フレームワークを使った営業戦略の立て方とは?今さら聞けない基礎知識と実践
成功事例の共通項である枠組み・パターンである「フレームワーク」。
フレームワークを使って営業戦略を立てることは、営業職の方なら誰でも通る道といえます。
しかし、フレームワークとは具体的には何かまた、営業戦略に使えるフレームワークは何か、正確に知っているという自信はおありでしょうか?
今さら聞けないフレームワークの基礎知識について、記事をご用意しました。
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営業戦略に使えるフレームワークとは?
フレームワークとは?
過去の成功を体系化し、考え方の枠組み・パターンを抽出したものをフレームワークといいます。
過去にそのパターンでうまくいったことを繰り返し使うことができれば、効率的に業務を行えるので、フレームワークはビジネス全般において利用されています。
営業・マーケティングの分野はもちろんのことですが、会計・リスクマネジメントなどの分野でも頻繁に使われています。
営業戦略に使えるフレームワークとは?
さまざまなフレームワークの中でも、営業戦略に使えるものは次の通りです。
3C分析
3Cとは、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つの頭文字を取ったもの。
市場の環境を把握するための分析手法です。
- Customer:市場・顧客
- Competitor:競合他社
- Company:自社
SWOT分析
SWOT分析とは、外部の環境と内部環境、すなわち資産やブランド力などの自社の力を、以下の項目において分析する手法です。
- Strength:強み
- Weakness:弱み
- Opportunity:機会
- Threat:脅威
4P分析
4P分析とは製品、値段、流通、広告宣伝の分析を行うことです。
営業戦略を決めるうえで基礎となる、最も重要な分析手法です。
- Product:製品・サービス
- Price:価格
- Place:流通
- Promotion:販売促進・広告宣伝
営業戦略は、これら3つの分析に基づき、さらに具体策・行動の優先順位付けを行うために、選択と集中、という考え方を採ります。
選択と集中の考え方もフレームワークの1つと考えられています。
営業戦略とマーケティング戦略の違いとは?
営業戦略と似て非なるものにマーケティング戦略があります。
双方とも顧客の方向を向いて行動する計画を立てることを伴うため、混同されがちです。
区別して考えられるよう、両者の違いと関係性を押えておきましょう。
営業戦略とは
営業戦略は、売った結果が売上・利益率といった営業目標を最低限達成するために立てられます。
予材管理(未来の売上になる営業の予定材料のマネジメント)のための営業戦略とは、この営業戦略を指します。
そして次に重要なのが、優良顧客を創出する戦略です。
優良顧客とは、繰り返し購入してくれるリピーターや、頻度はそれほど高くなくても1回あたりの購入額が高く、期間中の平均売上が高い顧客のことを指すと考えておけばよいでしょう。
マーケティング戦略とは
これに対してマーケティング戦略は、市場を新たに開拓する戦略、または製品の付加価値を高める戦略を言うものです。
市場占有率や、製品の他の会社の同種製品と比較しての優位性を上げることを最終的な目標にします。
営業戦略とは目指すところに違いがあります。
両者の関係とは?
マーケティング戦略は営業戦略の「上位の戦略」という関係にあり、手順で言えば、先に立てられるのが営業戦略になります。
価格決定・顧客分析を前提として市場での立ち位置を数値目標にするのがマーケティング戦略だからです。
営業戦略で予材管理により最低限の目標を実現した場合、マーケティング的にも、市場の立ち位置において目標を達成していれば、会社として双方の戦略ともうまくかみ合っていると考えられます。
しかし、往々にして、予材管理による最低限の目標を達成しても、初期のマーケティング戦略の目標値は上回りません。
そこで、さらにマーケティング施策を立て直す必要が出てきますが、それ以前に価格戦略・顧客戦略の立て方が適切でない、ということが可能性としては高いと言われていますし、経験上、思い当たる方も多くいらっしゃることでしょう。
営業戦略策定の正しい順序・フレームワークの使い方とは?
営業戦略を立てることは、技術的に難易度が高いことではありません。
むしろ、手順が決まっていて、分析という道具も決まっているので、営業職についている方であれば、慣れれば必ずできるようになるものです。
4P分析を使い、Priceから決める
4P分析は営業戦略を決定するための基礎であり、最も重要な分析です。
手順の上でも、営業戦略を立てるためには、まず4P分析から始めます。
予材管理の考え方からすると、売上または利益率達成のために、いくらで製品を売ればよいのか価格を決めるところから営業戦略を立てるべきこととなります。
単価当たりの利益率を考えないと、利益率の目標が達成できないためです。
単価当たりの利益率が低すぎる、ということになれば、価格を上げることを検討します。
利益率が高い場合で、価格が競合よりも高すぎる、となれば価格を下げることを検討します。
いずれにしても、目標が先にあり、価格を合わせていくアプローチにより、最終的に価格を決定します。
また、価格が決まらなければそのあとどの製品を、だれに、どこで売ってくればよいか、決めることができません。
価格帯・製品と顧客の対応関係を考えた場合、たとえば高級食材スーパーに行く消費者に訴求する路線をとる、として説明がつくのか、あるいは、それでは厳しいのか、価格を先に決めることで製品をどの顧客に、どこで売るのか、ストーリーを作ることができます。
価格=>製品=>ターゲット顧客=>場所の順番で考えることが定石ですので、この順番は外さないようにしましょう。
3C分析も改めて行う
市場ないし顧客・競合・自社の分析は、すでに会社全体で持っていることも多いでしょう。しかし、3C分析は、価格・製品ごとに行います。
価格・製品それぞれに市場が形成されるので、これらの3C分析は変わってくるのです。
価格・製品に関して、顧客は誰か、競合はどこの会社かを最低限把握します。
また、自社の分析は、価格・製品との関係に絞って行うことなります。
3C分析は外部環境分析ですので、同種製品における価格比較・売上順位・成長率など、外部環境との関係性を把握できる客観的な指標により行うことが適切です。
SWOT分析は何のためのものか
SWOT分析は、競合と自社の分析のために使います。
強み・弱み・機会・脅威の4要素を、3C分析で改めて設定した競合他社と比較し、分析によりあぶりだします。
SWOT分析の特徴は、自社の内部環境も対象になるところです。
サービスの場合などはとくに要因の分析も対象になります。
ただし、自社の内部環境は、分析の対象となる製品と価格に関係するところに限ることが適切です。
絞り込みができないと、分析の正確性を欠いてしまいます。
SWOT分析については、競合に関する情報を持っている人に加わってもらい、ブレスト形式で行うなどすると、必要な情報がよく集まる点も頭においておくとよいでしょう。
3つのフレームワークによる分析は「ざっくり」でよい
3つのフレームワークによる分析は、どのように行うのか、具体的に手順を追ってみましょう。
3つのフレームワークによる分析は「ざっくり」、1枚の紙にまとめる
4P、3C、SWOTの3つのフレームワークに基づく分析は、1枚の紙で行います。
分析の途中で会議にかける時などは、なかなか1枚に済ませるというわけにはいかないかもしれませんが、少なくともまとめるときには1枚の紙で行いましょう。
4P、3C、SWOTは関連している分析ですので、それぞれの分析の間に矛盾があると不正確な分析になります。
1枚の紙にまとめられないと、その矛盾点が見えにくくなるからです。
しかし、分析は完璧なもの、詳細なものでなくて構いません。
1枚の紙で全体が見えるようにし、材料を出し尽くすことが大切です。
行動計画にどれだけ具体的に落とし込めるかが勝負
4P分析の最終結果は、一つひとつの具体的行動と行動計画にブレイクダウンしていきます。
誰に売る、を「どこに住むどういう人に」あるいは「何歳の誰に」、どこで売る、を本当に一つひとつの場所レベルに具体的に落とし込んでいきます。
何をするか書き出すと、とても期間中には収まらないほど行動の数を伴うものとなるでしょう。
そこで、最後に行動計画の取捨選択を「選択と集中」の思考法により行います。
限られた予算のうち、何にいくら使ったら売上目標を達成できるか、行動を取捨選択していきます。
例えば、リピーター顧客の購買行動から考えて、期中に新規顧客を新規開拓すべきなのか、紹介を受けたら早いか、その見込みがあるか、など、できること・できないこと・代わりにできることを一つひとつ定め、最後はスケジュール表にして誰にでもわかるようにします。
ここまでくると営業戦略は、チームメンバーが体を動かせば実現できるものとなります。
戦略は、作戦・戦術といった大まかな計画を一つひとつの行動で実現するものなので、行動計画までの落とし込みを行うことが必要であり、最も重要なことといえるのです。
営業戦略を立てる際の注意点とは?
戦略を立てるうえで、注意しておきたい点がいくつかあります。
戦略作りに時間をかけすぎるべからず
分析というと、非常に細かいことまで考えてしまいがちですが、細かすぎるとこれをもとに立てた行動計画の実現可能性が低くなりますし、そこに時間を多くかけることは適切ではありません。
むしろ、行動計画に分析結果を落とし込む作業のほうにより時間はとられることになりますし、時間を使うべきなのです。
また、行動を計画通りにできるようにすることがさらに重要です。
分析には多くの時間を使うべきではありません。
より効率的に行うことを考えましょう。
例えば、分析会議を開催するのではなく、軽いブレストを使う、一からなんでも自分で書くのではなく、よくインターネットで公開されている分析のテンプレートを使うなどして、時間を使うことは抑えましょう。
計画はち密に立てるべきだが、試行錯誤も恐れるべからず
行動のレベルまでの落とし込みができなければ、営業活動の行動スケジュールも立ちません。
その意味では、計画はち密であるべきです。
時間はかかってもここはしっかりやる必要があります。
しかし、ある作戦がうまくいかなかったら次善策をとるなどして、1つの結果にこだわらないようにしましょう。
こだわることの弊害は、1つうまくいかないとつい原因を探すなどして時間をとられてしまい、他の行動計画が進まなくなりがちなことです。
全体のうち、どこの行動が欠けたか、どこで補えそうかを考え、試行錯誤は恐れず、最後に帳尻が合えばよい、と思っておきましょう。
そのように思えるには、大局的・俯瞰的な視点が必要ですが、重要なのはそうした視点を持って日々の計画をこなすことなのです。
フレームワークを使って実現可能性の高い営業戦略の策定を
3つのフレームワークを使った営業戦略の立て方の基本を説明しましたが、さらに営業マン個人と会社の成長を目指すには、戦略をさらに改善をしていくことが大事です。
そのためには、見直し、行動計画の立てなおしが必要で、継続的に行っていく必要があります。
つまり、Plan Do Check Act のPDCAサイクルで営業戦略を改良していくのです。
このようにPDCAサイクルを営業戦略について回すためにも、繰り返し同じフレームワークで考えることは合理的・効率的です。
フレームワークを適切に使い、実現可能性の高い営業戦略と行動計画を立て、常に改善を図っていきましょう。