名刺整理/名刺管理の要点・共有ステップは? フォルダ/エクセル/アプリなどの具体的管理方法について
名刺管理についてどうやれば情報が共有化できるかお悩みな方も多いのではないでしょうか。
無料ツールやCRMが多数ある中どのツールを選べばいいか知っていますか? 効果的に活用するためにはとあるポイントがあります。
この記事ではエクセルや名刺フォルダの管理から無料ツール、CRM/SFAの管理までそれぞれのステップの要点や具体的方法を解説します。
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名刺管理/名刺整理のメリットと課題&問題点
名刺管理を行う3つのメリット
まずはおさらいの意味で、名刺管理のメリットと課題を改めて振り返ることとしましょう。
手間が省ける
名刺管理を行う一番のメリットは、「必要なときに名刺を探す手間が省ける」ということです。
共有による業務効率の向上
部門全体で名刺管理を行い、情報を共有することで営業効率の向上やマーケティングにも活用しやすくなります。
名刺管理によって人脈が可視化されていれば、ターゲットとなる企業の担当者と面識がある社員を即座に割り出し仲介を依頼することで、最短ルートでのアプローチが可能になります。
分析/戦略立案がしやすくなる
名刺の情報を見える化することにより、顧客の属性などからリストを容易に作成できます。見込み客の発掘がしやすくなったり、バッティングしている営業先を一本化したりできるなど、営業部全体で効率的な戦略を立てやすくなります。
名刺管理の課題や問題点は何があるか?
もしあなたが組織において名刺管理を効率化したい場合、組織全体の中で名刺にまつわるどんな課題があるか、振り返ってみることをおすすめします。
代表的課題1:属人化
よくある問題として属人化問題が思い当たります。
営業部門(組織)から見た場合、名刺管理を個人で行っていると、業務が属人的となり「その営業担当者が異動や退職となった場合に、客先とのパイプがとだえてしまう」「いざトラブルが起きたときに上司でもフォローがきかない」などの問題も起こる可能性があります。
代表的課題2:共有の不備
上記の属人化から派生した課題です。
また、名刺管理のシステムが確立されていないため、せっかく集めた名刺を十分に活用できていないと感じている企業もあるかと思います。共有がされていないので重複での営業もよく聞く話です。こちらで失注したという話も稀に聞きます。
入手した名刺すべてを適切に整理、管理、共有するとなると、もはや紙の状態では難しいでしょう。まずは自社の課題を網羅することが大事です。
名刺管理/整理の目的
たとえば名刺管理を行うための目的として
- 名刺の保管・管理をするのにかかっていた手間・時間を削減したい
- 必要なときにすぐに取り出せる状態にしたい
- 名刺情報から速やかにリストを作成し、テレアポに役立てたい
- 見込み客の名刺を管理することで顧客への育成施策に活用したい
- 商談後のフォローを充実させたい
- 名刺の情報を共有し、部署内のチーム力を高めたい
などが挙げられるでしょう。
名刺の簡単な整理整頓だけでよければ、後述する無料システムでも問題ありません。ただし、目標達成のためにビジネスに有効的に活用したければ、より高度な名刺管理が必要となります。
名刺管理の要点は成功率を高める「人脈カルテ」となる
ただの名刺電子化では押さえるべき名刺の人物相関は出てきません。
窓口担当者との関係性を深めるだけで受注することはなく、選定・検討の際には必ず決裁者やキーマンなどの承認を得るケースがほとんどです。もらった名刺を管理するだけでは、まだ会えていない人を把握することはできません。
よって決裁に至るまでに押さえるべき人物を押さえられているかどうか判断することはできません。押さえるべき人物を押さえておかないと、せっかく進んだ提案も土壇場で覆ってしまうことも少なくないのです。
人脈カルテから関連人物や力関係を把握する
人脈カルテからは、人物・力関係などの立体的な情報の把握を行うことができます。そこが人脈カルテを作成する本質的な意味でもあります。
そこでまず、人脈カルテの作成を実現するためには、名刺をデータ化するだけでなく、決裁に至るまでの関連部署や人物を把握し、接点が持てているか?キーマンが提案に対してポジティブなのか?ネガティブなのか?競合びいきの人は誰なのか?などを的確に把握できるようにすることが重要になります。
押さえるべき関係者や部署、役職などを設定出来る人脈カルテの機能があれば、キーマンとの接点情報や意欲などの総合的な情報をもとに、営業マネージャーは次の戦略を立て明確に部下に指示を出すことができるようになります。
名刺管理5つのステップ
ここでは、具体的にどんな組織的な名刺管理があるか見ていきます。
弊社では名刺の管理方法には5つのステップがあると考えています。
前章の名刺管理の課題把握から、目的達成につなげていくには、上記のステップを意識して、自社に必要な対策を検討していくことが必要です。特に、ステップ2とステップ3の間には、無償か有償という大きな“段差”があります。
それぞれ「紙のまま名刺管理」→「無料名刺管理アプリ」→「有料名刺管理ソフト」→「CRM/SFA」→「人脈カルテ化」の順に方法を解説します。
名刺情報を本格的に活用したいと考えるのであれば、越えなければならない段差でもあります。自社の名刺管理の目的を見つめ直して、どのような段階の活用に着手するのかをよく考える必要があります。
どんな対策が必要か、以下に紹介するステップごとの管理法を参考に検討してみてください。
【ステップ1】名刺ファイルなどの紙のまま名刺管理
従来、名刺管理のアナログ的な整理方法としては、次のようなことが行われてきました。
- 名刺専用のクリアファイルに入れる
- 名刺ケースに50音順に/新規から順に並べて整理
- 回転式名刺ホルダーに入れる
ポイントは、もらった名刺を手間なく管理できるようになっているか、担当者の名刺を探す時にすぐに見つけられるようになっているか。「机の中にバラバラになっている」というのは論外。このようなアナログ式の管理方法においては、「管理のしやすさ」と「探しやすさ」を意識することが重要です。
業務や保管している名刺の枚数によっては、アナログ的な管理でも、もちろん問題はないでしょう。名刺情報を部門内や社内で共有しにくいことや、紛失に注意しないといけない、といったデメリットがあります。
【ステップ2】名刺のデジタル化と無料名刺管理アプリの利用
アナログ式の管理法では非効率的だと感じたら、「名刺のデジタル化」を検討してみましょう。なかでも手軽なのが、名刺情報をデジタル化できるスマートフォンの無料名刺管理アプリの利用です。
名刺をスマートフォンのカメラで撮影すると、名刺の画像とともに、社名・部署名・氏名・住所・電話番号などがテキスト化されて保存されます。
デジタル化され保存された名刺情報は、社名や氏名などから検索できるので、必要なときにすぐに見つけて使うことができます。例えると、スマホまたはPC上にデジタルのアドレス帳を持つようなものです。
無料アプリは効果や便利さを試すトライアル目的にも適しているかもしれません。しかし無料アプリでは、テキスト化される際の精度に難点がある場合も。結局、手動で入力し直す必要が生じることもあります。
また機能にも限度があり、「社内で名刺情報を共有したい」「ほかのシステムやアプリケーションと連携したい」という場合は、次のステップをおすすめします。
【ステップ3】 有料名刺管理ソフトの利用
自社の名刺管理を大きく改革するのであれば、有料名刺管理ソフトの導入を検討しても良いでしょう。
有料の名刺管理ソフトは、ステップ2の無料アプリより精度も機能も大幅にアップします。費用対効果を問われることになりますので、導入には高い壁があるかもしれません。
しかし、ステップ2までとは大きく異なるメリットが得られるようになります。それは、名刺情報の共有化が促進し、“単なるアドレス帳”だったのが、“企業の資産”へと変わる第一歩を踏み出せることです。
スキャンした名刺は、OCRなどで処理されるか、外部のオペレーターがテキスト入力を行うため、高い精度でのテキスト化が期待できます。またテキスト化された名刺情報は、名刺管理ソフト上で一元管理され、社内で共有が可能となります。
さらにクラウド型であれば、安全性を確保したうえで、場所を問わず名刺情報の参照が可能です。ほかのシステムとの連携が可能なものもあり、名刺情報を他のソフトへエクスポートし、DMやお礼状、請求書の作成に役立てるなど、業務の効率をさらにアップさせてくれます。
なお、名刺管理ソフトの種類はさまざまにあるため、導入の際にはパソコンやスマホなどの対応デバイスや、連携できるソフトの種類、機能について、実際の自社の業務状況を整理したうえで決定することが重要です。
またクラウド型であれば、社外のシステムに個人情報を置くことになるため、自社のセキュリティポリシーに即した運用ができるかも製品選定のポイントです。
【ステップ4】CRM/SFAでの管理
ステップ4は、CRM/SFAによる名刺管理です。
CRM/SFAとは、CRM(Customer Relationship Management/顧客管理システム)と、SFA(Sales Force Automation/営業管理システム)のこと。現在、営業活動に沿って本格的な活用が始まったといえるでしょう。
営業活動において、顧客とのアクセス状況から営業の進捗状況、見込み客の状況などを一元に管理し、社内で情報を共有、利益を追求します。CRM/SFAでは最初に登録した名刺情報の他に、商談内容も記録していくことが可能です。
例えば、やり取りごとに情報を記録することで、商談が順調に進んで受注となった場合には、アフターフォローやアップセル・クロスセル用のリストとして活用することができます。
展示会などで獲得した見込み客に対しても、同様のアプローチをすることで、商談に向けて育成していくことが可能です。また、仮に失注した場合でも、記録された商談履歴を再度マーケティングプロセスに戻して、次の機会をうかがうという選択もできます。
またこれらの情報を共有することで、部門全体、部門間を超えた会社全体でのより効果のある営業活動やマーケティングでの連携/推進をすることができます。この段階になると、名刺管理が売上につながる貴重な資源であるということも実感できるようになっているのではないでしょうか。
【ステップ5】CRM/SFAで実現する人脈カルテ化
ステップ4のCRM/SFAを使った名刺管理法を、さらに発展させた活用法があります。それが「人脈のカルテ化」です。CRM/SFAを使った名刺管理では、下図のように顧客情報がひと目でわかりやすく表示されます。
コンタクト先となる企業の組織や人物情報が可視化され、それぞれの担当者の役割や自社製品への購入意欲などが見やすい形で病院のカルテのように整理された、いわば「人脈カルテ」といえるものが作成されるのです。
1枚の名刺から始まり情報が積み重ねられ、このような人脈カルテ状態にまとめられることで、営業担当者は速やかに次の手を打つなどの行動ができるようになります。
また交渉の進捗状況が一目でわかることから、上司も的確な指示やアドバイスができるようになります。
ステップ別おすすめ名刺管理 エクセルテンプレやアプリについて
上に見たように、名刺管理にはステップがあります。それぞれのステップにおいておすすめであるツールをご紹介しますので、自社で活用できそうなものがあればぜひご活用ください。
ローカル管理段階:おすすめエクセルテンプレと名刺箱
もしローカルで実施している場合は以下のお役立ちツールなどを活用してみましょう。
エクセルのおすすめテンプレート
こちらのサイトがまとめてくれていますので、ご活用ください。
参考:https://chusho-it.net/post_exkokyaku.html?dmai=a55f8c7932a1da
名刺箱やフォルダでの整理
例えば以下のようなものが一般的です。
50音順に並べた名刺箱
参考:https://www.amazon.co.jp/dp/B003NRAOLM
クリアフォルダとインデックスの併用
参考:https://www.amazon.co.jp/dp/B00BBNPAYG
デジタル化段階:PC/スマホで使える無料アプリの活用
デジタル化で可視化するとしたら、簡素に導入できる無料アプリで十分でしょう。そして、名刺の情報を可視化したのち、情報管理できるよう、俯瞰できるツールで整理する必要があります。
Eight
概要/機能
社内の名刺を共有、顧客リストとして他のメンバーとの共有ができます。
スマートフォン・PC問わず利用することができ、手軽に名刺情報を社内の資産にすることができます。
おすすめポイント
すぐに名刺情報にアクセスできるシンプルで見やすいUIが好評です。
SNS機能で名刺内容をいつも最新のものにアップデートできるので、新しい名刺をもらってデータを差し替える手間が省けます。
Evernote Scannable
概要/機能
あのEvernoteのスマートフォン向けスキャナですが、実は名刺管理ツールとしてもすぐれたアプリです。
おすすめポイント
名刺をスキャンして、自動でデータ化できます。
LinkedInとも連携が可能、リクルート活動での人脈作りに役立ちます。
名刺を複数まとめてデータとして効率よく取り込むことも可能で、効率性の高さが際立っています。
参考:https://evernote.com/intl/jp/products/scannable
myBridge
概要/機能
LINEの無料名刺管理アプリがmyBridgeです。スマホで撮影するだけで、名刺をデータ化できます。
おすすめポイント
名刺を郵送するだけで、データ化してくれるおまかせスキャンサービスも提供しています。もちろん、データはスマホアプリから取り出し可能。
読み込みデータから名刺の整理までしてくれます。
参考:https://jp.mybridge.com/home
組織的な共有の場合:SFA&CRMの導入
もし組織にて、発展的な名刺管理をする場合は、次の3つのポイントを押さえているCRM/SFAを選定することをおすすめします。
- 行くべき部門が把握できる
- 会うべき人/キーマンが把握できる
- 最後にいつ会ったか(有効接触日)が把握できる
これらの機能が網羅されていれば、戦略的に企業の攻略法を考えられます。さらに情報を追加したいポイントとして、会うべき部門や人物とともに、意欲(ポジティブ/ネガティブ)が見えるとより便利です。
有効接触から一定期間経過した際に通知する機能なども備えていれば、今後の戦略をより明瞭に立てられます。
もしCRM/SFAの選定を考えている場合は、以下の記事もよろしければ参考にしてください。
参考までに弊社で提供しているツールはこのような機能があります。スキャン機能などもあり名刺入力の手間がありません。
参考:https://www.e-sales.jp/functions/
CRM/SFAに興味がある方や、導入を考えている方に向けて、様々なCRM/SFA製品を料金や機能、セキュリティなど32項目で採点し、ひと目でわかるグラフで特徴を教えてくれる製品比較シートと、料金・機能をXY軸にして製品群をマッピングした分析チャートをご用意いたしました。
比較の時間を短くしたい方に製品比較シート、どのような価格や機能性の製品があるのかといった、CRM/SFA製品の全体図を把握したいという方には製品分析チャートがおすすめです。
ステップ別の最適な名刺管理の方法を実施しよう
名刺をファイルやケースに保管するアナログ式な管理から、一歩進んだ「データでの管理」、さらに発展した「名刺データの活用法」について紹介してきました。
名刺をデータ化しただけではアドレス帳以上の効果はありませんが、名刺管理システムを使用し部門内・社内で情報を共有することによって、名刺は企業の貴重な資産として活用できるようになります。
日々の営業活動で手に入れた名刺をビジネスに有効活用できるかどうかは、名刺管理の方法にかかっているともいえます。
名刺管理システムを活用して、ぜひ貴社の営業効率アップにお役立てください。