中小企業のための顧客管理システム比較:選ぶポイントとおすすめツール13選
アフターコロナの生き残りのため、CRM(顧客管理システム)を導入し営業活動を効率化したいと検討中の方も多いのではないでしょうか。
しかし、CRMの種類は実に豊富。
機能や特徴も似通っているので、自社にあったツールを選ぶのはひと苦労です。
そこで、本記事では売上アップをはかる中小企業のために13ツールを比較しました。
CRMの機能・選ぶポイントを解説した後に、下記の13個のツールを紹介します。
分類 | コスト | 操作性 | 外部連携 | 機能 | サポート | |
---|---|---|---|---|---|---|
eセールスマネージャーRemix | SFA | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ |
Knowledge Suite | SFA | ◎ | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
Salesforce | SFA | △ | △ | 〇 | ◎ | 〇 |
Senses | SFA | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
Zoho CRM | SFA | ◎ | △ | 〇 | 〇 | △ |
ちきゅう | SFA | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
HubSpot | MA | 〇 | △ | 〇 | ◎ | 〇 |
Kairos3 | MA | ◎ | ◎ | △ | 〇 | 〇 |
MOTENASU | MA | △ | △ | 〇 | 〇 | △ |
SATORI | MA | 〇 | ◎ | △ | 〇 | 〇 |
kintone | その他 | ◎ | 〇 | △ | △ | 〇 |
Microsoft Dynamics 365 | その他 | △ | △ | 〇 | ◎ | 〇 |
Sansan | その他 | ◎ | 〇 | 〇 | △ | △ |
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そもそも顧客管理ソフトとは?
顧客管理ソフトとは
顧客管理ソフトとは、顧客情報を包括的かつ効率よく管理する「顧客との関係のマネジメント」に不可欠なシステムのことを指します。
従来、顧客情報は多くの企業で管理・蓄積されてきたものの、手作業で管理されたり、顧客ごとに管理する部署や組織がバラバラであることが一般的でした。
しかし、管理ソフトの普及で、顧客情報の可視化による状況把握の短縮や、営業活動や各業務プロセスの効率化が進んでいます。
顧客管理ソフトの基本機能
顧客管理ソフトの基本機能は、顧客の部署、氏名、住所、性別といった属性や、その他様々な情報の管理です。
商品の販売・サービス提供のために使われます。
ソフトによって基本機能以外に、下記機能が付いてきます。
営業支援機能
営業担当者の活動を管理・サポートする機能。
高度なデータ分析が行えるものもあり、より正確な売上予測や、効果的な営業戦略を立てる際に役立ちます。
マーケティング支援機能
顧客へのメール配信やソーシャルメディアとの連携、キャンペーンの管理といったマーケティング活動を行う機能。メール配信などを自動化できる機能(マーケティングオートメーション)が付いたものもあります。
グループウェア機能
企業内の情報共有のための機能。
タスク管理、ファイル共有、掲示板機能といったものがあります。
顧客サポート機能
顧客からの問い合わせを管理・共有する機能。
問い合わせに応じて適した担当者を割り当てたりといったことができます。
顧客管理ソフトを導入するメリット
企業に顧客管理ソフトを導入するメリットは以下の通りです。
顧客情報の一元化
顧客管理ソフトを導入することで、これまでバラバラになっていた顧客情報を一元管理することができます。
また、集約された顧客情報をもとに、詳細な分析をすることが可能になります。
経営戦略の立案の多様化
徹底した顧客管理を行うことは、経営戦略の多様化に繋がります。
さまざまな情報を蓄積し、分析を行うことで、将来的な経営戦略や方向性を決定していく上で重要な指標を得ることができるからです。
業務効率化
顧客管理ソフトの導入は、従業員の業務効率化や生産性向上にも寄与します。
顧客情報の一元化によって、案件ごとの詳細や進捗をリアルタイムで知ることができるなど、これまで情報共有や内容の把握に時間を費やされていた業務プロセスを簡略化できます。
顧客満足度の向上
顧客管理ソフトの活用は企業側だけでなく、顧客側のメリットにもなり得ます。
従来であれば均一化された顧客管理が一般的でしたが、顧客管理ソフトの活用によって、顧客ごとのきめ細やかな管理が可能になります。
それにより、顧客目線でのセールスやマーケティングが行えるようになり、顧客満足度の向上に繋がるでしょう。
詳しくはこちらにまとめてあるので参考にしてください。
顧客管理とは
▼
CRMとは
▼
顧客管理ソフトを選ぶ際の5つのポイント
顧客管理ソフトを選ぶ際は、以下の5つのポイントを押さえることをおすすめします。
組織内の課題を解決できるかどうか
顧客管理ソフトを導入する際は、組織内の課題や問題点、導入の目的を明確にすることが大切です。
「どんな問題(課題)を解決したいのか」
「顧客との関係性をどのように構築したいのか」
といった目的やゴールをあらかじめ明確にしておきましょう。
コストが負担にならないか
いくら業務効率や生産性が高まるからといって、導入によって生じるコストが費用対効果に見合わない結果となってしまっては、かえって企業の足かせになってしまいます。
特に、顧客管理ソフトは選択するシステムによって機能もサービス内容も大きく違ってきます。
問題解決に不可欠な機能やサービス面とコストとのバランスを見極めて、導入を検討するようにしましょう。
誰でも簡単に使うことができるか
顧客管理ソフトを検討する上で重要な項目となるのが、誰でも簡単に使えるか、という点です。
企業によっては、システムやソフトの導入を決定する人と実際に利用する人が異なることがあります。
その場合、専門知識の有無やツールへの理解度によって、導入するソフト選定の際の基準となる必要性や重要度の評価に差異が生じる場合があります。
また実際に導入してもツールを使う者に「使いにくい」、「見にくい」と思われてしまうシステムは、現場に定着しなかったり、従業員の負担になってしまいがちです。
どんな従業員でも簡単に使いこなすことができるか、という点は事前に確認しておくことをおすすめします。
外部機能との連携は可能か
導入する顧客管理ソフトによっては、現在、自社内で利用しているシステムと連携させることで利便性や効率化を向上させることが可能です。
ただし、選ぶソフトによって現在利用している機能と連携できないこともあるので、注意が必要です。
サポート体制
システム側からのサポートが期待できるかどうか、サポートの品質も重要なポイントです。
新しいシステムの導入後に、思いがけないトラブルが発生することもあります。
どの程度のサポートが期待できるか、技術面だけではないサポートもあるか、といった面もチェックしておきましょう。
おすすめの顧客管理システム13選
顧客管理システムを選ぶポイントを紹介しました。
「ただ、実際にどのツールが良いのか選ぶのは難しい」
「会社に最適なツールを絞り込むのも大変」
多くの担当者の方は、このような悩みを持たれているのではないでしょうか?
そこで、中小企業におすすめの13個の顧客管理システムを分類別に紹介します。
SFA系の顧客管理システム
営業支援管理システム(SFA)と顧客管理機能が備わったもの。
1ユーザーあたりの課金が一般的です。
eセールスマネージャーRemix
価格
スタンダード版は1ユーザー月額6,000円。閲覧のみのナレッジシェアは2,000円、スケジュールシェア用のエディションは月額1,000円。
上手にエディションを組み合わせることで、利用料をおさえられる。
特徴
日本企業に合わせて設計されており、各種機能が備わっている。
ただしユーザーによっては、機能を絞り、その分価格を下げてほしいといった声も。
アフターフォローに力をいれ、しっかりと導入をサポートすることで高い顧客満足度キープしている。
活用例
ツール導入前は各部署がバラバラに顧客と対応しており、顧客にこれまでの経緯を聞く有様だった。
ツール導入によって、各部門での情報共有が可能に。
特にサポート部門が顧客情報を共有できたことで適切な対応が可能になり、顧客満足度が上がった。
Knowledge Suite
https://ksj.co.jp/knowledgesuite/
価格
利用人数に制限はなく、容量課金制。
グループウェアのみの利用は3GBまでの制限付きで6,000円(月額)。
スタンダード版は5GBまでで月額50,000円、プロフェッショナル版は50GBまでで80,000円。
特徴
ユーザー数を気にせず使えるのがメリット。各種基本機能も備わっている。
不要な機能は非表示にする「減らすカスタマイズ」も可能。
ただ操作性が直感的ではなく分かりにくい、といった意見も。
活用例
ツール導入後、スケジュール・ワークフロー共有機能を活用。
社員全員のスケジュール共有により、不在時の顧客からの問い合わせにも的確な対応が可能に。
全社的に顧客への対応アップを実現できた。
Salesforce
https://www.salesforce.com/jp/
価格
ユーザー数10名までのEssential版は1ユーザー月額3,000円と手ごろ。
但し本格導入にあたっては、1ユーザー月額18,000円のEnterprise版も検討が必要。
特徴
価格面ではやはり障壁は高いが、各種機能が充実している。また最先端の機能も搭載。
AIによってコンバージョンにつながる見込み客や商談、マーケティングメールの成果などの事前予測が可能。
活用例
導入後、イベントで獲得した名刺データを取り込み、自動的にメールを配信するようにした。これによって膨大な数のリード顧客のフォローが可能になった。
Senses
https://product-senses.mazrica.com/
価格
5人までのスターター版は月額25,000円~。
スタンダードなグロース版はユーザー数10名で月額100,000円~、カスタマイズ・AI機能が使えるエンタープライズ版はユーザー数20名で月額300,000円~となる。
導入サポートなどのサービスは別途。
特徴
操作しやすい、直感的に使える、といった声が多い。ただその反面、カスタマイズや分析などがしにくいという意見も。
複雑な連携や運用を視野にいれていないなら良いシステムだといえる。
活用例
導入後、顧客情報の管理・共有ができたことで、アップセル(=商品検討中の顧客に、より高額な上位モデルを購入してもらうこと)を狙えるように。
ツール導入によって、社内で「この契約金額を伸ばすために何をすべきか」という議論が可能になった。
ちきゅう
価格
ライト版が1ユーザー月額1,480円、スタンダード版は2,980円、プロ版は4,980円、エンタープライズ版は9,800円となる。
帳票やカレンダー連携はプロ版から利用可能。
-特徴
日本企業が使いやすい設計のツール。使いやすさにも定評があり、価格も手頃。
ただしライト版はGmail連携もできない。各種機能を可能にしたい場合は、それなりの金額になる。また、複雑な分析には向かないとの声も。
-活用例
以前は既存客への対応は開発部門に任せきりであった。
ツール導入後、顧客情報を一元化することで、営業部門も既存客フォローにまわれるようになった。
他の商材を提案したりした結果、既存客からの依頼が50%ほど増加。
Zoho CRM
価格
スタンダード版は1ユーザー1か月1,440円、プロフェッショナル版は2,400円、エンタープライズ版4,200円、アルティメット版は5,400円となる。
特徴
価格は安いが、機能はそろっており、最先端の機能も取り入れている。
エンタープライズ版からはAI機能が利用でき、データの自動補填や商談化の予測などが可能。
ただ海外製であるため、ユーザーインターフェースなどが日本向きではないといった評価もある。
活用例
BtoCビジネスにシステムを導入した結果、見込み客の顧客管理を細やかにできるように。
たとえばイベント参加へのキャンセルがあった場合、これまでのやり取りからキャンセルの原因を推測できるようになった。
キャンセルを防ぐ対策を取り入れることで、キャンセル率を50%削減できた。
MA系の顧客管理システム
マーケティングオートメーションシステム(MA)と顧客管理機能が備わったもの。
月額定額制や、リード数による課金が一般的です。
HubSpot
価格
スターター版は月額5,400円、プロフェッショナル版は月額96,000円、エンタープライズ版では月額384,000円となる。
コンサルティングサービス・営業システムは別途オプションとなる。
特徴
マーケティングオートメーションの大手として世界的に有名なツールで、外部連携やサポートの質の高さも期待できる。
ただフルに利用すると、価格は高くなる。
無料ツールもあるので、そこから試すのも良い。
活用例
システム導入後、コンサルティングも受けてブログを改善。
以前は50件ほどだった問い合わせ数が、導入後、半年ほどで300~400件となった。
獲得した見込み客へは、自動化機能を活用してステップメールを送信するようにしている。
KAIROS3
https://www.kairosmarketing.net/
価格
初期費用10,000円。
保有リード数100件までは月額6,000円、1,000件までは12,000円と、リード数によって価格が設定されている。
リード数以外にも月間PV数、メール送信数によっても価格が変わる。
API、SFAなど各種オプションあり。
特徴
メールマーケティング、フォローアップの機能の品質の良さに定評あり。
利用量に応じて価格が変えられるので、使わない時には安くおさえられる。
ただ都度稟議が必要な企業にとっては、使いにくい料金設定ともいえる。
活用例
システム導入後、これまで手作業で行っていた作業を自動化でき、作業時間を削減できた。
たとえば、問い合わせフォームから顧客の属性を判断し、タグ付けするまでの作業を自動化できた。
タグによって見込み客か既存客か判別し、顧客ごとに適したメールマガジンを送信している。
MOTENASU
価格
初期費用30万円。
リード登録件数5万件で月額費用100,000円、6万件で120,000円と、リード登録件数によって価格が変わる。
Line、SMS、ダイレクトメッセージ用のオプションもある。
特徴
マーケティングオートメーション用のツール。
DMの発送は、印刷の工程までオートメーション化という特許を取得したオリジナル機能も搭載。
BtoCビジネスに適した機能が充実しており、通販大手企業も利用している。
ただサポートや使い勝手には、ネガティブな意見も。
活用例
現在、システムの公式サイトに、顧客のインタビューが掲載されていない。
SATORI
価格
初期費用300,000円。
月額利用料金は148,000円~とシンプルな料金体系。
従量課金が発生する場合あり。
特徴
マーケティングオートメーションのためのシステム。
問い合わせ前のリード顧客の管理も可能。
Webマーケティングに力をいれたい企業には良い。
活用例
オンラインでの集客に力を入れるためにツールを導入。
見込客の属性情報が可視化でき、それに合わせたコミュニケーション、コンテンツ作成が可能になった。
その他の顧客管理システム
グループウェアなどの機能と顧客管理機能が備わったもの。
1ユーザーごとの課金が一般的です。
kintone
価格
月額1ユーザー1,500円。
780円のライトコースもあり。
ディスク容量は1ユーザーあたり5GB。
ゲストユーザー価格、ディスク増量などのオプションあり。
特徴
価格が安い。またオリジナルアプリ作成できる。
顧客管理、案件管理、問い合わせ管理などを個別にアプリにして管理が可能。
望むツールが簡単に作れるのは良いが、使い勝手の良いアプリを作成するには手間がかかる上、テンプレート外の機能の搭載は難易度が高い。
活用例
非エンジニアがKintoneを利用し、BtoC業務の顧客管理用アプリを作成。
顧客に個別に専任担当者を割り当て、きめ細かくミスのないサポートを実現できた。
その結果、案件数増加につながった。
Microsoft dynamics 365
https://dynamics.microsoft.com/ja-jp/
価格
単体とパッケージ購入に分かれる。
単体の場合、5つのプランがある。
営業部門の顧客管理・販売支援には for Salesプランが向く。
月額1人ユーザーあたり7,070円~。
Customer Insightsサービスの追加料金は、月額163,070円~。
特徴
Microsoft Office製品との連携がしやすいのが特徴。
機能は充実しており、顧客情報の一元管理もすすめやすい。
ただ直感的な操作が難しいとの声があり、システムを浸透させるのが難しい可能性も。
活用例
インサイドセールスとフィールドセールスがCRMに求めるものは異なることもあった。
そこで、Microsoft dynamics365をカスタマイズして利用。
これによって両者が求めるシステムができ、社内の顧客管理を一元化できた。
Sansan
価格
専用スキャナーが1台10,000円(月額)、他は要見積もりとなる。
同社は名刺をスマホで撮影し、登録ができる無料アプリEightも提供している。
特徴
名刺をベースに顧客管理を行うシステム。
インパクトのある宣伝でもお馴染みのサービスだが、コロナ禍により名刺交換の機会が減ったため、活用の場が減ったとの声も。
また名刺だけの顧客管理はやや弱い面もある。
SalesforceやKintoneといったCRMとの連携も可能なので、足りない機能は他ツールで補う手もあり。
活用例
SansanとKintoneを連携させた Sansan for kintone を導入。
顧客データの手入力の手間をなくし、人脈の可視化を実現した。
顧客管理システムで業務効率化と顧客満足度を両立させよう!
導入に際して、顧客管理ソフトのメリットやデメリット、システムを選ぶ際のポイントや注意点を事前に把握して、自社に最適なシステムを選びましょう。
システム活用により顧客満足度を上げるとともに、売上アップと業務効率化も可能となります。
CRM導入を考えている方々に対して弊社では無料でお役立ちコンテンツを提供しています。
導入を考えている場合は以下を参考にしてください。
CRM導入による体制構築で失敗しないポイント