商品はこちらです」のような使い方はしません。この場合は、「お客様」が適切です。
「お客」は相手に対して失礼なので、社内でも使わないほうがよいでしょう。
顧客と「クライアント」の違い
「クライアント」は、「取引先」もしくは「顧客」とほぼ同義ですが、「依頼人」というニュアンスが強くなります。そのため、BtoBでよく用いられます。
特定の取引先を「クライアント」と呼ぶケースが多く、不特定多数の取引先やお客様を指す場合は「顧客」を用いるのが一般的です。
顧客と「取引先」の違い
「取引先」には、さまざまな意味があります。たとえば、製造業の場合、次のような相手はすべて「取引先」と呼ぶことができます。
- 商品を購入した企業
- 部品のメーカー
- 製造した商品の卸先
- 商品を取り扱っているサプライチェーン
- 実際に商品を販売している小売店
ビジネス上のつながりがある企業のことを「取引先」と呼び、取引相手が一般消費者の場合は、「顧客」と呼ぶことが多いでしょう。ただし、言葉の定義は業界や企業によっても異なります。
重要な取引先は、「主要取引先」と呼んで区別することもあります。
顧客の種類
営業・マーケティングの現場では、顧客を次のように分類して戦略を立てます。それぞれの言葉の定義を覚えておきましょう。
潜在顧客
潜在顧客とは、自社の商品を認知しておらず、購入したこともない個人や企業のことです。商品を認知しているものの、購入を検討するような段階に達していない消費者も、潜在顧客に含まれることがあります。
顧客の中で最も数が多い層になるため、この層の消費者や企業を、いかに次のステップに引き上げるかは、営業・マーケティング活動において重要なポイントです。
見込み顧客
見込み顧客とは、自社の商品を認知しており、購入を検討している段階の個人や企業のことです。購入する「見込み」があることから、見込み顧客と呼ばれています。
たとえば、自社のメルマガを購読していたり、ECサイトに会員登録だけをしていたりする層が、見込み顧客にあたります。
潜在顧客よりも一歩先の段階に進んだ状態のため、具体的なキッカケがあれば購入にいたる可能性があります。
新規顧客
新規顧客とは、自社の商品をはじめて購入した個人や企業のことです。商品を購入するステップに進んでいることから、潜在顧客・見込み顧客とは状況が大きく異なります。
新規顧客の数を増やすことは、営業・マーケティングにおいて重要な課題です。しかし、新規顧客ばかりに目を向けていても、思うように顧客は増えないでしょう。
新規顧客を増やすには、潜在顧客から見込み顧客、見込み顧客から新規顧客へとステップを踏んで引き上げるような施策が必要になります。
既存顧客
既存顧客とは、回数に関わらず自社の商品を購入したことがある個人や企業のことです。
新規顧客は、自社と新たにつながりができた顧客のことで、既存顧客は、すでに取引がある顧客というニュアンスになります。
リピーター
リピーターとは、自社の商品を繰り返し購入してくれる顧客のことです。
「売上の8割は2割の優良顧客が生み出している」という「パレートの法則」にあるように、リピーターが多い企業ほど売上が安定します。
新規顧客の開拓に比べて、営業・マーケティングの労力も少なくなることから、リピーターの育成を最終的なビジネスの目標に設定しているケースも多いでしょう。
ただし、リピーターの育成には時間がかかります。また、近年増えているサブスクリプションのようなサービスは単価が低いため、ほかに魅力的なサービスがあれば、すぐに顧客が流れてしまいます。
リピーターを獲得したら、以後はそれを維持し続けるための施策を打たなければなりません。
【種類別】顧客への営業方法
顧客への営業は、「潜在顧客」、「見込み顧客」のような段階に応じて、適切な手法を用いる必要があります。具体的な営業方法の例を見ていきましょう。
潜在顧客への営業方法
潜在顧客に対しては、まず自社の商品やブランドを知ってもらう必要があります。
潜在顧客は、基本的に自社のWebサイトを訪れることはないため、広告などを通じて企業側からアプローチすることが大切です。広告にはさまざまな種類がありますが、Web広告は比較的少額の予算から始められます。ターゲットをある程度絞れるのもメリットです。
SNS広告やバナー広告、動画広告など、Web広告にも種類があるため、ターゲットに合わせて適切な媒体を選択しましょう。
広告と平行して、コンテンツマーケティングに取り組む方法もおすすめです。コンテンツマーケティングには、広告のような即効性はありませんが、時間をかけて媒体を育てることで継続的な見込み顧客の獲得が期待できます。
見込み顧客への営業方法
見込み顧客に対しては、期間限定のクーポンの配布など、検討中の段階から購入に進むための後押しとなる施策が効果的です。
似たような商品を比較検討している可能性もあるため、競合他社の商品も含めた料金やスペックの一覧表を作成し、無料で提供する方法もあります。
新規顧客への営業方法
新規顧客は実際に商品を購入しているため、潜在顧客や見込み顧客への営業・マーケティング施策はいったん、成功したといえます。ただし、そこで終わりにせず、新規顧客をリピーターへと育てるための施策につなげることが大事です。
具体的には、購入についてメールなどでお礼を述べて、コミュニケーションを取ります。すぐに次回の購入を促すのではなく、顧客に寄り添い、関係性を築こうとする姿勢を見せることが重要です。
既存顧客への営業方法
既存顧客は、商品を購入したものの、リピーターにはなっていない顧客です。「期待したような商品じゃなかった」、「他社製品のほうがよいと感じた」など、継続的な購入につながっていない理由を探ってみましょう。
単に次の購入を忘れている可能性もあるため、商品やブランドの存在を思い出してもらうだけで購入につながることもあります。
リピーターへの営業方法
リピーターは、自社に安定した売上をもたらしてくれるだけでなく、SNSなどを通じてクチコミを広げてくれる存在でもあります。ほかの顧客以上に手厚くフォローを行い、関係性を維持できるよう心がけましょう。
リピーターに対しては、特定の条件を満たした人しか参加できない特別なセミナーの開催や、シークレットクーポンの配布などが効果的です。
参考:ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?導入に必要な知識と実践に不可欠なおすすめツールについて解説
顧客と接するうえで大切なことは?
顧客と接する際は、次のようなことを心がけましょう。
顧客を理解する
顧客と良好な関係性を築くためには、まず相手を理解することが重要です。悩み事や価値観、興味・関心など、直接的な対話も含めて相手を知ることから始めてみましょう。
顧客に寄り添う
顧客が商品を購入するのには、かならず理由があります。自身の課題や悩みを解決したいと考えている顧客も多いため、寄り添う姿勢が大切です。「機械的な対応をされた」など、接し方ひとつで顧客を失ってしまうこともあるので注意しなければなりません。
顧客に貢献することを考える
営業・マーケティングで成果を上げるには、まず企業側から顧客に貢献することが大切です。
無料の情報提供や課題解決のためのサポートなど、顧客のためにできることを考えてみましょう。それを継続し続けると、商品が必要になったタイミングで顧客が自社のことを思い出してくれるでしょう。
「顧客を知ること」は「営業を知ること」
営業・マーケティングの基本は、とにかく顧客をよく知ることです。相手の課題や悩み、興味・関心があることがわからなければ、適切な提案はできません。
特に、営業はテクニックに走りがちなので注意しましょう。顧客に貢献することを考え、良好な関係性を築くことが大切です。