【図解】パイプライン管理とは?効果的な営業マネジメント方法について徹底解説
営業部の売上拡大を実現するためには、営業部全体の改善点を見つけ、効率化する必要があります。
「パイプライン管理」は営業部の改善すべき箇所を発見できるという点で、有効な手法です。
本記事ではパイプライン管理について、その実施目的や方法を詳しく解説します。
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パイプライン管理とは? 実施する目的について
パイプライン管理とは?
パイプライン管理とは、営業活動における一連の業務フローを一つのパイプに見立てて可視化し、分析や改善を行うマネジメント手法です。
上図のように、現在行われている営業活動の業務フローを要素で分け、整理することができます。
パイプライン管理の目的
パイプライン管理を行い、営業活動の業務フローを整理する目的は「改善点の見える化」です。
自社の営業活動を改善して効率化を行うためには、まず改善点を定量的に分析しなければいけません。たとえば、上図の可視化されたパイプラインを見ると、AとBでそれぞれ「どこのフェーズで失注や商談が長引いているのか」が明らかです。
つまり、パイプライン管理を行うことで迅速に原因の特定を行い、改善に向けて動くことが可能になるのです。
逆に、パイプライン管理を行っていない場合は、営業活動のボトルネックを発見できず、原因の特定に大量の時間や人材が割かれる可能性があります。
パイプライン管理は営業活動の課題発見、そして改善までをスピーディーに行う上で重要なマネジメント手法といえるでしょう。
パイプライン管理を実施するメリット
本章では、パイプライン管理を実施するメリットについて、それぞれ営業マネージャーと営業担当者それぞれの視点で紹介します。
営業マネージャー
中長期的な数字や課題を可視化
営業マネージャーは、自社の営業部全体の状況を把握し、中長期的な計画立てを行わなければいけません。しかし、営業部全体を把握するにはさまざまな要素が絡み合うため、データ収集や分析も簡単ではありません。
そこで役立つ手法が、パイプライン管理です。
パイプライン管理によって中長期的な数字や課題を可視化することで、営業マネージャーは各商談フェーズごとの状況を一元管理し、把握することができるのです。
営業担当者の活動を可視化
パイプライン管理で営業データを整理することで、各商談フェーズに応じた営業担当者の活動記録を収集、分析することができるようになります。
パイプライン管理により、問題のある商談フェーズの特定だけでなく、そのフェーズで誰がどのような営業活動を行ったかまで把握できるため、営業マネージャーはより精度の高い分析が可能です。
営業担当者の成長を活発化
各商談フェーズごとに営業担当者の活動記録を参照できれば、営業担当者一人ひとりに対し最適な教育を行うことが可能になります。
営業活動において、それぞれのフェーズによっても向き、不向きが分かれることもあります。個々の能力や成績をフェーズごとに把握し、営業担当者をより効率よく成長させるためにもパイプライン管理は重要です。
また、営業活動の問題として挙げられやすい「属人化」の防止にもつながるため、パイプライン管理は人材育成という点でも役立つ手法といえるでしょう。
営業担当者
営業活動の可視化
パイプライン管理は営業マネージャーにとってだけでなく、営業担当者自身の成績や同僚などの成績が把握しやすくなるという点でも効果的です。
営業部全体のデータをパイプライン管理することで、営業担当者みずから分析・改善を実施できる体制を構築可能なため、営業担当者の自己成長にもつながるでしょう。
また、各商談フェーズによって営業担当者の得意不得意が明確になれば、最適な人員を各フェーズに配置して営業活動を効率化することも可能です。
各商談のゴールを明確化
営業担当者によっては、各商談の目的やゴールが曖昧な状態で臨んでしまい、思うように成果が出ないことがあるかもしれません。
パイプライン管理では、顧客が購入にいたるまでの段階が商談フェーズによって明確になるため、常に一本の業務フローを意識して営業活動に臨めるようになります。
営業の成果に繋がるパイプライン管理方法
パイプライン管理を実施するためには、営業部全体のデータ管理方法を見直す必要があります。
本章ではパイプライン管理方法について、それぞれの手順を図解とともに解説します。
1. 営業業務フローを整理
まずは、自社が現状行っている営業活動の業務フローを整理しましょう。
具体的には以下の方法で整理していきます。
1-1. 自社の営業プロセスの細分化
まず、自社で行われている営業プロセスを細分化します。
営業プロセスを細分化する際のポイントは「顧客の行動を軸に考えること」です。
自社で想定している営業プロセスが顧客に合わない可能性もあるため、適切なカスタマージャーニーマップをもとに細分化していくことをおすすめします。
1-2. 細分化した項目を定義
次に、細分化した業務フローの項目を定義付けしていきます。
「お問い合わせ」の流入元はどの媒体か、ヒアリングはどのように実施されるのかなど、各フェーズごとの業務内容を詳細に定義しておきましょう。
2. 各フェーズごとにゴールを明確化
項目ごとに実施する業務の定義を終えたら、次は各商談フェーズごとのゴールを明確化しましょう。
ここでのポイントは、「各商談フェーズにおける顧客の状態」を定義しておくことです。営業活動全体のゴールは「契約」ですが、細分化した項目のゴールはそれぞれ「次のフェーズに進めること」である点を忘れないようにしましょう。
各商談フェーズごとの顧客の心理を分析して、各フェーズごとに目指すべきゴールを営業担当者が把握できるように、明確化しておくことが重要となります。
3. 各フェーズの顧客数とCVRをグラフなどで可視化
営業活動の整理が完了したら、最後に各商談フェーズごとの営業データを整理します。
既存のデータを整理して、それぞれのフェーズごとの顧客数やCVR(次フェーズへの転換率)を出してみましょう。
ただし、自社でこれらのデータを整理・運用するには非常に手間がかかります。CRM(顧客管理ツール)を活用して、営業データを自動で振り分けるなどのシステム化を実施することも効果的な方法です。
4. 継続的に分析・改善を行う
パイプライン管理を導入した後は、マーケティング部と連携して分析・業務改善を継続的に実施していきましょう。
パイプライン管理で営業マネージャーが注目すべき点としては主に以下のとおりです。
- 前週の各フェーズの顧客数やCVRの増減
- 直近で対応予定の顧客、担当者の確認
- このペースで売上目標の達成は可能か
- 未達の場合、改善点はどこにあるか
これらを把握しておくことで、営業部全体の状況から「改善すべきボトルネック」と「具体的な改善方針」が明確に把握できるようになります。
把握した後に改善を実施する手法としては、以下の「PDCA」を解説した記事をご参考になさってください。
参考:PDCAとは?意味やサイクルを回すポイント、業務改善の成功事例や具体例、OODAとの違いを解説
パイプライン管理で注意したいポイント
パイプライン管理を営業部で実施するにあたり、2点、注意したいポイントがあります。
業務フローの整理に取りかかる前に、本章で紹介する注意点を確認しておきましょう。
Point①:データの運用体制を整えること
パイプライン管理では、各商談フェーズにおけるデータの収集や管理、分析といった業務を強化する必要があります。
営業部だけでなく、マーケティング部と連携してデータ運用を実施したり、専門知識がなくとも管理や分析が行えるCRM(顧客管理ツール)を導入するなど、営業部のデータ運用を実施できる体制を整えましょう。
組織の体制構築を図るうえでは、近年「セールスイネーブルメント」が注目を集めています。
Point②:営業担当者全員が共通認識を持つこと
パイプライン管理を実施するには、営業部の意識改革が必要となります。
一本の業務フロー全体を意識した営業活動を、営業部全体で行う必要があるため、営業担当者それぞれに業務フローや定義、そして各商談フェーズごとのゴールを理解してもらわなければいけません。
営業担当者の全員が最適な営業活動を行えるように、意識改革や業務フローの理解などの教育を継続的に実施しましょう。
以下の記事でも情報共有における重要性を説明していますので、ぜひご参考になさってください。
参考:会社における情報共有方法の目的と目指すべき姿 〜体制構築の落とし穴と改善ポイント〜
業務フローを整理して効率化につなげよう
営業活動では、つい目先の目標達成にのみ注力してしまいがちです。しかし、売上拡大を目指すには営業活動の改善を行い、効率化していくことが重要です。
本記事では、営業活動の改善点を把握するための手法として「パイプライン管理」を解説しました。パイプライン管理を行うことで、営業活動の業務フローを一本に整理し、迅速に原因の特定を行い、改善に向けて動くことが可能になります。
適切な方法でパイプライン管理を導入し、改善点を見える化することで営業担当者の教育や業務改善に活かしましょう。
パイプライン管理以外でも、営業組織の改善や効率化のポイントを解説した資料をご用意しています。無料で配布していますので、下記よりお気軽にダウンロードください。