読んでもらえるステップメールの作り方とは?送る目的、商材、見込み客との関係性に注目
営業にステップメールが有効、と聞いたことはあるものの、どんな風に活用したらよいのか具体的には知らない、という方もいらっしゃるでしょう。
ステップメールは上手く活用できれば、商談から成約につなげやすいもの。
本記事ではその作り方をできるだけ具体的にご説明します。
在宅勤務中、個々のメールでのフォローアップに限界を感じる方、営業活動上のより有効なコミュニケーション手段をお考えの方に、参考にしていただければ幸いです。
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ステップメールとは
ステップメールとは、無料会員への登録や資料請求、商品購入など、なんらかのアクションを起こしたリード(見込み客)に対して、あらかじめ用意されたメールをスケジュールに沿って配信するマーケティング手法です。
送る目的や商材、見込み客との関係性を考えて作成すれば高確率で読んでもらえるため、見込み客の欲する情報を届けることができれば、商談から成約にもつなげやすいでしょう。
ステップメール作成の基本は「目的を明確にすること」
ステップメールの目的は? メールマガジンとの違い
ステップメールは、読み手が欲しい情報を届けることを目的にしています。
これに対して、メールマガジンは書き手の伝えたい情報発信を中心にしており、その目的に違いがあります。
さらに言うと、ステップメールの目標は「リード(見込み客)を育てて商談につなげる」こと。
この「リードを確度の高い見込み客へと育てる」ことをリードナーチャリングと呼びます。
Webイベントや、資料請求などでメールアドレスを収集することで創出したリードに対し、数回シリーズで配信するステップメールによって確度の高い見込み客へと育てるリードナーチャリングの手法が「ステップメール」なのです。
リードナーチャリングについては以下の記事を参考にしてください。
どのように取り組めばいい?
商談につなげるまで、見込み客の知りたいことにこたえるためには何を書くべきか、リードの創出から商談までのシナリオを書いて取り組みましょう。
リードの創出から商談までにつながる見込み客には段階があり、初期・中期・後期と3段階に分けるのが一般的。
過去の顧客の行動分析から、実際の購買につながる見込み客とそうでない見込み客とに振り分けていき、購買につながりそうな顧客への情報提供・フォローアップを厚くするのがリードナーチャリングの定石です。
ステップメールはその中でも、見込み客の中期の段階において、徐々に興味・関心を引き付けていくのに使うことが一般的です。
つまり、「購買行動につながる顧客であれば、こういうことを知りたいはず」というニーズを把握して、情報を提供することが肝心です。
顧客行動の分析と予測には、MAツール(Marketing Automation Tool)を利用すると、効率化につながるでしょう。
ステップメールにはNGがある?どんな商材・見込み客に送るのが有効か
どんなビジネスに向いている?
ステップメールは見込み客に情報を提供することが目的ですから、見込み客がじっくり情報を検討する必要があるビジネスに向いています。
また、単価・商材の性質にも、ステップメールのスピードと、投下する時間・コストに見合わない場合があることにも注意が必要です。
向き・不向きをまとめると、次の通りです。
ステップメールが向いているビジネス
- 商品・サービスが高額
- 購買に多くの情報が必要になるBtoBのビジネス
ステップメールが向いていないビジネス
- 商品/サービスが低単価かつ買い切り型
1商品当たり、1通のメール送付コストを考えて、そのコストに値するリターンが見込めない商材には、ステップメールを送ることは適切ではありません。
ステップメールはある程度の関係性ができている見込み客に対して有効
また、ステップメールは「見込み客との関係性がある程度できている時」に向いているコミュニケーション手段です。
単価が大きく、購買行動でゴールまでに比較的長い時間がかかる商材の場合は、見込み客を初期・中期・後期に分けておき、中期の見込み客をターゲットとしてステップメールを送付すると効果的です。
また、たとえばホワイトペーパーなどの“コアな”資料請求をした見込み客や、メールなどの問い合わせだけでなく、名刺交換をした見込み客など、先方のアクションをきっかけにステップメールを送ることも合理的です。
アンケートも有効
ステップメールでは当然、見込み客にとって有益な情報を届けるべきですが、そのためにはリードに対するアンケートも有効です。
アンケートに答えてもらった見込み客に対してメールを送るようにすれば、送付するメールの量の点でも効率がよくなりますし、また、知りたい情報が何かを特定するうえでも役立ちます。
どういったコンテンツをステップメールで送るべきか
ステップメールのメリット
ステップメールのメリットは、次のようなことです。
- 自社の既存コンテンツを再利用できる
- 同じ条件の購読者全員に同じ情報・コンテンツを提供できる
- 購読者との関係性を、ゆっくり時間をかけて構築可能
- 接触回数が増えるので忘れられにくくなる
送るべきコンテンツは?
コンテンツについては、見込み客の知りたいことにフォーカスして作りましょう。
すでにある程度、購買意欲があったり、見積もりを検討しているなどの「脈のある」見込み客であれば、欲しているのは技術情報や導入事例であったりします。
逆に、そこまでの興味を持っていない見込み客に対してこうした内容を送っても、じっくり読んでフィードバックを返す、ということはないでしょう。
また、見込み客の特定のセグメントに同じコンテンツを送り、反応を見ることで、本当にフォローアップへの注力が必要な見込み客は誰なのか、ターゲットがしぼれていきます。
注意すべきこと
ステップメールには工数がかかりますので、乱発すると、より本質的な業務に支障が出かねません。
MAツールなどのツールを使っても、無為に多くの見込み客を扱い、分析を丁寧に行えば、工数の多さは無視できないものになるでしょう。
メリットをより確実に引き出すためには、「ねらい」は常にはっきりさせておいて、ねらいから外れる場合は無理に送付を行わない、という取捨選択が必要になります。
また、そのようにすればステップメールのコンテンツ、場合によってはシナリオも、より持続的に繰り返し使える会社の営業資源となるでしょう。
ステップメールの内容はどのように作れば興味を持ってもらえる?
ステップメールは「開封してもらえるか」「この内容で読んでもらえるか」が問題になります。
開封してもらうには、タイトルと送るタイミングが重要です。
タイトルはBtoBビジネスであれば、簡潔・わかりやすいもので十分です。
(タイミングについては後程、詳しくご説明します)
次に内容ですが、BtoB向けの場合に読まれやすい、有益とされる内容をまとめると次の2点に集約できます。
①「テクニカルスペック」「サービス仕様」「成功事例」「問題解決事例」
購買を検討している人たちの知りたいことが1.に挙げたようなことです。
もう少し深掘りするならば、下記のような内容です。
あくまでも、情報を提供するので、事実に基づいた記載をしましょう。
- 同じような立場の顧客のサクセスストーリー
- 課題解決に関する知恵・トリビア集
- 導入事例・ケーススタディ
文体も、中立的に情報提供をしていくにふさわしい文体をとり、根拠づけをしながらコンテンツを作成しましょう。
②双方向性を持ったもの
メルマガのマンネリ化の一因としてよく挙げられるのが、「一方通行の情報発信である」という点です。
ステップメールにおいても、アンケートなどのコミュニケーションや、購読者が自社サイトを訪れる理由を作ることは、リードを育てるうえで有効です。
ラジオボタンによるアンケート・出席確認の他、自由記述欄を設けることで率直なフィードバックを得られるため、より有益とされます。
実践・ステップメールの作成と送付
ステップメールの作成・送付手順
ステップメールの作成・送付手順を簡単にまとめると次の通りとなります。
- メールを送る目的・見込み客に期待される行動を定める
- ターゲットとシナリオを考える
- コンテンツを決める
- メールの作成
- メールの配信設定
- メールの配信テスト
- 結果分析と改善
上記の手順を効率的に進めるにはMAツールを使うと効果的・効率的です。
MAツールで効率的にステップメールを配信
MAツールは、ターゲットとするべき見込み客を抽出・分析することができる他、ステップメール送付の自動化を行うことができます。
ステップメールは営業活動を自動化する、と言われることもありますが、これはMAツールを活用してこそ。
人手をかけずに大量のメール送付を可能にするとともに、メール送付におきがちな人為ミスも予防できます。
ただし、設定を間違えていると大量誤送信の危険性もあるので、配信テストはしておきましょう。
MAツールの中には、配信テスト機能がついているものもあります。
また、MAツールは送付先からのフィードバックをまとめることや、改善行動をとる前提となる分析にも役立つものです。
ツールを積極的に有効活用しよう
せっかく自社にMAツールや、MAツールと連携しているCRMやSFAが導入されているのに、分析機能が使えていないといった例もしばしばあります。
今まで使いこなせていない機能でも、あらためて積極的に利用してみましょう。
メール配信スタンドなどを使う方法もありますが、MAツールは自動化機能や、テンプレートなどのクリエイティブも充実していることを考えると、それだけ投資する価値があります。
人手に頼ってステップメール配信を行った場合の人件費に比べると、よほどリーズナブルに行えるMAツールへの投資をおすすめします。
適切なステップメールの回数・間隔は?
シナリオに則して必要な回数を考える
BtoBビジネスにおけるステップメールは計4~7通くらいで送ることが多いのですが、そもそも、その回数はどのように決まるのでしょう。
シナリオに則して考えてみましょう。
BtoBビジネスで、もっともシンプルなのはこんなシナリオです。
- (見込み客のアクションの直後)ダウンロードや名刺交換などへのお礼メール
- (2~3日後)自社製品・サービスの基本スペック紹介
- (1週間後)導入事例・ソリューション事例集
- (1週間後)キャンペーン・セミナー・商談会などイベント案内(参加の意向を確認するアンケート付き)
このシナリオの場合、ゴールは非常に明確で、キャンペーンや商談会への勧誘が最終のゴールです。
基本情報は知っている、そして導入事例やソリューションも知っている、その上でキャンペーンやイベントに興味をもった顧客のアクションを促す、というのは、わかりやすいシナリオです。
同時に、確度の高い見込み客であれば欲しいと思う情報も渡しているので、商談に必要な前提条件はそろっているわけです。
ゴールはなにか、そのゴールのアクションを起こさせるのに十分な情報とはなにか、という視点で、渡すべき情報や、十分かつ購読者に飽きられない回数を考えるとよいのではないでしょうか。
上記の事例では、アクションを起こすターゲットデート=イベント開催日が決まっているので、上記の回数に加えて、リマインド1回、などとしてもよいでしょう。
間隔はターゲットデートから逆算して考える
間隔も逆算して考えると適切です。
お礼を別とすると、最終的にアクションを起こすスケジュールから逆算して、間隔を考えるのが効果的、と言えるでしょうし、また開封率も上がります。
上記のシナリオはキャンペーンや商談会、というターゲットデートのあるものです。
そこから逆算して、イベントの前に出席の見込みを知る必要があるスケジュールで、相手に忘れられない間隔で送る、という点を考慮すれば、過去の顧客の行動分析から適切な時期が見えてくるでしょう。
MAツールはイベントに際して、こうしたスケジュール設定も自動でしてくれるので、この点でも非常に便利なツールです。
読んでもらえるステップメール作成を目指そう
ステップメールの目的は、適切なコンテンツや相手の欲する情報を提供することでアプローチし、リードを確度の高い見込み客に育てること。
成功のためには次のようなポイントを踏まえて作成、送付するようにしましょう。
- 目的の明確化
- リード創出から、商談のクロージングまでの全体のシナリオ作成
- メリットとしてもたらされるものを明確化、無駄なく作る
- リードとの関係性の考慮
作成・送付にあたっては、MAツールなどのツールを使うと、シナリオ作成も自動、その上、コンテンツのテンプレートを美しく設定できます。
その上、送付作業そのものも効率化できるので、ぜひ活かしてみましょう。