知らなきゃ損!成果につながる「営業のコツ」伝授の秘訣
多くの企業にとって売上の維持・向上が難しい時代が続いています。
売上を伸ばすためにも、営業マンに何とかして「営業のコツ」をつかんでほしい・・・そう考える営業部長も多いことでしょう。
そこで本コラムでは、営業部長などマネジメント層が部下に営業のコツを伝えたり、コツをつかんでもらったりするために知っておきたい2つの視点をご紹介します。
このページのコンテンツ
1章 もう一伸びしてほしい部下が「営業のコツ」をつかむために
こんな「営業のコツ」の伝え方は失敗する!
「そんな営業じゃダメだ!俺の若いころは土日も担当者の自宅まで行っていたものだ!」「とにかく名刺を集めるんだ!1日5件は商談に行って来い!」――営業の現場でこんな声を耳にしたら、あなたはどう思いますか?
「昔とは時代が違うのだから、アプローチの仕方も変わって当然。“足”で稼ぐ時代ではないのだから、やみくもに訪問しても効率が悪い」と感じた方。
それは正しい感性でしょう。
今や営業は“頑張り”や“気合い”、“気持ち”で売れる時代ではなくなりました。
高度成長期のように、国中に需要があふれていて、売り先が山ほどあった時代には、とにかく動くことで売上を伸ばせたでしょう。
しかし時代が変わった今。企業は1つのものを購入するにも慎重になりました。
購入に至るまで複数関係者の承認が必要となり、その製品であるための明確な理由がなければ、購入には至らないでしょう。
当然ですが、「営業マンの人柄を見て買う」というよりも、いかに自社にとってメリットがあるか、いかにコスト削減につながるかなどを冷静に判断して購買行動を行っているのです。
このような厳しい時代の中「営業のコツ」を伝えようと、過去の“武勇伝”や“前時代的な成功談”を語っても、現場の営業マンには伝わらないのが現実でしょう。
「営業のコツ」はこの2つの視点を持っていれば、ちゃんと伝わる!
ところで「営業のコツ」とは何を指すのでしょうか?
商談やテレアポでのトークテクニックを指す場合もあれば、顧客への提案の方法、飛び込み営業での話しの進め方かもしれません。
確かにそれぞれ、効果的な営業を行う“コツ”というものは存在しますし、経験豊富な営業部長であれば、それぞれのポイントのコツを部下に伝えることはできるでしょう。
実はこの「営業マンが必要としているポイントのコツを適切に伝える」ということが重要です。
つまり、部下が感じている課題を知り、“伸ばすべき部分”に対しアドバイスするということです。
そのためには、正確に部下の長所・短所を知る必要があります。
しかし部下に「営業で何が苦手か」とヒアリングしても、正しく認識していない場合もあります。
いうなれば、部下が「何をわかっていないか、わからない」状態です。
そこで、営業部長は自身や営業マン個人の感覚に頼らずに、数値や客観的な事実をもとに、部下の長所・短所を見つけなければなりません。
そのための手法として紹介したいのが、下記の2つの視点を持つことです。
- 視点1:「ポイントを絞って」コツを伝える
- 視点2:「成功体験」を増やしてコツをつかんでもらう
この2つの視点がどのような内容なのか、次章から詳しく解説していきましょう。
2章 視点1:コツを伝えるポイントを明確にする~営業プロセスを分解して、営業マンのニガテを見つけよう~
漠然と「営業のコツ」を教えても効果にはつながらない!
まず1つ目の視点「コツを教えるべきポイントを明確にする」ということですが、漠然と誰にでも当てはまるようなコツを伝えたり、ありきたりのコツを伝えたりしても、その効果はあまり得られないでしょう。
各営業マンの弱点を探り、ピンポイントで弱点を克服するコツを教えることが必要です。
そのためにはまず、自社の営業の手順を整理し、詳細まで明確にしておくという準備が必要です。
自社の営業プロセスを聞かれた時に「だいたいテレアポをして、アポが取れたら訪問して、見積り、商談、受注という流れかな…」と“何となく”ではなく、下図のように営業プロセスを分解・整理して明確にします。
そして、このような図をもとに、課題がどこにあるのかを掘り下げて考えます。
営業プロセスを「分ける」と「解かる」営業マンの長所・短所
この中で「セールス」部分の「販売・見極め」に課題を感じている…とわかった場合。その時には、さらにその営業プロセスを詳細まで分解します。
例えばそれは、[テレアポ]→[(初回)面談・提案]→[見積]→[稟議]→[受注]→[継続]というような流れになります。
ではなぜ、プロセスに分解する必要があるのでしょうか。
例えば、あなたの部下にAさん、Bさんという2人の営業マンがいたとします。
このAさんとBさんとは、ほとんど受注数も同じくらい。
この2人の営業マンにもっと伸びてほしいと考えている場合、どのように“コツ”を教えればいいでしょうか。
営業プロセスを分解していない状況(下図 左)では、「もっと受注を伸ばすためにはテレアポの件数を増やそう」と言うことしかできないかもしれません。
しかし、プロセスを分解した状態ではどうでしょう(下図 右)。
Aさんの弱点とBさんの弱点が明確になりました。
Aさんはテレアポが改善点でしたが、Bさんはテレアポは問題なく「見積書」に課題があるということになります。
そこで、Aさん、Bさんには、それぞれに合わせてコツを伝えることができるというわけです。
3章 視点2:“売れない”訪問先ばかりに行かないようにする~訪問先を営業マン任せにしないこと~
コツをつかめない営業マンにありがちな行動とは?
冒頭で述べた「今日は必ず5件訪問するように!」というような行動監視は逆効果を招く場合も多々あります。
なぜなら、訪問件数のノルマを課すと、営業マンは案件化しにくくても行きやすい客先にばかり訪れてしまうことになりがちです。
例えば、すでに取引が何度もあり関係性も良好で、新サービスの紹介なども一通り聞いてくれるけれど、そこから売上拡大が見込めない顧客です。
訪問した時に居心地はいいのかもしれませんが、案件化しないばかりか、このような状況だと、営業のコツをつかむことも難しいでしょう。
受注してこそ、営業のコツをつかめる!
それでは営業部長はどのようにして営業マンが営業のコツをつかむのを支援していけばよいのでしょうか。
それには、訪問先を営業マン任せにしてはいけません。
自社の顧客をすべて一元的に管理して、次のように顧客を分類しなければなりません。
A:得意客。売上はこの顧客を中心に考えます。
B:関係性は築けていますが、売上はあまり見込めません。上述した「訪問しやすい顧客」は、この「B」の顧客になります。
C:実績を増やせば「A」に変わるかもしれないポテンシャルを持っています。例えば、ここに注力するという営業戦略を立てることは売上を伸ばすためにも効果的でしょう。
D:実績も拡大余地もない顧客。
次に、営業部長がすべきは、「B」のような「多少は行かなくても良い訪問先」への訪問数を減らし、「A」や「C」に重点的に営業マンを訪問させるようなマネジメントです。
「A」や「C」を重点的に攻めることで、案件化につながり、受注も増えることが予測できます。
こうして成功体験を増やすことで、営業マンは自信を持ち、「こうすれば受注につながりやすい」という営業のコツを、自分自身でもつかみやすくなることでしょう。
「受注させて、コツをつかませる」ということも、マネジメントを考える上で重要です。このような視点も持ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
- 感覚論ではなく、営業のコツを伝える・コツをつかめる方法を知ろう。
- 営業プロセスを分解することで、営業マンの弱点も明確に。弱点を克服するポイントを絞って営業のコツを伝えよう。
- 行きやすい訪問先ばかりでは、営業マンはコツをつかめない。成功体験が営業のコツをつかむことにつながります。