オプトアウト(opt out)は使えるか?オプトインとの違いも解説
オプトアウト(opt out)は、個人情報を扱う方法の一つです。手間がかからない方法のように見えますが、正しく扱うためには法令によるさまざまな制約があります。また、どのような用途でも使えるとは限りません。
この記事では対となる「オプトイン」も含めて、オプトアウトについて詳しく解説します。どのような特徴や注意点があるか、オプトアウトが可能な用途について、詳しく確認していきましょう。
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オプトアウトとはなにか?オプトインとどう違う?
オプトアウト(opt out)とは、あらかじめ顧客の許可を取らずに個人データを扱うことを指します。一例として、「企業の役員に関する情報を収集する」ケースが挙げられます。
ときには、顧客から個人情報を使わないよう申し出がされる場合があります。その際は、すみやかにデータの活用を停止しましょう。
オプトアウトの対義語「オプトイン」とは
オプトアウトの理解を深めるために、対義語であるオプトインの意味も理解しておきましょう。
オプトイン(opt in)とは、個人データの利用許可を事前に顧客から得た上で使う方法を指します。メルマガの送信や第三者へのデータ提供は、代表的な例です。
例としては、自社メディアの会員登録時に「お得な情報をメールでお送りしてもよいですか?」と同意を求めて、受け取り許可を選んだ顧客にメールを送ることが挙げられます。
オプトアウトとオプトインの違い
オプトアウトとオプトインの違いは、以下のとおりです。顧客のデータを活用する際に、事前に承諾を得ているかどうかがポイントです。
用語 | 内容 |
オプトアウト | 顧客のデータ活用にあたり事前の承諾を得ず、顧客による事後承諾や暗黙の承諾を得る |
オプトイン | 顧客のデータを活用する前に、事前の承諾を得る |
加えて特定電子メール法や個人情報保護法など、法令を遵守することも重要です。
オプトアウト方式を使うメリット・デメリット
オプトアウト方式を選ぶうえで、メリットとデメリットを押さえておくことは重要です。よく理解し、トラブルを防ぎましょう。
オプトアウト方式を使うメリット
オプトアウト方式には、以下のメリットがあります。
- 顧客の意向を前もって確認する手間が省ける
- データの管理が楽になる
- 顧客にスピーディーに情報を提供できる
法人によっては、数万人以上のユーザーを抱えるケースも少なくありません。オプトアウト方式を選ぶことで事前に確認する手間を省け、スピーディーな対応や情報を提供できるメリットが得られます。
オプトアウト方式を使うデメリット
オプトアウト方式の大きなデメリットに、自社の信用が下がることが挙げられます。ユーザーの明示的な承諾を得ていないことが主な理由です。結果として「勝手にメールが送り付けられた」「勝手に他社に情報が提供された」などとユーザーが感じれば、法的な問題がなくても企業イメージが下がるリスクがあります。
地域や用途によっては、オプトアウトが法令違反となるケースもあります。たとえば、EUでサービスを提供する場合は、オプトインが原則です。オプトアウトでデータを使うと、制裁金などのペナルティを受けるおそれがあります。
日本でも、メルマガなどのメール配信を行う場合は、オプトインが原則です。オプトアウトで送信すると、刑事罰の対象となり得ます。
近年では、アウトソーシングを活用する企業も多いでしょう。この場合は、オプトインで事前に顧客の承諾を取ることが原則です。アウトソーシングとCRM/SFAの活用は、以下の記事をご参照ください。
特定電子メール法により、オプトアウトによるメッセージの送信は違法になった
宣伝広告の目的でメールを活用する場合、オプトアウト方式は違法です。法令違反とならないよう、特定電子メール法をよく理解しておきましょう。
特定電子メール法とは
特定電子メール法(正式名称:特定電子メールの送信の適正化などに関する法律)とは、2002年に施行された、宣伝広告を目的としたメール送信を規制するための法律です。
インターネットの普及で、宣伝広告を目的としたメールを一方的に送りつける迷惑メールが社会問題化し、総務省によって特定電子メール法が定められました。特定電子メール法により、以下を守る必要性が出てきました。
- 相手の承諾なしでメールを送信しない
- メールに必要事項(※)を記載する
- 送信者アドレスのなりすましの禁止
- 受信拒否の申請をした相手にメールを送信しない
※ 送信者の氏名または名称、住所、電話、メールアドレス、受信拒否の方法
つまり、宣伝広告のメールを送信したい場合は、オプトイン形式を採用する必要があります。
特定電子メール法の適用範囲
特定電子メール法は、宣伝広告のために送られるメッセージであれば対象に含まれます。送信元は国内・海外を問いません。また電子メールはもちろん、SMSなども含まれることに注意してください。
特定電子メール法に違反した場合の刑罰
特定電子メールに違反した場合は、総務大臣および消費者庁からメール送信方法の改善に関する必要な措置を取るように命じられます。この命令に応じない場合には1年以下の懲役または100万円以下(法人の場合は3,000万円以下)の罰金に処せられます。
また、送信者を偽ってメールを送信した場合も、処罰が科せられるので注意しましょう。
オプトアウト方式の手続き方法
個人情報はメルマガ送信以外にも利用することがあるでしょう。
たとえば、上場企業の場合はグループ会社で顧客情報を利用したいと思うかもしれません。このような場合は、オプトアウト方式も選択肢の一つです。ここでは、個人情報保護法に沿ったオプトアウト方式を採用する際の手続き方法をご紹介します。
オプトアウト方式で使えるデータを把握する
個人情報保護法改正により、以下の情報はオプトアウト方式を使えなくなりました。
- 要配慮個人情報(人種や病歴、犯罪歴など取り扱いに配慮すべき情報)
- 不正な手段で取得した個人情報
- 第三者から提供された個人情報
上記には、加工した個人情報も含みます。違法とならないよう、上記に該当しないことを確認したうえで取り扱いましょう。
個人情報保護委員会へ届け出る
オプトアウト方式を選ぶ場合は、個人情報保護委員会への届出が必要です。公式サイトから届出書をダウンロードして、必要事項を記載して届け出ましょう。書き方は「令和2年改正及び令和3年改正個人情報保護法に基づくオプトアウト手続に係る届出書の記入要領」を確認してください。
なお届出は、国の行政機関として設置されている個人情報保護委員会に対して行ってください。社内で独自に個人情報保護委員会を設置しても、それだけでは要件を満たしません。
プライバシーポリシーに必要な事項を記載する
顧客情報をオプトアウト方式で利用する場合は、Webサイトにプライバシーポリシーや個人情報保護方針を示して、以下の必要な事項を記載しておきましょう。
- 第三者に個人情報を提供する目的(具体的に記述する)
- 第三者に提供する個人情報の項目、および個人情報を取得する方法
- 個人情報を第三者に提供する方法
- 顧客の求めに応じて情報提供を停止すること
- 情報提供の停止を受け付ける方法
- 第三者に提供する個人データの更新方法
- 個人情報保護委員会に届出を提出していること
個人情報を提供した事実や内容を記録する
オプトアウト方式で個人情報を提供した場合は、下記の項目を記録してください。
- 提供した年月日
- 提供先の氏名または名称(法人の場合は代表者の氏名も必要)
- 個人情報の本人を特定するに足る事項
- 個人情報の項目
これらの記録は3年以上保管しておきましょう。
オプトアウトの特徴を理解し、採用には慎重な判断を
オプトアウトには便利な面もありますが、一般のユーザーには歓迎されない場合も多い手法です。使い方しだいでは、自社のイメージダウンにつながるリスクもあります。オプトアウトを選ぶ場合は特徴を理解し、必要性を十分に検討したうえで、慎重な判断と運用を行いましょう。
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