対話型AIサービス「Gemini」とは?ChatGPTとの違いや活用法、注意点を解説
Gemini(ジェミニ)は、Googleが開発した対話型AIサービスです。元々はGoogle Bardというサービス名でしたが、2024年2月にサービス名が変更されGeminiという名前になりました。
これらのサービスは、2023年5月から試験運用ながら日本語版もスタートしており、さまざまなアップデートを経て利便性が向上しています。
そして、ChatGPTと同様の対話型AIでありながら、リアルタイムの情報をベースとした回答を入手できるなどの違いもあり、注目度が高まっています。
そこで本記事では、Geminiの特徴やChatGPTとの違い、ビジネスでの活用法などをまとめました。利用時の注意点も解説しているため、自社への導入を検討している場合はぜひ参考にしてください。
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Geminiの特徴
Geminiとは
「Gemini」とは、Googleが試験運用中のAIチャットサービスです。
Chat GPTなどの対話型AIモデルと同様に、ユーザーの質問への回答や文章の自動生成、言語翻訳、ソースコードの生成、要約といった対応ができます。
Geminiは、Google Bardとして2023年3月21日にアメリカとイギリスで実験版が公開されました。2023年5月11日からは日本語対応が可能となり、2024年2月に大幅なアップデートとともにサービス名がGeminiに変更されました。
AIモデルGeminiの使用
「Gemini」はGoogleが開発した最新AIモデルの総称で、高度な自然言語処理能力と情報処理能力が備わっているのが特徴です。
無料プランでは、「Gemini Pro」という汎用性の高いAIモデルが使用されており、有料プランでは「Gemini Ultra」という最上位のAIモデルが使用されています。
Google検索によるリアルタイムな結果を回答
Geminiでは、Google検索などと連動して回答を行っています。そのため、Web上からリアルタイムの最新情報を得ることが可能で、新鮮で質の高い回答を期待できます。
検索エンジンへのスムーズな移行
Geminiでは、回答結果の下に「回答を再確認」ボタンが設置されていて、このボタンをクリックすると回答に関連するトピックのリンクが表示されます。ユーザーはかんたんにGoogleの検索結果に移行でき、関連情報をより詳細に知ることができます。
この機能を使うことで、回答結果のファクトチェックをすることも可能です。
拡張機能でさらに便利に
Geminiは2023年12月19日に拡張機能が追加され、YouTubeやGoogle マップ、Google ホテル、Google フライト等の各サービス内で扱っているコンテンツも回答に利用されるようになりました。
また、個人のGoogleアカウントで利用しているGmail、Google ドキュメント、Google ドライブ内のデータについても、チャットの回答に利用できるようになっています。
GeminiとChatGPTの違い
GeminiとChatGPTはともに対話型AIモデルではあるものの、回答の精度や関連機能などに違いがあります。それぞれの違いを比較しながら詳しく解説します。
GeminiとChatGPTの比較
Gemini | ChatGPT | |
言語モデル | 無料プラン Gemini Pro 有料プラン Gemini Ultra | 無料プラン GPT-3.5 GPT-4o(限定アクセス) 有料プラン GPT-4 GPT-4o GPT-3.5 |
料金体系 | 無料プランと月額2,900円(税別)の有料プラン(Gemini Advanced) | 無料プランと月額20ドルの有料プラン |
回答の精度 | Google検索情報や各種Googleツールから関連情報を検索しているため、リアルタイム情報で精度も高い | 2021年9月までの情報がベース(無料プランでGPT3.5を利用する場合) |
質問に対する回答数 | 1つの質問に対して3つの回答 | 1つの質問に対して1つの回答 |
連携しやすいシステム、アプリ | Googleが提供しているサービス | Microsoftのサービス |
その他 | Kayak/Open Table/ZipRecruiter/Instacartなどの多くのパートナー企業と連携予定 |
言語モデル
Geminiの言語モデルは、Googleが長年開発してきたAIの「LaMDA」および「PaLM2」の後継である「Gemini」をもとに開発されています。無料プランではGemini Pro、有料プランではGemini Ultraを利用できます。
一方のChatGPTは、無料プランでは従来のGPT-3.5技術と、最新のGPT-4oを切り替えることができるようになっています。ただし、無料プランでのGPT-4oの利用回数には制限があり、有料プランに加入することで、GPT-4o、GPT-4、GPT-3.5のそれぞれを利用できるようになります。
料金体系
Geminiには無料プランと、Gemini Advancedという月額2,900円(税別)の有料プランがあります。ChatGPTには無料プランと、月額20ドルで「GPT-4」や「GPT-4o」が利用できる有料プランがあります。
回答の精度
Geminiは最新のGoogle検索の他、さまざまなGoogleツールから関連情報を検索して回答内に一括で表示できます。リアルタイムの情報を得られるため、回答精度は高いといえるでしょう。
一方、ChatGPTの無料版では、2021年9月までの情報をもとに学習しているため、最新ではない情報にもとづく回答になります。ただし、限定アクセスとしてGPT-4oを利用する場合や有料版を利用する場合は、最新情報を得られます。
質問に対する回答数
Geminiは1つの質問に対して3つの回答が提示されるのに対し、ChatGPTは、質問1つに対して1つの回答です。
連携しやすいシステム、アプリ
Geminiは、Googleが提供している多くのサービスと連携できます。ChatGPTはOpenAIが開発しMicrosoftが出資しているため、Microsoftのサービスと親和性が高いのが特徴です。
その他
GeminiはKayakやOpenTable、ZipRecruiter、Instacartなどの多くのパートナー企業と連携予定で、サービスがより充実していくでしょう。
Geminiでできること
Geminiは情報収集や文章の校正、プログラミングなど、ビジネスシーンで活用できる機能が豊富です。その一部を紹介します。
情報収集
Geminiはユーザーがテキストボックスに入力した質問に対して、Googleの蓄積した情報から適切な回答を提供してくれます。何かを調べたい、ビジネスヒントを得たい、アイディアが浮かばない、といった際に活用すると、最新情報をベースに回答してくれるでしょう。
また、1つの質問に対して3つの異なる答えが提示されるため、情報の多様性を活かして異なる観点からアドバイスを受けられるのも特徴です。
文章の要約
Geminiは、ニュース記事や論文など長文の要点を抽出してまとめてくれます。対象ページのURLを貼り付けるだけでその内容を要約してくれます。
文章の翻訳
Geminiは翻訳機能も優れており、翻訳した結果をエクスポートアイコンからGoogleドキュメントにかんたんに保存できます。
文章の校正・校閲
Geminiは文章の校正・校閲もやってくれるため、時間やコストの削減になります。日本語としてとても滑らかな表現に仕上がるのも魅力です。
画像生成
Geminiでは、テキストで指示を出すことで、イメージ通りのオリジナル画像をかんたんに生成することが可能です。ただし、日本語での画像生成には対応していないため、指示内容を英語でのプロンプトとして入力する必要があります。
画像の読み込み
Geminiでは、アップロードした画像を読み込むことができます。アップロードすると、AIが画像の内容を説明してくれます。手書きのメモを文章に起こしたり、商品写真をもとにキャッチコピーを作ったりすることも可能です。
プログラミング
ChatGPT同様に、Geminiもプログラミングが得意です。C++・Java・JavaScript・Pythonなど20以上のプログラミング言語に対応しており、かんたんなコードから複雑なものまでさまざまな種類のコード生成に役立ちます。
メールの作成
GeminiはGmailとも連携しているため、質の高いメールを作成して保存できます。営業用のメルマガの文面や求人メールなども、時間をかけずにかんたんに作ってくれるでしょう。
文章の創作
Geminiでは、キャッチコピーやビジネス文書、インタビューの台本などの文章を創作することもできます。自分にはない知見を活かした名文章を提案してくれることも期待できます。
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Geminiを利用する際の注意点
ビジネスにおいても有効活用できるGeminiですが、使う際には注意しておきたいポイントもあります。以下を参考にしてください。
回答は正確ではない可能性に留意する
GeminiやChatGPTなどの対話型AIサービスは、単純に膨大なデータにもとづいて回答を作るため、元データに誤りが含まれていれば正確な回答を得られないことになります。
回答をそのまま鵜呑みにしないで、文章の正確性や論理的なつながりなどを確認し、必要に応じて修正しましょう。
常識的な判断をしていないことにも注意
Geminiは常識的に良い悪いを判断することなくタスクを実行するため、たとえば悪意のあるソースコードやEメールの文面を生成させて、詐欺に悪用することもできてしまいます。
生成された文章が適切な言葉づかいであるかどうかなどを確認し、法律や常識の枠を超えることなく活用しましょう。
運用ルールを作る
前述のように、Geminiを使っても正しい情報を得られない可能性もあることから、ビジネスで利用する場合はあらかじめルールを作っておくとよいでしょう。
Geminiにより自動文章生成や自動翻訳といった面で業務の効率アップを期待できるものの、正しい情報を利用するためにGeminiをどこまで介入させるか、人の目を行き届かせるにはどのような体制で管理するかなどを決めておく必要があります。
また、Geminiでは回答内容に関するGoogle検索結果を元もとファクトチェックも可能になっています。業務でGeminiを利用する場合は、回答内容だけではなく情報源についても確認するようにしましょう。
情報はアカウント上に保存される
ユーザーが送信した質問や受信した回答、提供したフィードバックなどの情報は、Google アカウント上に保存され、情報ソースとして利用されることになります。気になる場合はオフ設定にする、自動削除する期間を設定するなどの対応をお勧めします。
1度の回答で複数の拡張機能を使うのは難しい
現状では、1度の回答で複数の拡張機能をまたいだ回答を求めるのは難しい傾向があります。
たとえば、Google マップ、Google フライト、Google ホテルの情報をもとに、移動から宿泊までの一連のガイドを一度に提示することは難しく、質問や指示を繰り返して旅程を組み立てていく必要があります。
まとめ:Geminiを活用してビジネスをDXさせよう
GeminiはGoogleが試験運用中のAIチャットサービスです。Google検索やその他ツールと連携して、リアルタイムの情報を利用した回答を無料で得られる点が、ChatGPTとの大きな違いです。
Geminiは情報収集や文章の要約、文章創造、画像生成、プログラミングなどが可能です。ビジネスシーンにおいて業務の効率化が進み、コスト削減も期待できるでしょう。
また、GeminiやChatGPT等のAIツールを活用することで、ビジネスのさまざまな業務を効率化させることも可能になります。
特に企業の営業・マーケティング活動に関してはAIツールで効率化できる部分も多いものの、まだまだうまく活用できている企業は少ないのが現状です。
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