営業スキルアップを目的としたスキルマップの作り方【ひな形も紹介】
営業活動を成功に導くには、スキルアップをめざし、スキルマップシートを作成して日々、実践していくことが重要です。
本記事では、スキルマップシートの作り方をご紹介します。この記事を読めば、スキルマップシートを参考にしながら人材育成までできるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
また、競争激化に価値抜くための組織づくりに興味がある方は下記の記事をご覧ください。
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営業のスキルアップに役立つスキルマップとは
スキルマップとは、従業員に求めたいスキルをレベルで表したシートをいいます。全従業員の能力を把握し、「人材配置」「人材育成」「人事評価」に活用します。
営業スキルのマップシートを作成する際は、能力と基準を細かく洗い出しましょう。その際に、誰が見ても能力を客観的に把握できるようにしておき、共有しておくことも大切です。
スキルマップの作り方
引用:『厚生労働省スキルマップ』
営業向けのスキルマップを作るときは、厚生労働省が公開している「職業能力評価シート」をテンプレートとして活用する方法がおすすめです。職業能力評価シートには、職種ごとに必要なスキルと評価基準が書かれています。
「職業能力評価シート」はレベル1〜4の段階に分かれており、ステップを進むにつれスキルが向上していく仕組みです。
レベル1は新入社員や未経験者向け、レベル2はシニアスタッフのクラス、レベル3はマネージャーのクラス、レベル4はシニアマネジャークラスと定義されています。
必要なレベルの職業能力評価シートをダウンロードして、自社に必要なスキルをカスタマイズしましょう。
営業スキルアップに必要な6つの能力
職務遂行のための基準に書かれている、営業スキルアップに必要な6つの能力の意味を理解しておきましょう。
お客様と良好な信頼関係を構築する「コミュニケーション能力」
営業において不可欠なのがコミュニケーション能力。しかし、ここで言うコミュニケーション能力とは、日常的に必要な社交性や対話能力ではありません。
営業におけるコミュニケーション能力とは、お客様から信頼されることや、お客様が話す内容を理解して会話を構築していくことを指します。
つまり、相手の意見や考え方を汲み取り、信頼関係を構築することが営業に求められるコミュニケーション能力です。
参考:営業に求められるコミュニケーション能力とは?コミュニケーションマネジメントの必要性も解説
お客様の要望や課題解決のニーズを引き出す「ヒアリング能力」
お客様の要望や潜在的な問題を引き出すのが、営業のヒアリング能力です。
営業で成果を出すためには、お客様に説明や言葉で「伝える」だけでなく、相手の言っていることに耳を傾け「聞く」ことも重要な要素になります。
相手の話を聞くことで「どんな悩みを持っているのか」、「何を求めているのか」といった情報を把握することができます。
徹底的にヒアリングすることでその後の商談の有無につながったり、成約までいたる可能性が高まったりします。
あらゆる要素をもとに仮説を構築する「課題分析(把握)能力」
お客様からヒアリングした要素をもとに仮説を構築する課題分析(把握)能力も、大切な営業スキルの1つと言えるでしょう。
お客様の求める課題解決などの仮説を立てるためには、お客様の抱える顕在的、もしくは潜在的なニーズを抽出する必要があります。
その他にも、顧客の市場や競合他社、機能、価格などを可視化して「お客様には○○と言った課題や問題がありそう」といった仮説を立案することでその後の商談につなげることが可能です。
事前の市場調査や顧客状況の把握、それを踏まえた商談シナリオをあらかじめ描くことで、全体的な商談の流れを掴むことができます。
お客様にとって最適な提案を行う「クロージング能力」
お客様にとって最適な提案を行うのがクロージング能力です。
商談を優位に進めるためには、お客様からヒアリングした内容やそこから導きだした課題分析(把握)を駆使して、お客様に訴求する提案をする必要があります。
そのためには、お客様に説得力ある説明を論理的に行う「ロジカルシンキング」や、お客様の課題や問題点を見える化して伝える営業支援システムを活用するなど、工夫すべき点があります。
的確なヒアリングや円滑なコミュニケーションができていないと、適切な提案が行えなかったり、相手を納得させることができなかったり、非効率な営業活動になってしまいます。
参考:営業におけるクロージングのコツ|成約率を高めるトークとテクニックを解説
クロージング能力を上げたいという方は、下記の資料に必勝法をまとめたので、ぜひダウンロードして読んでみてください。
営業活動を円滑に行う「タイムマネジメント能力」
営業活動を円滑に行うには、時間を有効活用するためのタイムマネジメント能力も必要になります。
タイムマネジメントとは、時間の使い方を改善することで、生産性の向上を図ることを指します。
近年、営業に必要な業務は、多様化するニーズの把握や細分化された課題に対する提案など、複雑な業務が多く、時間を有効活用する工夫が求められます。
営業にかかわるプロセスを逆算して時間配分を適切におこなうことで、スムーズな営業活動をすることが可能です。
タイムマネジメントのメリットや注意点については以下の記事で解説します。
参考:【生産性向上】タイムマネジメントとは?3つのメリットや具体的手順を徹底解説
仕事を前向きに楽しむための「ストレス耐性能力」
重要な営業パーソンが備えておきたいもう一つの能力として、ストレス耐性があります。
たとえばどのようなストレスがあるか書き出してみます。
- 営業目標達成へのプレッシャー
- 新規顧客開拓時の面識のない顧客へのコンタクト
- 契約を結ぶまでそつなく対応するための気配り
- 顧客からのクレーム対応
営業活動は通常の業務とくらべ、初対面の人と会うことの多い仕事です。初対面の人とアポイントを取って会うことは、どれだけ営業経験が長くても神経を遣うものです。
さらに、営業パーソンには営業目標・プロセス目標といったクリアすべき数値項目があり、その結果で評価されます。日常として、このような環境での仕事を楽しめるメンタルをもっていることは、営業職にとって重要な要素です。
また、できる営業マンには7つの共通項があります。詳しく知りたい方は下記の記事をお読みください。
参考:できる営業マンの7つの共通項|今の時代に求められる営業スキルも解説
成果のでない担当者が陥りがちな営業とは?
各担当者でもともと持っている営業スキルは異なりますが、人材教育するためにも、成果を出せない担当者はどのような事態に陥っているのかを確認しておきましょう。
お客様の要望や解決すべき課題が把握できていない
成果を出せない営業担当にありがちなのが、お客様が潜在的に抱える課題や要望等が把握できていないこと。成約獲得には、商品やサービスの説明だけでなく、相手にどのような課題や問題があるかを細かく聞き取ることが重要です。
しかし、ヒアリングが不足していると、お客様の求める提案や仮説の立案ができず、的確な提案ができなくなってしまいます。その結果、顧客の本質的な課題解決にいたらず、成約を獲得することが難しくなります。
自分と相手が話すバランスがとれていない
成約を獲得する上で、お客様と信頼関係を構築することはとても大切です。
成果を出している営業担当は、お客様とのコミュニケーションに重点をおいて営業を行っています。しかし、成果のでない営業担当は一方的なセールストークをしてしまったり、相手の話を聞かないなど、自分と相手との間でバランスのよい会話ができていないケースが多いのです。
結果として、お客様との良好な信頼関係や意思疎通が図れず、成約に結びつけることができません。
顧客や商品等の情報収集が不十分
営業活動を円滑に進めるためには、顧客および企業を取り巻く環境や傾向をはじめ、競合他社との比較、自社製品のメリット・デメリットにいたるまで、幅広い情報を把握しておくことが重要です。
そうしたインプットが不足していると、説明がうまく伝わらなかったり、質問の受け答えが曖昧になってしまうなど、お客様にとって最適な提案をすることができません。
タイムマネジメントができていない
営業担当が、リードの獲得からクロージングまでの作業をすべて任されている企業も少なくないでしょう。その場合、お客様との接触回数を少しでも増やしたり、より幅広くアプローチをするためには、効率的に行動することが大切です。
タイムマネジメントができていないと、非効率的なスケジュールを組んでしまったり、取り組むべき業務にフォーカスできず、受注まで結びつかなかったり、残業が発生してしまうなどの悪循環に陥りがちです。
なぜ営業のスキルアップを図る必要があるのか?
なぜ、成果の出ない営業担当者のスキルアップをしなければいけないのでしょうか? 前向きに取り組むために、スキルアップの必要性を把握しておきましょう。
営業を取り巻く環境の急速な変化
営業支援システムの導入やAIの活用による営業活動のオンライン化(インサイドセールス等)など、営業を取り巻く環境は日々刻々と変化しています。
したがって、従来の営業スキルやセールストークに固執することなく、時代や環境の変化に柔軟に対応していくことが不可欠です。営業は常に新しいスキルや能力を身につけていくべきでしょう。
営業の良し悪しは「成果」がすべて
営業の仕事が「できる」「できない」の評価は、顧客や受注の獲得につながるなどの成果が出ているかが基準になります。
また、成果が出ていなければ、自身の仕事へのモチベーションやエンゲージメントも低下しかねません。着実に営業スキルの向上を図ることで、成果の有無だけでなく仕事の楽しさにもつながります。
営業スキルをアップするための6つの取り組み
営業のスキルアップを図るには、ただ日々の営業活動をこなすだけでなく、自主性を持ってさまざまな取り組みをすることが重要です。
以下では、日々の業務や生活の中で行える取り組みについて解説します。
自己分析と日々の業務の振り返りから始める
営業職として働いているけれど、いま一つ思わしい結果が出ない、という方もいるでしょう。営業成績が低調な時に打開策を講じたくても、何をしてよいかわからない、と悩んでいるのではないでしょうか。
「何をしていいかわからない」ということは、言い換えれば「現在の自分の課題や特徴を明確に理解していない」ということです。
これまでのプロセスにおける自分の活動は、すべてうまく達成し続けているでしょうか?ゴールを定めてクリアできない原因はどこにあるのか、分析はしていますか?
自分の顧客への接し方や使った資料を具体的に振り返り、PDCAを回すことで、改善すべき課題を見つけられるかもしれません。失敗の原因がわからないまま業務をこなし続けるのではなく、自分を成長する機会へとつなげましょう。
PDCAサイクルの意味や必要性については以下の記事で解説します。
参考:PDCAとは?意味やサイクルを回すポイント、業務改善の具体例を解説
営業研修やセミナーを活用する
研修やセミナーの活用で、効果的にスキルアップを図ることができます。
営業のノウハウを半日で学べるセミナーや、営業のプロフェッショナルを外部から招いて行う研修など、自分のレベルや習得したいスキルに応じて参加することが可能です。
また企業によっては、新人営業向けやロールプレイングを用いた研修、ビジネスデータの分析や統計を読み解く内容まで幅広い研修やセミナーを行っています。
社内ナレッジを共有する
各営業担当の持つ知識やノウハウの共有により、営業スキルを効果的に高めることができます。
営業スキルは各個人で磨く要素が多く、これまでは属人化してしまうことが一般的でした。しかし、社内ナレッジとして営業スキルを蓄積・共有できれば、営業活動を効率的に改善・向上することが可能です。
営業ができる社員に同行する
実際に営業で成果を上げている社員に同行することで、リアルな環境から学びを得ることが可能です。
営業担当の教育や研修といった目的をはじめ、営業プロセスを可視化したり、商談の成約率の上昇などにつなげることができます。
また、自身との違いやトーク術など細かい点を学ぶことができるため、さまざまな点に対して気づくことができるでしょう。
本や情報誌、ニュースから情報収集する
新たな営業スキルやスタイルを取得するためには、営業に関する書籍本や情報誌、ニュースから知識を取得することも大切です。
営業に関するストーリーや失敗談、営業スタイル(手法)など、上司や同僚に教えてもらうより幅広い知識等を吸収できるため、営業スキルをアップさせるためには最適と言えるでしょう。
営業支援ツールを活用して営業活動を効率化する
営業に関する業務は、リードの獲得からアポイント、信頼構築、提案(交渉)、クロージング、アフターフォローなど多岐にわたります。そのため、これらの業務をすべてこなそうとすると時間配分も難しく、各担当者の業務負荷も増大してしまいます。
そこで有効活用したいのが、営業活動やプロセスを効率化することができるCRM/SFAなどの営業支援ツールです。
営業支援ツールの詳細な説明は以下の記事を参考にしてください。
参考:テレワークが必須になる今、営業でSFA(営業支援システム・ツール)が注目
営業スキルマップを活用してスキルアップを図ろう
営業スキルを高めるためには、営業活動に必要な能力を把握して、不足している要素を補う必要があります。
そのためには、営業スキルを可視化したマップシートを作成し、適切に運用することで、効果的にスキルアップが可能です。
「できる」営業担当になるためには営業スキルのアップは欠かすことができません。本記事で記載した内容をしっかり把握して着実にスキルアップを図るようにしましょう。