【営業活動のスピードアップ戦略】CRM/SFAに蓄積したデータ活用が肝!
AIなど先端技術の急速な進歩やSNSの広まりにより、誰でもさまざまなデータが入手できるようになりました。
企業では、ビッグデータの活用により分析作業のみならず課題の迅速な抽出やコスト削減、さらに営業活動も効率的に行えるようになり、さらにはオープンデータ活用も知られてきました。
鮮度の良いデータ活用により、営業活動がスピードアップするのは確実です。
今回はビッグデータやオープンデータでのデータ活用法と、データ活用で効率的な営業活動を手に入れる術を、事例を含めて解説します。
このページのコンテンツ
ビッグデータとは? なぜ国内企業では活用が進んでいないか
ビッグデータを正確に説明することができるでしょうか?
日本では特に、ビッグデータの意味が理解されないまま、その名称だけが一人歩きしている感が否めません。
まずは、基礎知識を押さえることから始めてみましょう。
ビッグデータの定義
ビッグデータといえば、「膨大なデータの塊」というイメージがあるのではないでしょうか。
正確には、ビッグデータは「量性」「多種性」「リアルタイム性」という特徴を有し、Excelやスプレッドシートのような表計算ソフトでは取扱が困難な、巨大で複雑なデータのことです。
現在では、AIの技術がビッグデータの応用力を急速に進歩させています。
データ活用に必要なこと
ビッグデータを活用する上で、十分な成果を獲得するために押さえるべきポイントは次の3つです。
- 成果を出すために必要なデータの種類、十分な量と品質
- 社員に十分なデータリテラシー(データの内容を理解し、どのデータを活用すべきかを選んで分析し、その結果を正しく解釈する能力)があること
- データ活用に対する全社員の理解や協力
新鮮で品質のよいデータが大量にあっても、データの分析力がなければすぐに陳腐化してしまいます。
また、分析結果からデータ活用することで結果を出すには、実際に使う現場の協力なくしては不可能です。
これらのポイントを押さえることで、データ活用が効力を発揮するのです。
日本企業でのデータ活用が道半ばの理由
データ活用に対する意識や関心は高いはずなのに、ビジネス上の成果が得られていない企業が多いのが日本の現状です。
その最たる理由は、データリテラシー不足にあると言われています。
データリテラシーの向上には、目指すレベルや目的を企業全体で明らかにした上で、社員全員が同程度のデータリテラシーを保持するよう取り組む必要があるのです。
日本では、データ活用の大きな阻害要因であると考えられる年功序列制度が、特に大企業に今も根強く残っています。
弊社が行った調査では、「現在、データを活用した営業ができていますか?」という質問に対して、「できている」と答えた企業はわずか15%にとどまりました。さらに、およそ8割の企業が「データを分析・活用できる人材がいない」と答えています。
しかし、年功序列制度にメスを入れる若い経営者が増え、また意識の高いビジネスパーソンが増えてきたことで、日本でもデータ活用が進んできました。
2020年総務省発行情報通信白書の「日本企業におけるデータ活用の現状」では、2015年の同調査に比べ、大企業中心に大きな進展が見られることからも確かです。
データ活用のメリット・デメリット
さまざまな業界で、データ活用の重要性がついにフォーカスされ始めています。
データ活用がビジネスに具体的にもたらすものを確認しましょう。
データ活用のメリット
データ活用の代表的なメリットとは、次の3つと考えられます。
現状把握や課題抽出を容易に
正しい経営判断をするには、自社のAs-Is(現状)を正しく把握した上でTo-Be(将来あるべき姿)を確信することが重要です。
データ活用でAs-Isがスピーディに確認でき、自社の課題も浮き彫りになります。
To-Beもまた、データ活用により根拠あるものになります。
意思決定をスピードアップ
スピード感ゼロの意思決定では、ビジネスの成長が見込めません。
しかも、意思決定は長年の経験と勘であると信じる「昭和の経営手法」は時代遅れです。
意思決定にデータ活用することで、根拠ある意思決定がスピーディにでき、しかも関係者との認識合わせや、結果の検証も楽に行えるようになります。
未来予測を可能に
データ活用により、未来予測がより正確で、万人が受け入れ易いものになることは言うまでもありません。
データ活用を進めることで、さらに新たなビジネスチャンスが生まれる可能性も大きくなるのです。
単一データでは重要ではなくても、他のさまざまなデータと組み合わせることで、新たな「気づき」を生み、新規事業やサービス開発のきっかけになることもあります。
データ活用のデメリット
データ活用する上でもっとも留意すべきは、プライバシー問題。
たとえば、AIがマッチング力をビッグデータに与えると、オンラインショッピングのユーザーの購買履歴から、そのユーザーが次に買いたくなる商品をタイムリーに予測して提案することが可能になります。
しかし、それがエスカレートしすぎると、自分の生活が見張られているようで気分を害するユーザーが増え続けて、その結果、大きな顧客損失を生むこともあるのです。
提案力とユーザーのプライバシーを守ることの適正なバランスのキープが、企業の重要課題になると言えるでしょう。
ビッグデータは中小企業にも活用する価値がある
活用できるのは大企業だけと思われがちなビッグデータですが、中小企業でもうまく活用し、ビジネスの幅を広げることは十分に可能と言えます。
活用法や事例を紹介しましょう。
中小企業でのビッグデータ活用法
日本に存在する全企業の9割超が中小企業であり、中小企業なくして日本経済は語れません。
コストや会社規模の点からも、ビッグデータ活用において中小企業は蚊帳の外とされていましたが、中小企業がビッグデータを活用することにより、企業単位での業績向上だけでなく、日本経済全体が上向きになるといえるのです。
中小企業のビッグデータ活用法としては、大企業のように新製品やサービス開発を生み出すことがメインタスクではないことも。
実際の事例をあげてみましょう。
ある日本酒メーカーでは、経験豊富な杜氏(とうじ)に100%依存していた生産プロセスを標準化するため、過去の酒造データから各工程での温度や湿度管理、次の工程へのタイミングなどビッグデータ活用で見える化しました。
これにより、経験を積んだ杜氏ではない新入社員でも、酒造に携われるようになったのです。
その結果、年間を通じて安定した品質での生産が可能になったので、技術投資へ注力できるようになり、より高品質の酒造りに成功しました。
この企業では生産プロセス改善こそが、ビッグデータ活用の大いなる産物になったのです。
業界別に見たビッグデータ活用法
ビッグデータ活用が盛んな業界での活用法をご紹介します。
製造業
製造業ではIoT/ビッグデータのデータ活用が一般的です。
多くの企業では、工場内の全生産ラインの稼働状況を一元化し見える化することで、製造プロセスの改善、進捗管理の効率化や、生産性の向上に役立てています。
自動車メーカーでの具体的な事例もひとつ紹介しましょう。
通信機能付きのカーナビデータを毎月2億km以上分収集している自動車メーカーでは、収集したビッグデータの分析で、急ブレーキが踏まれる場所や事故が起こりやすい場所を抽出してドライバーに提供。
安全運転をサポートしています。
小売業
小売業ではさまざまな市場データを収集し、顧客をタイプ別に細かく分類した後に、タイプごとのマーケティング施策を行っていることがほとんどです。
ビッグデータの解析を元に新製品の開発に役立てたり、新製品の市場投入時期を決めることもあります。
オープンデータ活用でビジネスは変わるか?
ビッグデータに加え、オープンデータ活用を始める企業も少なくありません。
オープンデータとは
オープンデータとは、著作権や特許のような制限なしで、誰もが再利用、再掲載が可能なデータのことです。
制限がないことで想定を超えたデータ活用をもたらすと考えられています。
日本では東日本大震災後の2012年7月に、高度情報通信ネットワーク社 会推進戦略本部(IT 戦略本部)が電子行政オープンデータ戦略を策定したことで、オープンデータ推進をスタートさせました。
オープンデータ活用により、国民生活の向上や企業活動の活性化など、日本経済全体の発展に寄与することとなり、多くの地方自治体でもオープンデータ活用が始まりました。
アメリカでは2009年から
オバマ大統領(当時)は2009年1月の大統領就任直後に、透明性とオープンガバメントに関する覚書(Memorandum on Transparency and Open Government)を発表し、政府の透明性、国民参加、官民連携の3原則を表明。
その後、オープンデータのポータルサイトである、data.govを開設しました。
ヨーロッパ先進各国でも、アメリカとほぼ同時期にオープンデータに関する取り組みをスタートしています。
オープンデータ活用事例
信頼性の高いオープンデータに、ユーザーからの情報をリアルタイムに反映させた活用例は日本でも多くあります。
風邪やインフルエンザなどの感染症の流行度合いを知らせるワーンニングや、日本国内の不動産の相場感がわかるGEEOなどは、オープンデータ活用により生まれたツールです。
政府CIOポータルのオープンデータ100でオープンデータの利活用事例が公開されていますので、合わせてご覧ください。
データ活用はすぐにでも始められる
データ活用は「ビッグ」でも「オープン」でもないデータでも始められるもの。
営業現場では、どのようなデータを活用するのがよいでしょう。
営業現場の実情
従来は、営業担当者がスプレッドシートに、自分が担当する顧客の情報を入力して使っていました。
その更新は、気が向いた時だけ行うレベルであることが多く、じきに陳腐化して使い物にならなくなるパターンが一般的でした。
最悪の場合には、重要顧客の名刺を束にして直接持ち歩くことも行われていました。
まずスプレッドシートと訣別すること
営業活動でデータ活用するためには、営業担当のマインドチェンジが必要です。
スプレッドシートに別れを告げることから始め、そのデータをCRM/SFAなどの社内共有ツールに移行するべきです。
CRM/SFAに蓄積したデータ活用から
CRM/SFAを用いれば、顧客データのチーム共有はもちろんのこと、顧客(企業)分析や営業活動のステータス管理、コミュニケーション履歴も同じツールで管理できます。
また、新規顧客獲得だけでなく、クロスセル・アップセル戦略も、CRM/SFAのデータ活用で計画できます。
万一、営業担当者がデータ更新を忘れていても、データ共有している上長からリマインドされるので、データの早期陳腐化を防止できるのです。
CRM/SFAについての詳しい情報については、こちらを合わせてご覧ください:
営業活動におけるCRM/SFAデータ活用事例
CRM/SFAを活用すれば、営業担当者各自のパソコンにクローズされていたデータが、データ活用の重要パーツとして共有できます。
具体的な事例を紹介します。
大企業
日立ソリューション東日本社では、CRM/SFAに蓄積されたデータ活用で、営業活動の横断的情報共有が実現し、会議回数を半分に削減することができました。
詳細はこちらをご覧ください。
中小企業
GMOグループの一社であるGMOメイクショップ社では、CRM/SFAのデータ活用により、昨対比で売上192%を達成しました。
詳細はこちらをご覧ください。
データ活用で営業プロセスを改善しよう
データ活用により意思決定のスピードアップや新たなビジネスチャンス到来など、期待できることは多くあります。
営業活動も例外ではありません。
営業担当がデータ活用を成功させるためには、CRM/SFAに蓄積されたデータの鮮度を、営業チームのみならず社内全体が同じ気持ちで守ることが肝心です。
IT化の加速が止まらない今、営業プロセスをデータ活用で効率化しませんか。
営業ラボでは営業マネージャーや経営者へ向けたデータドリブンな営業戦略をサポートする資料を配布しています。実際に7,000社以上の導入をサポートしてきた我々が、「営業とデータ活用の必要性」「データ活用がうまくいかない五つのパターン」「どのようにデータ活用を進めればいいか」と言った内容を解説します。よろしければご参照ください。