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マネジメント~新入社員育成成功のカギ
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マネジメント~新入社員育成成功のカギ

毎年新入社員が加わるこの時期に行われる新入社員研修。
指導側である読者の皆さんは適切な研修を行って、新卒社員のスタートダッシュをうまく後押しできていますか?

本記事は「新入社員の立ち上げマネジメント」をテーマにまとめています。

国の調査により「毎年1年以内に新卒の10%超が退職している」という事実が明らかにされています。
また、採用活動費用から独り立ちまでの「新入社員受け入れ準備と育成」にかかる費用は、利益として回収できるまでに数年かかるとも言われています。

新入社員育成の失敗は会社組織にとって大きな金銭的損失となるばかりでなく、中長期的にみて、企業の業績へのダメージともなり得ます。
そのリスクを避けられるよう、早期に新入社員を立ち上げるためのマネジメントポイントや心構えについて説明していきます。
最後までお付き合いください。

新入社員の育成に必要な基本理念や指針

新人教育を行うにあたって、まず最初に行うべきことはなんでしょうか?
営業職がお客様へ売り込みをかける時にも共通することです。

答えは
「相手の事を理解しようとする(姿勢を見せる)ことで相手の心を開かせる」
ことです。

つまり新人教育では、

  • 意見交換や議論においては年齢差による圧迫やストレスを与えない
  • ブレインストーミングのように自由に意見を言える空気を作る
  • 必ず新人全員が意見を言えるような雰囲気づくりをする

を念頭に置いて教育を進めてください。

ところで、御社では今までこんな人材はいませんでしたか?

  • 入社当初はとてもオドオドしていた社員が、責任をもたされるようになってしっかり自分の意見が言えるようになった
  • 入社してからあまり発言もせずおとなしかった新人が、そのまま職場に馴染めずに退職してしまった

退職してしまった新人は、本当に馴染めず職場を去ってしまったのでしょうか?
一概にそうとは言えないのではないでしょうか。

自分が入社した時を思い出してください。

高校や大学から社会に出る時は、必要以上に社会に対しての緊張を持っていませんでしたか?
中学から高校、高校から大学に進学したときとは異なる感覚がありませんでしたか?

ご理解いただきたいのは、相手を理解する姿勢を示し、新人が自分を出しやすい雰囲気を作ってあげることが、新人のマネジメントで最も大切である、ということです。

もちろん間違った言動があれば、威厳を持って正すべきですが、あくまでも相手の警戒心を解いて、対話が出来るようになってからの話です。

このような対応ができれば、新人が本来の良さを出す前に、会社に嫌気がさして退職してしまう、という双方にとって不幸な事が起こりにくくなります。
マネジメントには手法が多数ありますが、前提となるのは、お互い人間である以上、感情が良好であるか否かが、関係性に大いに影響するという事です。

社会人としてのビジョンを自分で考えさせる

社会人としての意識の高い新卒者ももちろんいる事でしょうが、そういった若者は今も昔も少数なのではないでしょうか。

「自分がどう成長していくか」など考えている人間は1割にも満たず、「なんとなく就職活動をして、なんとなく会社員として働くことを選んだ」という社員が大半であるように感じます。

 自分のイメージする将来の自分像を整理し発表してもらう

3年後ー5年後ー10年後ー15年後ー20年後

まずは、「これからやってくる会社員人生」を自由に想像させてみてはいかがでしょうか。
おそらく、社会に出てスキルやキャリアと実績を重ねてこられた皆さんとは、発想や思考に大きなギャップがあることでしょう。

前項でも述べたように、重要なのは自社に飛び込んできた若者がどんなタイプなのかを理解すること。
そして、その自由な考えや発想、キャリア構築に対して持っているイメージを否定することなく聞いてあげてください。

“若”さは短所にも、長所にもなります。
会社の誰が選考を通したかどうかはともかく「誰かが、何か光るものを感じて採用した」のです。
色眼鏡をかけず、あくまでもニュートラルな姿勢で「相手を理解しようとする姿勢」を決して忘れないでください。

自社の教育スケジュールと意味合いを詳しく説明する

これから始まる退屈な入社研修を「大切な研修」と思わせるために

企業などの組織によっては、数か月にわたる研修やトレーニングを計画されているところもあるでしょう。
その研修を始める前に、前項では、相手に自分のビジョンを話してもらうことをおすすめしました。

次は、企業側が腹を割って「こう育ってほしい」と明確に伝える番です。

会社として新人にどう育ってほしいか

研修では「会社にとって貴重な戦力になってくれることを願っている」といった抽象的な事はいうべきではありません

  • 半年後には現場デビューを果たしてもらう
  • 先輩と共にOJTをスタートしてもらう
  • 初年度で教育期間を終えて、2年目からは単独で仕事を受け持ってもらう
  • 2年目からは明確な個人目標と共に責任を持って仕事をしてもらう

このくらいの明確さで、「戦力として育ってもらう」つもりでいる、そのためのトレーニングなので無駄にしてくれるな、というように計画を説明しましょう。

そのほうが期待と責任を感じ、より積極的に研修を学ぼうという姿勢が出てくるでしょう。

今後の会社人生の中で各研修が具体的にどう役立つか

研修内容は一般的に、主に以下の4つに分かれます。

  • 社会人として知らないと恥をかく基礎
  • 会社内のルールとして知らないと仕事がしにくい基礎
  • 配属部門にとって重要な専門スキルなど
  • 身に着けておくと今後のキャリアに良い影響があるスキル

これらを説明することで、長い研修予定にうんざりしている新人達も、「真剣に集中すべきポイント、記憶しておくべきポイント」をメリハリつけて集中できるでしょう。

上記研修内容の説明に加えて、万が一転職を考えるような状況になった時に「他社であったとしても必須とされる知識やスキルであること、自分の財産となる研修であることを伝える事も効果的です。

新人が考えている不安を解消する内容になっているかどうかの確認

あくまでも、トレーニング・研修を計画したのは「経験やキャリアを積んできた人」または「その道のプロであるが第三者である教育関連企業」。

そのため、 自社の新人マネジメント方針とは少しそぐわない点もあるでしょう。内容に関してはしっかりと確認することが必要です。
なにより、新人がその内容でしっかり理解できるのか、本人達からコメントをしてもらうことも重要です。

新入社員の育成ステップのセオリー

主となる研修例

座学研修

社会人のマナーや基本行動指針

・会社としての方針、求める社員像
・基本的なビジネスマナー

自社特有の組織構造や役割についての説明

・詳細にどんな業務や役割をしているのかを理解してもらう
・役職によって、どんな違いがあるのか。主にどのような仕事をしているのか
・人事考課システム、評価制度、インセンティブ他の詳しい説明

取り扱う商材やサービスについての基礎講習

製品についての特徴とどのような市場で使われているのか

・製品・サービスの優位性
・同業他社とのポジショニング
・この先の市場成長性と自社が取っていく戦略概要

コミュニケーションスキルの基礎

コミュニケーションスキルの向上がとても重要であると認識させる

 営業職・販売職に限らず、社会人になればコミュニケーションスキルは最低限持ち合わせていなければなりません。

  • 初対面で打ち解けるコミュニケーション
  • 話を広げるためのヒアリング能力
  • 自分が伝えたい内容を発信する能力
  • ホウレンソウの必要性
  • クレームなど、通常ではない状況でのコミュニケーション能力
  • 説得や交渉をするときのスキル

これらはあらゆる職種で必要となりますし、部下のこのような場面に全て助太刀していては仕事にならないでしょう。
ビジネスマナーや会社の概要説明などが終わると実務の研修に入ってしまう企業が少なくありません。

しかしその前に、新人の必要なスキル自体を最低限標準レベルまで均質化させておく事が重要です。
実務の研修を行っても、実際にその教育の成果を言葉と行動で再現できる人間に育ててからでないと、その研修は最大限の効果を生まないということは是非ご理解いただきたいと思います。

その他、今後のキャリアで重要視されるスキルの紹介

研修で底上げする時間はないが、自己研鑽で学んでおいてほしいスキルを明示する
  • プレゼンテーション力
  • ITツール関連の知識
  • 英語力

などなど考え始めたらキリがありませんが、羅列して「それがなぜ重要か」を伝えていただければと思います。
新人達も、この時点で言及された項目は重要である事を理解することでしょう。

公平にスタートの時点で求められた「スキルアップ項目」であれば、より真剣に考えて成果を上げてくれるのではないでしょうか。

令和新入社員の気質を理解する

ゆとりからミニマリスト世代

令和時代の新人は、「ゆとり世代」としてくくられてきた現在のアラサー世代の、後の世代としてさらに変遷を遂げていると言われています。
また、派手さや見栄などに魅力を感じないのが特徴です。

例えば、

  • マイカーを持つことや恋愛にお金をかけることに価値を感じない
  • ITが完成形に近づきスマホやSNSがあることが当たり前のデジタル世代
  • 働き方改革が世の中の標準語になり、当然のことであると感じている

などが挙げられます。

令和社員を動かすためには、昭和のモーレツ社員達が自分たちの価値観を押し付けるだけでは効果はありません。
また、「体罰禁止」「ハラスメント禁止」世代ですので、熱い指導をされること自体に慣れていない、等が予想されます。

時代は流れ、すでに平成生まれ世代が引っ張っていく時です。
厳しい鬼教官や鬼上司が命令口調でねじ伏せて、身に着けさせる時代ではなくなっているのです。

その価値観のギャップを理解し、受け入れながらも、企業が永続していくためには「仕事をすることの大変さ」や「自社の社員としてあるべき姿」を彼らの腹におとさねばなりません

相手となる新人も十人十色です。相手を見極めながらどういうアプローチがその新人には最適なのかを理解することが大切です。
そのためにも座学研修では、彼らのフリートークとなる課題や質問をなるべく多くしていくこと、彼らの考えているビジョンや成し遂げたい事を深く聞いてみていただければと思います。

次の章では、実際にどう新入社員のやる気を引き出すか、指導方法とその秘訣を解説します。

優秀なメンターをつける~自己承認欲求の充足

メンターとは

メンターとは英語ですが、「マンツーマン指導する先輩」「専任教育担当」のような意味合いです。

一般的な特徴として

  • 上司ではないので直接仕事を与えることはしない
  • 先輩的な立ち位置で指導だけでなく相談相手となる
  • 上司と新人の中間で世代間のHUBとなってくれる

が挙げられます。

終身雇用による「見て盗んで覚える」的な教育方法が時代にそぐわなくなり、短期間に新人や若手を立ち上げるために採用されてきた手法です。
なお、教わる人を「メンティー」と呼びます。

メンターをうまく活用するために

メンターの事前審査と教育

メンター役の社員にその役割をよく理解させておかないと、本来の効果は生まれません。

具体的に必要なのは、

  • メンティーの座学時の性格や進捗をメンターに共有する
  • メンターは何を目的にアドバイスをするべきなのか、骨子を理解させる
  • 一般的にメンターとしてやってはいけない禁止事項を理解させる

などが挙げられます。

メンターとメンティに対しての第三者定期ヒアリング

 成果や進捗について、メンターはリアルタイムでメンティーの反応を見る事ができます。
しかし、その状況やアドバイス内容について、メンターの対応が常に正解である保証はありません。

通常は介入しませんが、「メンターのメンターとして」メンティーの上長が定期的に重要事項についてヒアリングすることは大切です。

メンター以外の先輩や上司からの声掛け

こちらはメンター制度に関係なく、新人育成マネジメントでは大変重要な行動です。
人から自分の事に興味を持たれたり、気にかけてもらう事はとても嬉しくなりますね。
これは自己承認欲求として、人間が当たり前に持つ欲求です。

SNSなどでの同世代とのやりとりには慣れていても、対人で目上の人と仕事をするのは多くの新入社員にとって初めての経験です。
人材が自分らしさを発揮できるかどうかは「周囲がまず聞く耳を持ち、歓迎している事を感じさせ、委縮させない」ことにかかっています。

本人の能力や努力の以前に、本来の力を発揮させられる環境を会社側が作らなければいけない事は絶対に忘れないでください。

新人教育は局所的ではなく全社重要事項として取り扱う

新人教育マネジメントについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
最後にもう1点だけお伝えしたいと思います。

新人教育に限らず、業務改善はPDCAを回さないと成果が出にくくなります。

「新人教育立ち上げマネジメント」をミッションとして全社でPDCAを回すことで、今回の対象者(メンターとメンティ)の成長を見込めます。

そのPDCAを全ての新人教育で回す事によって、何が成功で何が失敗だったか、が見えてきます。
それを来年以降の新人教育計画時に反映することで、より質の高い教育ができるようになるでしょう。

今回はホヤホヤの新人教育から現場に入るまでのマネジメントについての記事でした。
実際に現場につき始めてからのマネジメントは、もっと実務詳細に関する教育が必要となります。
まずは、現場に立ってもらうまでのマネジメントに全力を注ぎ、令和時代に入社してきた新人の早期独り立ちを成功させましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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