NPS®とは?顧客満足度との関係や営業・マーケティングでの活用方法
NPS®は、顧客ロイヤルティをはかる指標の一つです。この記事では、NPS®の概要や計算方法、顧客満足度との関係、営業・マーケティングでの活用方法を紹介します。
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NPS®の意味は?
NPS®は、Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の頭文字を取ったもので、顧客ロイヤルティをはかるための世界的な指標です。
顧客が購入した商品・サービスについて、「どの程度、親しい友人や家族に紹介する可能性があるか?」と質問することで、推奨度合いを数値化します。
NPS®は、アメリカのコンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー社」のチームによって開発された指標です。Appleやレゴといった世界的に有名な企業によって有効性が証明されたことで、その概念が広がっていきました。
注:ネット・プロモーター・スコア、NPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
NPS®はなぜ重要?
NPS®で数値化が可能な「顧客ロイヤルティ」は、企業の成長や収益性との関連が高いことから、重要な指標と考えられています。
顧客ロイヤルティは、自社の商品やサービス、ブランドなどに対する愛着を意味し、ロイヤルティの高い顧客が多いほど、中長期的に売上が安定します。また、ブランドのファンになった顧客が、自身の友人や家族などに商品・サービスに関する口コミを拡散することで、新規顧客が増える効果も期待できます。
NPS®をLTV(生涯顧客価値)の指標として活用することで、LTVの向上を目指すことが可能です。
参考:LTV(ライフタイムバリュー)とは?言葉の意味や重要性・計算方法を紹介
顧客満足度(CS)との違い
NPS®と似ている指標に、顧客満足度(CS)があります。
顧客満足度は抽象的なため数値化が難しいという特徴がありますが、NPS®は、商品・サービスの「推奨度」をはかるもので、数値化が可能です。
さらに、NPS®は「その商品・サービスをどの程度、周りの人にすすめたいか」という推奨度を示すことから、「顧客がどの程度満足したか」を示す顧客満足度よりも一歩踏み込んだ指標といえます。
NPS®は、数値の高い顧客がリピーターになる可能性が高く、企業の収益へ中長期的に貢献します。対して、顧客満足度は1回の購買経験に対する評価であり、そのときの顧客の感情や直近の経験に影響を受けやすくなります。
参考:CS(顧客満足度)とは?向上させる4つの具体策と企業の成功事例を紹介
NPS®の営業・マーケティングにおける活用事例
NPS®は、営業・マーケティングにおいて、どのように活用されているのでしょうか。ここでは、具体的な事例を紹介します。
KPI(重要業績評価指標)として設定
NPS®は、商品・サービスの推奨度合いを示す指標であると同時に、企業と顧客の関係性をはかる指標でもあります。NPS®の数値の高い顧客が多いほど、企業と顧客に信頼関係が築けていることを意味します。
NPS®をKPIに設定し、営業・マーケティングの施策を実行することで、施策の成果を中長期的に確認することが可能です。
顧客とのタッチポイントごとに課題を抽出
見込み客が商品・サービスを認知し、購入にいたるまでには、さまざまなタッチポイントがあります。タッチポイントごとに指標となるNPS®を設定することで、各タッチポイントの最適化が目指せます。
スマートフォンやSNSの普及により、顧客の購買行動は、複雑化・多様化が進んでいるのが現状です。「認知→興味・関心→情報収集→比較検討→購買」のような一連の購買行動の中で、それぞれのタッチポイントの課題を抽出するために、NPS®が活用されています。
カスタマーエクスペリエンス(CX)の改善
カスタマーエクスペリエンス(CX)は、日本語で「顧客体験」を意味する言葉です。
近年、商品・サービスを購入する段階での顧客体験だけでなく、購入にいたるまでに企業側が顧客に提供する一連の体験を、最適化しようとする動きがあります。
「テレビCMを見る→店舗で購入する」のように、購買体験そのものがシンプルだった時代には、単純に商品・サービスに興味を持ってもらえれば、一定数の見込み客が購入にいたることが期待できました。
しかし、見込み客が購買行動に移る前にWeb上の口コミやSNSで情報収集が可能になった現代では、購買以前のプロセスにおいても、顧客体験の改善が不可欠です。
NPS®は、各タッチポイントにおいて課題を抽出し、顧客体験を改善するうえでも役立ちます。
参考:CXを営業に活かすには? 戦略的に売上アップする方法や成功事例を解説
NPS®の算出方法
NPS® (Net Promoter Score):顧客ロイヤルティを数値化する指標
算出方法
NPS®を算出する手順は、以下のとおりです。
「あなたは(商品・サービス)を、友人や家族にどの程度おすすめしたいですか?」と質問し、おすすめ度合いを0点〜10点で評価してもらいます。
その結果を、次のように分類します。
点数 | 分類 | 特徴 |
9〜10点を付けた人 | 推奨者 | ロイヤルティが高く、商品・サービスを周りの人に紹介してくれる可能性がある |
7〜8点を付けた人 | 中立者 | 商品・サービスにある程度満足しているが、推奨者ほどのロイヤルティはなく、他社に流れる可能性がある |
0〜6点を付けた人 | 批判者 | 商品・サービスに不満があり、悪い口コミを広げる可能性がある |
NPS®のスコアは、次のように算出します。
推奨者の割合(%)- 批判者の割合(%)
<計算例>
回答者:1,000人
分類 | 人数 | 割合(合計100%) |
推奨者 | 500人 | 500 ÷ 1,000 = 50% |
中立者 | 800人 | 800 ÷ 1,000 = 80% |
批判者 | 200人 | 200 ÷ 1,000 = 20% |
NPS®のスコアは、「推奨者の割合(%)- 批判者の割合(%)」で求めるため、上記の例では、「50%(推奨者) – 20%(批判者)= 30」となります。
NPS®の目安
NPS®の目安は、こちらを参考にしてください。
- 0以上 → 良い
- 20以上 → 好ましい
- 50以上 → 優秀
- 80以上 → トップレベル
NPS®のスコアは、推奨者の割合が多くなればなるほど高くなります。批判者よりも推奨者の割合が多いと0を超えるため、そこが最低限目指していくべきレベルといえます。
50を超えると平均以上、80を超えるとトップレベルとなります。
NPS®を営業・マーケティングに活用する際のポイントと注意点
NPS®を営業・マーケティングに活用する際のポイントをまとめました。顧客ロイヤルティの向上をはかるうえでの参考にしてください。
目的を明確にする
NPS®の調査を行う際は、目的を明確にしましょう。それによってターゲットを効果的に絞り込むことが可能になり、調査の有効性が高まります。
ターゲットが定まったら、年齢や居住地といった基本的な属性情報に加えて、購買頻度やリピート率といった条件で、さらに細かくセグメントしましょう。
NPS®以外の指標も参考にする
日本人は、スコアを付ける際に中間値を選ぶ傾向にありますが、NPS®の中間値である5点~6点を付けた人は、批判者に分類されてしまいます。そのため、日本でNPS®の調査を実施するとスコアが低くなりやすいという点は覚えておきましょう。
NPS®以外の指標も参考にしながら、現状を正確に把握することが重要です。NPS®の業界内の平均値も把握しておくと役立ちます。
質問文は具体的にする
NPS®の基本的な質問文は、「あなたは(商品・サービス)を、友人や家族にどの程度おすすめしたいですか?」ですが、ターゲットが限定されている商品・サービスの場合は、より具体的にすると回答の精度が高まります。
たとえば、「もし、この商品・サービスに興味があるという家族や友人がいたら~」、「家族や友人が○○で悩んでいた場合、」のように前置きをすることで、商品・サービスをすすめる具体的なシーンがイメージしやすくなるでしょう。
NPS®を指標にLTV向上を目指そう
企業の売上を中長期的に安定させるには、LTV(生涯顧客価値)の向上が欠かせません。
NPS®は、LTVの向上に大きな影響を与える顧客ロイヤルティをはかるうえで有効な指標です。ただし、NPS®で取得できる情報は限定的で、企業が顧客とよい関係性を築き、LTVの向上を目指すうえで十分とはいえません。
LTVの向上を目指す際は、専用のツールを用いて、営業・マーケティングに関する情報を統合的に数値化することが重要です。
数値化におすすめの代表的なツールとして、CRM(顧客関係管理)ツール、SFA(営業支援ツール)があげられます。CRMで顧客情報を一元管理し、SFAで営業活用を「見える化」し、標準化や効率化を目指すことが可能です。
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