派遣社員の方が売れる
派遣社員は補助戦力だと思うでしょう。
しかし、もし、派遣の営業マンが正社員よりも売ることができるとしたら、あなたはどう思いますか。
近年、法改正より営業の派遣が可能になりました。
営業マンこそ会社の顔ですから正社員を使うべきだと考える経営者がまだ多いかもしれませんが、そういう経営者達は回線や薬などを派遣の営業マンから買っている事実を知らないだけでしょう。
今では派遣社員を使っていない企業は珍しく、派遣労働力は常識になってきています。
補助戦力はいつのまにか必要不可欠の戦力になり、すべてのビジネスモデルにしっかり取り込まれるようになりました。
この派遣人材の一般化は、ビジネスの仕組みを変化させるもう一つの大きな要因になっています。
経営者がこの要因から目をそらしているうちに、うまく活用しているライバルに負けてしまいます。
たとえば30年間いろいろな営業をやってきたとします。
大きな取引をしてくれる顧客もいれば小さな取引しかない顧客もいます。
また、いまも活発に取引している顧客もいれば、2,3年前から疎遠になっている顧客もいます。
正社員の営業マンたちは大型案件に時間を取られているため、なかなか取引金額の小さな顧客や取引が休眠状態にある顧客を訪問する時間がありません。
正社員を増やして取引の小さな顧客と休眠中の顧客を掘り起こす方法もありますが、効率は悪くなります。
小さな取引は難しい商品知識が要らないので、短期間にマスター可能です。
正社員を使う必要がありません。
休眠状態の顧客でも、起こせるものを起こして正社員に渡せば仕事が終わります。
月単位で派遣可能な営業派遣は、もってこいの労働力です。
これは一見完璧に見える利用方法ですが、心配もあります。
派遣社員はすぐいなくなります。
顧客と会って話した内容や顧客の反応などの状況が、企業には全く見えないので不安です。
ここで再びインターネット技術を利用した、ビジネスの仕組みの登場です。
やはり標準営業プロセスをあらかじめ設計しておきます。
派遣営業マンに対して十分な説明を行い、必要に応じて教育とトレーニングも行います。
話すべき内容、聞くべき内容、競合他社の動きの調査、注意すべき点などを営業支援のインターネットソフトに設定しておけば、派遣営業マンのスマートフォンやタブレットにその項目が表示されます。
その画面に、派遣の営業マンが担当する顧客のリストも表示させます。
リストに表示している通りの顧客を訪問し、そのやり取りの情報をスマートフォンやタブレットに入力させるのです。
入力は決して女子高生がメールを打つような文字入力ではなく、報告項目ごとに事前に選択肢を用意し、その選択肢を押すだけで報告できるようにしておくことが肝心です。
たとえば顧客の反応について情報を取ってきてほしいのであれば、「顧客反応」という項目を設けて、その中に(興味がない、興味がある、前向き、検討する、見積もり依頼、購入決定)のような選択肢を用意しておきます。
派遣営業マンが、営業情報を報告するためにスマートフォンやタブレットの画面を開けば、会社が求めている報告内容が項目ごとに表示されます。
彼らは項目ごとにメニューを開いて、中に含まれている選択肢を選ぶだけです。
スマートデバイスや携帯なら誰でも持っていますし、誰でも操作できます。
派遣営業マンの訪問リストは、インターネット営業支援ソフトのマーケッティング機能を用いて作り、各派遣営業マンの携帯に自動的に配信します。
そのターゲットの選択と絞込みは当然派遣営業マンを使う企業側が行う必要があります。
派遣営業マンのスマートフォンやタブレットを通じてリアルタイムで集められた各種データは、即時に営業支援ソフトによって統計され、各エリアの巡回状況、各顧客の反応、各派遣営業マンのアプローチ手法と件数がグラフによって表示されます。
数日、数週間もたてば、一定量のデータが集まります。
それを営業支援ソフトで分析すれば「どの派遣営業マンがどのような動きをし、どのような効果が出たか」について数値で分かるようになります。
うまく行っている営業マンのパターンとうまく行っていない営業マンのパターンを比べれば、うまく行っていない営業マンにどのプロセスが足りないかが一目瞭然です。
メールや面会を通じて足りない部分を明確に指導することができれば、プロセスの改善が早くなります。
当然、プロセスに関する項目を報告項目に設定していなければ、このようなことはできません。
以上に説明した仕組みは、何も派遣営業マンだけに適用すべきものではありません。
派遣営業マンの場合、明らかにこのような仕組みがないと使う企業側が不安だから、分かり易いだけです。
派遣営業マンが必ずしも正社員の営業マンよりモチベーションが低いとは限りません。
現に同じ条件下で営業を行うと派遣の営業マンの売り上げが、正社員の平均よりも高いケースが多いのです。
インターネット技術があるから営業プロセスの改革が必要なのか、それとも営業プロセスの改革が必要だからインターネット技術を活用する必要があるか、派遣制度があるから派遣社員を活用する必要があるか、それとも派遣社員を活用する必要があるから営業派遣社員が必要なのか。
これは鶏と卵の関係のようなもので、その前後関係を解明することはできません。
確実なのは、鳥と卵とセットで存在することです。
営業プロセスの改革も、インターネットも、派遣営業も単独現象ではなく同じ水脈で繋がっている社会変革の重要な一部であることには間違いがないのです。