不動産業界に最適なSFAとは? メリットや活用事例、おすすめのSFAツールを紹介!
近年、さまざまな企業で課題解決のために進められているDX(=デジタルトランスフォーメーション)およびデジタルシフトですが、まだまだ着手できていない企業が大多数。
中でも、とくにIT化が遅れているのが不動産業界です。
不動産業界では、膨大な情報を扱うにも関わらず、多くの業務が未だアナログ方式のため、業務の非効率性や長時間労働の慢性化が業界全体の課題とされています。
そこで解決策となるのが、営業活動の効率化や顧客情報の管理・分析に役立つSFA(営業支援システム)。
本記事では、不動産業界が抱える課題にSFAがどう役立つのかをはじめ、メリットや実際の活用事例、おすすめのSFAツールを解説します。
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不動産業界が抱える課題とは
まずはじめに、不動産業界が抱える課題についてみていきます。
長時間労働の慢性化
パーソル総合研究所と東京大学中原淳准教授の「残業実態調査」※の結果によると、残業時間が30時間以上に及ぶ従業員の割合が不動産業では31.8%(月平均21.6時間)と、14業種のうち4番目のとなっています。
※参照:パーソル総合研究所/東京大学 中原淳准教授 残業実態調査
https://rc.persol-group.co.jp/news/201802081000.html
業務効率化・デジタル化が進んでいない
総務省の調査した「令和元年通信利用動向調査報告書(企業編)」※のテレワーク導入状況の推移によると、令和元年の不動産業のテレワーク率は25.4(平成30年:16.6%、平成29年:9.5%)と、情報通信業や金融・保険業と比べて半分程度の割合にとどまっています。
また、業界の慣習として「実力主義」や「非効率な業務プロセス」が常態化しており、業務効率化・デジタル化が進んでいないのが実情です。
参照:総務省 令和元年 通信利用動向調査報告書(企業編) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201900_002.pdf
多様化するニーズに対応できていない
近年、インターネットの普及により、不動産を購入するニーズは多様化しており、従来型の営業スタイルやマーケティング戦略はすでに通用しなくなりつつあります。
にもかかわらず、不動産業界ではアナログな業務や長時間労働の常態化など、非効率業務の温床となっているのが実情です。
そのため、今後はデジタルインフラの整備だけでなく、業務生産性を高めることが喫緊の課題として挙げられています。
なぜ不動産業界にSFAが必要なのか? 活用するメリット
不動産業界が抱える課題を踏まえ、なぜ不動産業界にSFAが必要なのか。
以下では、活用するメリットを列挙して解説します。
顧客情報の資産化を促進
SFAを活用により、これまで企業に横断的に分散していた顧客情報を一元化して集約することで、情報の資産化を促進することができます。
たとえば、同じ部署内でも各営業パーソン同士で顧客情報が管理・共有できていないことも少なくありません。
そのため、顧客に対してアプローチするタイミングを逃してしまい、離脱(機会損失)が発生してしまうことも。
このような機会損失を防ぐためにも、SFAを活用して営業とマーケティングの連携を図りましょう。
また営業とマーケティングの情報共有が深まることで、時間や費用などコスト削減のメリットも期待できます。
結果として、コストパフォーマンスの高い営業活動を実現することが可能です。
成約率の高い営業活動の実現
SFAの活用は、成約率の高い営業活動につながります。
SFAの機能を使うことで、顧客情報や行動履歴、商談状況など、あらゆるデータを分析し、顧客一人ひとりに合ったアプローチをすることが可能。
顧客の流入経路や購買行動に基づいた、効率的かつ差別化された営業スタイルを構築することができます。
その結果、顧客の情報が反映された、競合と異なる営業方法が可能となり、高い成約率を生み出す営業活動につなげることができます。
顧客満足度の向上
SFAによって、最適なタイミングで顧客にアプローチすることで、顧客満足度の向上が期待できます。
また、顧客満足度を高めることは、LTV(顧客生涯価値)の上昇が見込めるだけでなく、新規顧客の開拓や企業のブランディング強化など、さまざまな相乗効果を生み出します。
不動産業界のSFA活用事例
ここでは、不動産業界で実際にSFAを活用した事例について、それぞれのケースを課題と結果に分類して紹介します。
ケース1:顧客情報の管理・共有による顧客満足度の向上
課題
- 長きにわたり、自社で開発・構築したシステムを使い、顧客情報や物件管理を行ってきた
- しかし、事業の拡大や多角化に伴い、社内に活用できないデータが蓄積
- 定期的に変化する業務内容や規制に合わせてシステムを変更することがコスト的に難しく、非効率な業務が常態化
結果
SFAツールを導入したことで、過去に蓄積したデータの整理を行い、将来的に市場拡大が見込める分野の新しい顧客データに反映。
それにより、多角的なデータ分析が容易になり、顧客に対し、適切なタイミングによるアプローチ、または市場競争力を獲得した結果、顧客満足度の向上につながった。
ケース2:営業活動を可視化することで業務効率化に成功
課題
- 営業活動を行う中で、見込み客が埋没化してしまい、本来なら獲得できていた案件の取りこぼしが発生
- 営業活動自体が属人化していた
結果
SFAの活用により、商談履歴や活動報告などの情報が共有化され、営業力が向上するきっかけに。
また営業プロセスごとのマネジメントや業務の自動化により、データの可視化に成功。
その結果、情報ロスが軽減され、予実管理の精度向上や業務効率化につなげることができた。
不動産業界におすすめのSFAツール5選
営業支援や顧客管理に最適なSFAツールですが、提供されている種類が豊富なため、どれを選んだら良いか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで以下では、不動産業界におすすめのSFAツールを厳選して紹介します。
eセールスマネージャーREMIX CLOUD
特徴
導入実績5,500社以上・利用継続率95%を誇るCRM/SFA。
営業現場で活用しやすい、直感的に理解できるインターフェースや操作性が特徴。
機能
- 営業支援機能
- 顧客管理機能
- コミュニケーション機能
- マーケティング機能
- 分析機能
- 基幹システム・データ連携
- モバイル対応
メリット
日本企業の営業スタイルに特化した営業支援や顧客管理機能を搭載。
システムの導入だけでなく、データ活用の定着、運用の安定化などにフォーカスしたサポート体制が構築されている。
料金体系スケジュールシェア(グループウェアのみ)
月額3,000円/1ユーザーナレッジシェア(閲覧のみ)
月額6,000円/1ユーザースタンダード
月額11,000円/1ユーザー
URL
Sales Cloud
特徴
全世界15万社以上、導入企業は平均25%売上拡大に成功するなど、世界No.1のSFA/CRM。
SalesForceが提供する外部サービスと連携させることで、広範囲にわたる業務の最適化・効率化を図ることが可能。
機能
- 顧客管理機能
- 案件管理機能
- 見込み客管理機能
- 売上予測
- レポート・ダッシュボード
- モバイル対応
- メールの連携
- ワークフローと承認
- ファイル同期と共有
メリット
顧客情報から商談内容、参加したセミナー、取引履歴など、各顧客の情報を総合的かつ一元的に管理・把握が可能。
ドラッグ&ドロップのみの簡単操作。
料金体系
Essentials(ユーザー数10名まで)
3,000円
Professional(基本機能を搭載)
9,000円
Enterprise(自社に合わせたカスタマイズ可能)
18,000円
Unlimited(CRM機能・サポートが無制限)
36,000円
URL
https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/
kintone
特徴
自社のニーズや業務に合わせて必要なアプリを必要なだけ追加可能。
チームや組織の仕事の共有、データの集約化に長けており、時間と場所を選ばないストレスフリーなワークスタイルに最適。
機能
- 営業支援
- 顧客管理
- 外部サービスとの連携
- プロセス管理
- コミュニケーション機能
- モバイル対応
- 多言語対応
メリット
部署や用途に応じてCRMシステムを自由にカスタマイズ可能。
豊富なAPIやプライグイン、100以上の連携サービスなど、豊富な拡張機能。
料金体系
ライトコース
月額780円/1ユーザー
スタンダードコース
月額1,500円/1ユーザー
※30日間無料トライアル有り
URL
Sansan
特徴
名刺管理サービスシェア84%、大企業や官公庁など7,000社の利用実績。
SFAやCRM、MAなど、外部サービスと連携できる拡張性の高さ。
機能
- 名刺管理機能
- 顧客管理(CRM)機能
- コミュニケーション機能
- 連携機能
- セキュリティ機能
メリット
名刺をスキャンしてデータ化することで、顧客データベースの自動更新・管理することができる。
名刺交換を起点として、顧客の会社情報や詳細情報の把握、組織ツリーの自動作成が可能。
料金体系
価格体系は「Lite」、「Standard」、「DX」の3種類。
具体的な価格※については、顧客から提出される見積依頼書に準じて最適なプランを提供
※価格は「初期費用」「導入支援費用」「ライセンス費用」「Sansanスキャナー費用」から構成
URL
Cyzen
特徴
スマホやタブレットを使って、どこにいても簡単に顧客情報や商談履歴を閲覧・記録することができるSFAシステム。
PC不要、スマホやタブレットがあれば誰でも使える仕様や操作感になっているため、ITスキルを問わない設計。
機能
- 営業支援機能
- 顧客情報管理機能
- コミュニケーション機能
- 写真管理機能
- 分析ダッシュボード(BI)
- システム連携
メリット
アプリひとつで営業記録を作成できるだけでなく、行動の可視化、情報共有が容易にできるため、営業組織の見える化を構築可能。
料金体系
3,500円/ID
(10IDあたりの契約)
(詳細な価格については公式サイトにある「見積もりフォーム」よりお問い合わせ)
URL
SFAを導入する際の3つの注意点
SFAを導入する際は、SFAツールの特徴や機能、価格だけでなく、以下の3点に注意する必要があります。
以下では、導入する際の注意点について解説します。
自社の業務形態に合った機能を抽出しているか
SFAの導入に際して失敗しがちな要因のひとつに、自社の業務内容と、それを補うSFAの機能がマッチしていないことが挙げられます。
「多くの機能を搭載した方が成果が上がる」と思われがちですが、多過ぎる機能はかえって従業員から「操作が難しそう」「入力が面倒」などと敬遠されたり、悪い印象を与える原因ともなり得ます。
したがって、SFAを導入する際は、自社にとって必要な機能だけに絞るようにしましょう。
モバイル端末に対応しているか
営業マンの業務負担を軽減するためには、PCでの入力に限らず、スマホやタブレットなどのモバイル端末に対応しているかも重要なポイントになります。
「SFAは社外では利用できない」となれば、これまでの業務に加え、SFAに入力する工程だけが増えてしまう事態に。
そうならないためにも、営業マンが外出先で使える仕様を選ぶことが重要です。
誰でも簡単に使いこなせる仕様になっているか
システムの定着を促すためには、SFAを利用する営業マンにとって使いやすい仕様のものを選ぶことも大切な要素です。
たとえば、入力項目が多いSFAだと、入力作業が負荷や負担につながり、結果的に従業員がシステムに入力することを怠るなど、正確なデータが確認できない事態に。
そうならないためにも、あらかじめインターフェースや仕様を確認したり、営業マンに実際に使ってもらうなどの試験段階を設けるようにしましょう。
不動産業界が抱える課題解決にはSFAツールの活用が必須!
不動産業界を取り巻く環境は劇的に変化しており、今後、デジタルシフトや労働環境の改善を求める声はより一層高まることが予想されます。
従来型の営業手法や業務プロセスを継続するのではなく、SFAツールを活用し、業務効率化や顧客満足度を高めるよう施策を検討しましょう。