CS(顧客満足度)とは?向上させる4つの具体策と成功事例を紹介
CS(シーエス)は、Customer Satisfaction(カスタマー サティスファクション)の略称で、日本語では「顧客満足度」と言われています。
Customer Success(カスタマー サクセス)の略称として使われることもありますが、両者の意味はまったく異なります。
本記事のCSは、Customer Satisfaction(カスタマー サティスファクション)の解説記事です。CS(顧客満足度)の意味や目的、実際の測定方法や向上させる具体的な方法までわかりやすく紹介していきます。
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CS(顧客満足度)とは
CSとはCustomer Satisfactionの略称で、日本語では「顧客満足度」と呼ばれ、自社の商品やサービスに対する顧客の満足度を数値化したものを指します。つまり、CSが高いほど顧客が満足している状態です。
企業では、CSの結果をもとに商品やサービスの開発・改善がされることもあります。
CSが注目される背景
CSは、「顧客は、未来への満足を感じたときにお金を払う=製品やサービスを購入する」という考えに基づいています。つまり、CSを見れば、購入前の期待値と購入後に感じた価値の差がわかるのです。
良いサービスを提供し続けるには、顧客の期待値を知ることが重要です。 顧客満足度(CS)の把握は、商品開発やマーケティング、セールスにとって重要な手がかりになります。
CSとESの違い
CSは、顧客満足度を指します。
ESは、Employee Satisfactionの略称で、「従業員満足度」を指します。
意味は異なりますが、顧客満足度の向上にESは非常に重要で、「ESなくしてCSなし」という言葉があるほど、深く関係し合っています。
従業員が意欲的に仕事に取り組めば、それだけ商品やサービスの質は上がります。そして、購入した顧客のリピートや口コミが起こり、さらに良い効果が広がっていきます。
このように、ES(従業員満足度)が上がれば、CS(顧客満足度)も上がる好循環を生み出すことができるようになります。企業はどちらか一方ではなく、CSとESの両方を向上させていく必要があります。
CS(顧客満足度)を向上させる目的
企業がCSを向上させる理由は、主に4つあります。
リピーターの増加のため
CSの向上は、リピーター増加に効果的です。商品やサービスに満足をしていれば、リピーターになってくれる確率は高く、LTV(顧客生涯価値)も向上します。
また、新規顧客の獲得コストはリピーター育成にかかるコストの5倍と言われています。リピーター施策の強化は、経営的にも大きなメリットがあります。
既存顧客の満足度向上を図るうえでは、顧客の購買体験を向上させる「カスタマーサクセス」の考え方も大切です。
カスタマーサクセスとは何か?仕事内容やプロセス・成功事例を紹介
新規顧客の獲得のため
CSの向上による紹介や口コミの増加は、新規顧客の獲得につながります。インターネットやSNS上での高評価の口コミは、広告以上の大きな影響力を持つこともあります。
ブランディングの強化のため
CSが向上すると、企業が意図していなかったところで良い宣伝が流れる可能性が高くなります。一般ユーザーへの知名度と信頼が増し、社会的信用と認知度アップも期待されます。
コストダウンのため
良い口コミや紹介が増えて新規顧客とリピーターが増加すれば、広告費を削減することができます。広告費に当てていた予算を商品開発などに回すことができるため、さらに商品の品質が上がり、それに比例して良い口コミが生まれる好サイクルを作ることが可能になります。
CS(顧客満足度)の調査方法
次に、具体的な調査方法をお伝えしていきます。まずは、顧客の「事前期待値」を把握する調査です。
インターネット調査
Webサイトやオンラインショップの流入状況や検索キーワードを分析すると、自社製品に興味を持っている人はどんな人なのか、予測をたてることができます。
すぐに着手できる方法なので、まずは、インターネットのアクセス状況の把握から始めてみるとよいでしょう。
アンケート調査
アンケート調査は、顧客の商品に対する事前期待が色濃く反映されていることが多いので、ぜひ行ってみて欲しい調査です。
Webで簡単に答えられるフォームを用意しておくとよいでしょう。以下の4つを意識してアンケートを作成すると、回答数を集めやすくなります。
- アンケートの目的を明確にすること
- 回答数が多くなりすぎないこと
- 答えにくい質問を作らないこと
- 匿名で回答できること
ヒアリング調査
顧客に直接質問をするのがヒアリング調査です。対面、電話、メール、オンラインなど方法はさまざまですが、口コミやレビューではあまり聞けない、貴重な意見も得られます。
顧客に集まってもらい、テーマを決めて行うグループインタビュー形式で行う方法もあります。企業にとっては耳が痛い意見も出るかもしれませんが、顧客の声に真剣に向き合ってこそ成長していけると考えましょう。
顧客にまつわるデータを効率的に収集・活用するうえでは、CRMツールの導入が効果的です。
CRMとは?機能・メリットや選び方、活用のコツをわかりやすく解説
統計データ収集・分析
調査会社や行政が公表している統計データから、事前期待を読み取ることも可能です。市場規模の推移や各商品への支出を時系列で追うことにより、「消費者の意識が高級路線から大衆路線へシフトした」などの情報が把握できます。
CS(顧客満足度)の測定方法
次は、CS(顧客満足度)の調査結果を数値に落としこみ、施策に反映しやすくする方法について解説します。ここではCSを数値化するための指標を3つ紹介します。
NPS
NPSは、Net Promoter Scoreの略称で、商品やブランドへの愛情や信頼の濃さ、つまり顧客ロイヤリティを数値化する指標です。
NPSでは、自社の製品やサービスを利用した顧客に「あなたはこの製品を、どれだけ他者に薦めたいと思っていますか?」と質問をして、11段階で回答してもらいます。
顧客を「推奨者(9〜10点)」「中立者(7〜8点)」「批判者(0〜6点)」に分類します。回答者全体の推奨者の割合(推奨者数/全回答者数)から、批判者の割合(批判者数/全回答者数)を引いた数値がNPSの指数となります。
NPS=推薦者の割合ー批判者の割合
※NPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
CSI
CSIは、Customer Satisfaction Indexの略称で、顧客の購入前の期待値と購入後に感じた価値の差を測る顧客満足度調査の指標です。顧客へ5つの質問をして、平均点を算出します。
- 顧客期待値
- 顧客不満度
- 顧客忠実度
- 商品やサービスに対する顧客個人の評価である知覚品質
- 価格に対する満足値である知覚値
JCSI
CSIを日本向けにカスタマイズしたもので、日本版顧客満足度調査の指標です。顧客へ6つの質問をして調査をします。購入後に顧客が感じた価値から、購入前の期待値を差し引いた数値になります。
JCSI=購入後に顧客が感じた価値 ー 購入前の期待値
- 顧客期待値
- 顧客不満度
- 顧客忠実度
- 知覚品質
- 知覚値
- 推奨意向(商品やサービスを他人に勧めたいか)
CS(顧客満足度)を高める4つの方法
ここからは、顧客満足度を高める具体策を4つを紹介していきます。
方法1:既存顧客のカスタマーサクセスを強化する
カスタマーサクセスとは、商品やサービスを導入した後の顧客をサポートして成功へ導き、企業の売上にもつなげようという考え方です。
そのためには、顧客に「このサービスを利用して良かった!」と成功体験をしてもらうことが重要になります。
カスタマーサクセスから見る顧客満足度を向上させるポイントは、
- 自社商品やサービスに対して生じそうな疑問は事前に対応する
- 顧客の潜在的な悩みへの解決策を提示する
- 購入後、どのように使うかを先回りしてフォローする
などが挙げられます。
方法2:CRM(顧客関係管理ツール)を導入する
CRM(顧客管理ツール)を利用すれば、効率よく顧客分析ができます。顧客情報が一元管理され、全社で共有できるようになるので、より早く正確に理解できるようになります。
CRMは多種多様な製品が普及しているため、自社の目的や状況にマッチしたツールを選択することが大切です。以下の記事では、おすすめCRMツールを10種類厳選して紹介しています。
CRM(顧客管理システム)のおすすめ10選!選び方や運用のポイントも解説
方法3:SFA(営業支援ツール)を導入する
近年では、CRM(顧客管理ツール)とSFA(営業支援ツール)の両方の役割を果たすツールの導入が一般的です。
これらのシステムの活用により、各営業担当者が把握した顧客の事前期待を、部署全体で共有することができるようになります。
営業の進捗状況も共有できることから、担当者ごとの顧客へのアプローチ方法のバラつきなども未然に防止できます。
CRM/SFAの活用術についてより詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。
方法4:ES(従業員満足度)を向上する
従業員の満足度が向上すればモチベーションも上がり、良い商品やサービス、接客が生まれます。近年では、ESの向上がCSの向上につながるという考え方が広まっています。
CS(顧客満足度)向上の成功事例
ここでは、弊社が提供するCRM/SFAツール「eセールスマネージャー Remix Cloud(以下、eセールスマネージャー)」を導入して顧客満足度を向上させた事例を紹介します。
情報の可視化で顧客対応のバラツキを解消/NTTラーニングシステムズ株式会社様の場合
NTTラーニングシステムズ株式会社は、教育研修ソリューション事業、Webソリューション事業、映像事業を柱に展開している企業です。
同社はもともと、顧客満足度が低下している現状をアンケートなどで把握し、状況を改善する方法を模索していました。
当時、原因のひとつとして挙げられていたのが、営業案件の情報共有不足のため、担当者によって対応に差がある、ということでした。
しかし、eセールスマネージャーの導入後は、営業案件に関する進捗度合いなどの情報の共有・可視化に成功。担当者による対応のバラつきだけでなく、「言葉足らずで情報が正確に伝わらない」「本人不在時に情報を照会できない」といった問題も解消されました。
顧客情報の量と質が大幅アップ NTTラーニングシステムズ 様
事前期待を把握したうえで製品の利用を促す/株式会社メモリアルアートの大野屋様の場合
同社はお墓、仏壇、葬式などの仏事一式を手がける総合葬祭会社であり、葬祭業界では初のテレビCMを開始したことでも知られています。
かつては、自社を認知してもらおうと、顧客に積極的に電話をかけて案内をしていた時期もありました。しかし、顧客にとってお墓とは、時期が来て必要になれば買うものであり、不要なときに売り込まれても買うことはありません。
そこで、顧客満足度を高める理想の営業プロセスとして、以下を定義し、これに則った営業を展開することにしました。
1.広告・宣伝を通じて知ってもらう
40~50代の「そろそろお墓のことも真剣に考えなければ」と思い始める世代の顧客に、まず同社を認知してもらうために、広告・宣伝などを通じ、コールセンターで葬儀やお墓に関する無料相談を受け付けていることを知らせます。
2.コールセンターで無料相談を行う
コールセンターは「今度、お葬式に出席することになったが、香典には『御仏前』『御霊前』のどちらを書くべきか」などといった疑問にも無料で対応をします。
3.仏事情報セミナーを告知する
「お墓の引っ越しセミナー」「知って得するお葬式セミナー」といったセミナー情報を、新聞の折り込みチラシなどにより告知します。
4.セミナー出席者にアンケートを取る
セミナーの感想や連絡先だけでなく、商品やサービスの案内をして良いかどうかを記入してもらい、その先へとつながる情報を得ます。
このプロセスによって事前期待を把握し、同社の製品やサービスの利用を促しています。
システム連携による情報共有と営業プロセスの可視化を実現 株式会社メモリアルアートの大野屋 様
顧客対応のクオリティ&スピードがアップし、顧客満足度が向上/GMOメイクショップ株式会社様の場合
同社は、オンラインショップの構築やASP事業、ECソリューション事業、WEB制作事業を展開しています。
eセールスマネージャーの導入前は、案件の管理をExcelで行っており、集計用、報告用、管理用などのさまざまなファイルが存在していました。
しかし、それぞれで内容の辻褄が合わないことも多々あり、営業マネージャーは営業担当者にいちいち確認しなければならず、Excelでの運用に限界を感じていたといいます。
導入後は、営業担当者からの業務報告がタイムライン機能で流れてくるため、内容をその場で確認し、必要に応じて指示を出せるようになりました。顧客対応のなかで出てくる課題解決のスピードも上がったそうです。
さらに、部門全体で情報が一元管理されたことで、たとえばカスタマーサポート部門は営業部門のこれまでの活動履歴を見て問い合わせに対応することが可能に。
逆に、営業部門は、カスタマーサポート部門の対応状況を見てそれぞれ顧客に応対する、といった部門間での連携が可能となりました。
顧客情報を、一元管理に。売上192%! GMOメイクショップ株式会社 様
CS向上で業績アップを実現しよう
CS(顧客満足度)の向上が、営業成績や会社の利益アップにつながっていることが理解していただけたと思います。
商品やサービスの購入前に抱いていた事前期待値を、購入後の評価が上回れば、顧客は高確率でリピーターやファンになってくれます。
専用ツールを活用しつつCSを正しく分析することで、自社の事業に好循環を生み出しましょう。
CSに関するよくある質問
Q1:顧客満足度(CS)はどうやって向上させるのか?
顧客満足度を高めるために、まず大切なことは、顧客の事前期待値を調査により把握することです。その調査をもとに、具体的な施策として以下の4つが重要です。
- 既存顧客のカスタマーサクセスの強化
- CRMの活用
- SFAの活用
- ES(従業員満足)を上げる
Q2:CSとは、会社にとって何ですか?
CSは、顧客満足度を意味します。顧客の自社商品やサービスへの満足度を数値化したものです。CSが高いほど、新規顧客やリピーターの獲得、ブランディング強化がしやすくなります。
Q3:顧客満足度とESとCSの違いは何ですか?
CSは、顧客満足度のことです。ESは、従業員満足度のことです。近年ではESの向上がCSの向上につながるという考え方が広まっています。