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売上予測とは?
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売上予測とは?

営利目的で運営される企業や団体では、「売上」が最も経営状況を左右するのは言うまでもありません。
本記事では売上にまつわる予測について、あらためて振り返ってみようと思います。

実際の営利企業をイメージしながら、

  • 売上予測の概要
  • 売上予測の立て方の例
  • 売上予測を的確に行う組織風土の考察
  • 売上予測の精度を上げる、作業工数を減らすツール例

について解説します。

なお、本記事は一般的な財務職向けの解説ではなく、営業組織の売上予測に焦点をおいて解説いたします。
よろしければ最後までお付き合いください。

売上予測の概要

短期・中期・長期予測

売上予測や分析には、期間(短期・中期・長期)が存在します。
1つの企業について売上予測を行う時、当然ながら短期・中期・長期それぞれが連動していきます。

下図のように、営業現場は毎月、売上予測を求められ、財務部門は四半期~半期レベルで経営層に報告し、最終承認データが株主や銀行に開示されます。

この売上予測には、業界による特徴や傾向があるので、製品・サービスの特徴などを考慮した上で、以下の分析を行わなければならないと言われています。

何を目的とした売上予測か?

対銀行の場合

主に企業が銀行から融資を受けたい場合に、審査書類として提出されます。
新規融資を申し込む企業(概してベンチャー企業や中小企業)の場合は、

  • 短期の資金繰りに関する資料として初年度の月次売上予測
  • 向こう3年間の年度売上予測書類

を用意します。

その他多くの書類やエビデンスを求められますが、目的はあくまでも融資決済獲得のため、が大半です。
データは正確であることを融資側は求めていますが、融資を受けたい側はどうしても「良く」見せたい思惑があります。
「売上予測」というよりは「売上目標」に近いものになる傾向があります。

対株主の場合

株主はその企業が業績を維持・成長できるのかどうかを知りたいステークホルダーです。
企業から出てくる各年度の決算報告、中期経営計画、長期経営計画などをチェックしながら、自分の投資資金が安全に増えてくれることを願っています。

特にベンチャー企業や発生間もない業界の企業などは売上予測が読みづらい事も多く、上場初年度から提示されていた売上予測が狂い、株主や銀行を失望させることも少なくありません。
信用を積み重ねるためにも、売上予測の正確さが求められています。

経営層への社内報告用

当然、社外に開示する資料のベース資料として使われるものですので、公的資料と同じ意味合いになります。
1つ言えるのは、社外に出す書類の下準備書類として、こと細かい分析が行われている事です。
この分析次第で売上予測の精度が決まり、対外的に信頼のおける公文書を開示するベースになっていきます。

ここでは主に、営業現場で求められる売上予測について説明します。

売上予測精度UPのため日々集めるべきデータ

売上予測とは?_日々集めるべきデータ

売上予測と売上目標の違いについて

売上予測についてここまで解説してきましたが、少し話はそれて「売上予測と売り上げ目標の違い」について記します。
ずばり1文で表現すると、

売上予測:実際にいくら売上を取れるかを根拠の積み上げで予測
売上目標:いくら売上を取りたいと思っているか、願望?も含めた目標売上額

という違いになります。
繰り返しになりますが、本記事では営業現場の売上予測について解説します。

取得すべき予測の元になるデータ

基本は以下のデータを取得する必要があります。

長期予測の根拠となる短期予測(月次レベル)

長期予測は短期予測(月次売上予測)が塊になったもの。
そして、短期予測は日常業務のデータが塊になっただけです。
その短期予測データで必要になるのが日常の営業活動1件1件の成否詳細、商談金額、受注件数、失注件数など、営業結果の集計記録です。

下記の通り分析に活用しますので、電子データで保存することが必要となります。

短期予測の根拠となる1件あたりの商談傾向分析 ※詳細の分析が必要となる

上記で、日常業務データが塊になっただけ、と記しましたが、予測を出すためにはそのデータを蓄積しておく必要があります。
ITツールが発達してきている昨今では、SFA(セールスフォースオートメーション)やERPのような専門の基幹システムにデータを蓄積できるようになりました。

参考:日本発 営業基幹ソフトウェア「eセールスマネージャー」

そのような便利なツールにデータを蓄積していけば、売り上げ予測集計にかける時間や工数を大幅に削減することができます。
前図の通り、長期予測は短期予測の塊、短期予測は日常業務のデータが塊になっただけです。
その日常業務をどれだけ把握できているか=短期売上予測の精度UPに繋がります。

短期予測の精度UPにつながる重要な実データ例

短期予測のために取得するデータの信頼性が高ければ、短期予測から中期長期予測の精度も高まっていきます。
例えば、以下のような実データは貴社ではどこまで蓄積されているでしょうか?

短期予測精度を高めやすいデータの例
  • マスマーケティングからの反応が返ってきたリード獲得件数(率)
  • リードからの個別面談アポ獲得件数(率)
  • そのリードへの接触から、提案書または見積書の提出件数(率)
  • 提案見積もり提出総件数の受注件数(比率)
  • 受注件数と受注総額(金額平均、商品カテゴリー別、新商品売上比率など)

このようなデータ蓄積があれば

  • 商品別マーケットシェア
  • 営業人員投入適正量
  • マスマーケティング費用対効果
  • 新商品投入効果

などが明確にデータで把握でき、今後の後継機種や新商品発売の時に予測できる精度が上がります。

自社売上傾向と日々のデータから予測を立てる

売上予測とは?_予測を立てる

蓄積してきたデータと営業員の分析突き合わせ

蓄積データはウソをつかない

前の章で記した「精度の上がる」データは、蓄積すればするほどブレの少ないデータになります。
そして、そのデータを蓄積した上で、現在の主力営業員にそれぞれの担当テリトリー(顧客)について売上予測データを出させてみてはいかがでしょうか?

データと営業員でしか知りえない体感的な顧客の状況、瞬間的な市場の変動要因などについて知ることが出来ます。
データに基づいた分析とセットで営業マンの体感状況報告を突き合わせることで、売上予測の精度がさらに向上する効果が見込めると言われています。

営業員に気づきを与える

経験豊富な営業員の「体感」予測は時として武器であると同時に、時として「思い込みや偏見」となり成長可能性を阻害してしまう要因にもなります。
そんな時に、前章で例に挙げたようなデータに基づいて営業員の「思い込み」や「固定観念」を壊してあげることが、あらたな営業感覚を植え付けます。

キャリアの長い営業員こそ「思い込み」に陥りやすいのですが、データなどの反論できない根拠をもとに気づきを与える事で、新たな手法や営業員の成長、新たな経験に繋がることがあります。
そのことを体感し、学んだ営業員は大きな成長をしたと言えるでしょう。

自分が得た「気づき」を発信し、周囲の営業員に良い効果を波及させてくれるようになれば最高の展開ですね。
そこまでたどりつかなくても、気づきを得た社員を部下に持つマネージャーが教育指導をすることで、その浸透度合いは変わってきます。
とても重要な腕の見せどころになります。

マネージャーの眼力で予測を上回る結果を得る

売上予測とは?_マネージャーの眼力

データ分析と分析結果を現場内で終わらせない

売上の出し惜しみへの対策

今この記事を書いている中で、コロナウイルスの脅威が日本全体を襲っています。
未曽有のリスクにも耐えるため、常に余裕を持てるように最善を尽くさなければなりません。
本章は余談に近くなってしまいますが、ご了承ください。

”現場あるある”の1例ですが、このような状況を経験されたことはありませんか?
営業現場では「来年予算達成への懸念」から、順調に売りあがっている年度後半は意図的に減速させることがあります。
そして、それは営業部員全体の総意なこともあるようです。

客観的に聞いていると、営利集団にも関わらずそんなことが起こるのは驚きですが、こういった話を耳にしたのは1社2社の話ではありません。

  • それを許す(気づいていない)企業のマインドやモティベーションが低い

のは間違いありませんが、一方で、

  • 年度内にさらなる売上を積み上げてもその分の見返りがない評価システムである
  • むしろ来年度の目標をさらに高く設定されて、損をするのは営業員だけである

という組織の構造、待遇面の問題点などがあるようです。

経営者の皆さんや査定をつける皆さんも、心当たりがありませんか?
実際のところ、このようなやり取りはオーナー企業や中小企業、単年で評価のアップダウンが激しい外資系企業で見受けられるようです。

スタッフはその会社に対して

  • 信頼感がまったく無い
  • 「自分を守れるのは自分だけ」という思いがしみついている

のではと思います。
「売上予測を正しく立てたい」という取り組みは非常に良いことだと思います。

そして、売上予測を大きく上回る業績をあげられるようになったら、会社は潤います。
その時には頑張った営業員に報いてあげる仕組みを作ってあげてください。
褒賞制度の変更は多少の出費を伴いますが、”頑張った人だけが報われる”という点にしかコストアップはありません。
「出し惜しみを従業員が止める」だけで適正な売上が隠されずに、即座に計上されることになります。

経営者側にもメリットが生まれるギブアンドテイクな条件であることを理解して、ご検討していただくと、貴社組織が強化されるのではと思います。
話を売上予測手法に戻しますが、売上予測の報告を受けるミドルマネジメントは、分析力や洞察力の資質が問われます。
以下のような取り組みは、ぜひミドルマネージャーとして確認していただければと思います。

  • 報告内容について、違和感を見つけられるほど分析して上役に報告しているか
  • 客観的なデータを使って自分が分析した内容と、営業員の分析差異が大きすぎないか

報告内容をそのまま提出するだけでは売上予測の精度向上、さらに上乗せの売上を得る事は難しいと思われます。
業務過多になりやすいミドルマネージャーのご苦労はお察ししますが、最重要ミッションである売上予測について再考をお願い致します。

SFAツールの活用

営業予測の傾向分析と、現場の意見や分析を工数をかけず、かつ客観的に行うためにどうしたらよいでしょうか?
現在では、SFAの活用が最も効果的であると言われています。

現時点で、営業に関する情報がどの程度電子データで残っているか、にもよりますが、以下のような流れで自社営業組織が進化していくと予想されます。

定量的なデータの蓄積
 
蓄積データの分析が可能に
 
支援機能を利用して短期・中期の売上予測を作成
 
自社営業施策の策定が容易に
 ↓   
課題が顕在化し、次の改善案が出てくる

参考:営業支援システム:eセールスマネージャー

現場データの客観的利用と企業成長は深く関連している

売上予測とは?_現場データの客観的利用と企業成長

いかがでしたでしょうか。
売上予測について、主に営業組織の現場データが売上に直結する貴重なものである点をお伝えしました。

その一方で、

  • 現場から上がってくるデータ自体が恣意的に緩められる
  • 実現不可能な高い予測になっている

などのように、本当に役立つ売上予測になっていない、ということが往々にして起こっています。
問題のある営業組織には、

  • 動機付けするシステムが会社にないこと
  • 短期的な結果に対してのプレッシャーが強すぎて現場がミドルマネージャーやマネジメントに委縮している

ことが要因として存在すると言われています。
皆さんの会社はいかがでしょうか?

報告を分析し、納得いかない点を洗い出し、是正する事がミドルマネージャーの役割です。
また、現場の問題点を認識しその解決策を策定するのはトップマネジメントの意思決定です。

全てに通ずる点ですが、現場の現状を理解したトップマネジメントが会社の仕組みを動かし改善することで企業は変わります。
現場の「売上予測」を活用するのも「現場+ミドルマネージャー+トップマネジメントの三位一体活動」でなければ効果が生まれない事をいま一度ご理解いただきたいと思います。

経営企画層やミドルマネージャーの方と共に、経営者の方の意思決定や現場改善の理解と協力が重要であると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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