カスタマーサクセスとは何か?仕事内容やプロセス・成功事例を紹介
現代のビジネスにおいて欠かせない役割となりつつある「カスタマーサクセス」。顧客の成功体験を実現するカスタマーサクセスについて、本記事では一からわかりやすく解説しています。
カスタマーサポートとの違いや導入メリット、具体的な業務内容などを紹介するので、「カスタマーサクセスへの理解が漠然としている」という方はぜひ参考にしてください。
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カスタマーサクセスとは何か?
カスタマーサクセス(Customer Success)とは、商品・サービスを購入した顧客へ能動的に関わり続け「顧客の成功体験」を実現させる取り組みのことを指します。
もともとは、セールスフォース・ドットコムの創業者であるマーク・ベニオフ氏が、サービスの解約率上昇を食い止めるために提唱した概念です。
消費者の行動は「所有」から「利用」へと移行し始め、買い切り型ではなく月額料金のサブスクリプション型サービスを利用する機会が増えています。
「Netflix」や「Amazonプライム」などのサービスを利用している方も多いでしょう。企業活動でも同様に「SaaS」をはじめとする継続利用型サービスの提供企業が増加しています。
このようなビジネスモデルにおいて、利益率を向上させる最も重要なことは「長期的に継続利用してもらうこと」。
そのため、従来のように新規顧客の獲得だけではなく、既存顧客の満足度を高める「カスタマーサクセス」の役割が必要なのです。
ここで、よく混同されるカスタマーサポートとの違いは「能動的かどうか」。
基本的にカスタマーサポートは、顧客から問い合わせがあってから対応します。
一方で、カスタマーサクセスは顧客から求められることを待つのではなく、顧客が期待する成果を実現するために先回りして支援を行います。定例ミーティングやウェビナー開催など、サービスの利用段階に応じたさまざまなアプローチを行い、顧客の成功をサポートします。
カスタマーサポートとの大きな違いは「求められるスキル」と「KPI」
カスタマーサクセス | カスタマーサポート | |
活動目的 | 顧客のビジネスを成功に導くこと | 顧客の不満を解消すること |
求められるスキル | ・課題を認識し改善する姿勢 ・リーダーシップ ・協働を重視する姿勢 | ・傾聴力 ・正確かつすばやい判断 ・忍耐力 |
製品・サービスの知識 | 自社サービスに加え、競合他社や関連サービスの知識も求められる | 自社サービスの深い知識が求められる |
アクションを起こす始点 | 顧客が購買したとき | 顧客が問い合わせをしたとき |
取り組む姿勢 | 能動的 | 受動的 |
KPI | ・チャーンレート ・アップセル・クロスセル率 ・LTV ・NPSなど | ・一次応答時間 ・解決率 ・処理時間 ・チケットの再オープン率など |
上記の表で示したとおり、カスタマーサクセスとカスタマーサポートでは、職務の遂行において求められるスキルが異なります。
カスタマーサクセスの目的は「顧客に成果をもたらすこと」です。そのため、現状の課題を丁寧にヒアリングしつつ、積極的により良い方法を提案するリーダーシップが求められます。
一方、カスタマーサポートの目的は「顧客満足度の向上」であり、顧客のトラブルを迅速に解決する判断力や傾聴力、クレームに対する忍耐力が必要になります。顧客の話を丁寧に聞き取る点はカスタマーサクセスと同じですが「他のサービスへの乗り換えはいかがですか?」といった話はしません。
このような違いに伴い、両者の追うべき指標(KPI)もそれぞれ異なります。カスタマーサポートは顧客のトラブルを1件でも多く解決すること、つまり「マイナスをゼロにすること」がミッションです。
カスタマーサクセスは顧客を成功に導き自社の売上を向上させること、つまり「ゼロをプラスにすること」を指標として活動します。
カスタマーサクセスを効果的に取り入れる方法は、以下の資料で詳しく解説しています。
【第13回】売上向上に欠かせない、「カスタマーサクセス」とは?
カスタマーサクセスはThe Model型の営業の一つ
カスタマーサクセスは、「The Model」で定義されている営業プロセスの一つです。
「The Model」は2019年に提唱されたフレームワークで、営業プロセスを以下の4つに分け、営業効率を上げることを目的としています。
マーケティング | 見込客を創出・獲得→インサイドセールスにパス |
インサイドセールス | 見込客の購買意欲を醸成し案件化→フィールドセールスにパス |
フィールドセールス | 案件を契約・受注につなげる→カスタマーサクセスにパス |
カスタマーサクセス | 購買後の顧客の継続・追加購入を促す |
もともと1人の営業担当者が行っていたフローを上記のように分業化し、顧客の購買体験を向上させるのが「The Model」型営業です。
つまり、カスタマーサクセスは「営業活動の一部」であり、能動的に顧客と関わりをもつのが当然なのです。
他部門と連携して売上向上を目指すカスタマーサクセスは、このような観点からもカスタマーサポートとは明確に異なります。
カスタマーサクセスが注目される理由
カスタマーサクセスは、なぜ注目される職種となったのでしょうか。
ここからは2つの観点を取り上げ、重要視されるようになった理由を解説します。
SaaSに代表されるサブスクリプション型ビジネスの台頭
20世紀のソフトウェアや機器は、「売り切り型」として販売されることが一般的でした。ベンダーは受注時に大きく利益を上げるため、購入後の顧客に対し最低限のサポートをしていれば売上が棄損することはなかったのです。
21世紀に入り、SaaS業界を中心に「必要なサービスを」「必要な期間だけ」利用できるサブスクリプション型ビジネスが普及すると、営業部門を取り巻く状況は一変しました。
SaaSサービスの多くが月額制の料金プランを採用しているため、新規顧客を獲得したからといって大きな金額は動きません。解約のハードルも低いため、顧客に何かしらの不満が生じると簡単に契約を打ち切られてしまいます。
参考:SaaSとは?PaaS・IaaSとの違いや代表例をわかりやすく解説
顧客の継続利用を促すためには、そのサービスを単なる商品から昇華させ「なくてはならないもの」にする必要があります。
このような背景から、顧客を成功に導く手段としてカスタマーサクセスが重要視されるようになりました。
営業スタイルの変化
サブスクリプション型ビジネスの普及により、営業は「売ったら終わり」ではなく「契約締結をスタート」とするスタイルに変化しました。
長期間、継続使用してもらうことが増収に直結するため、購買後の既存顧客に真摯に寄り添い、ビジネスの成功を後押しする営業活動が求められるようになったのです。
そもそも、新規顧客の獲得は、既存顧客と比べて5倍ものコストが必要だと言われています。新規顧客を開拓し続けるよりも、既存顧客の満足度を高めてアップセル(上位商品の提案)・クロスセル(合わせ買いの提案)を促すほうが、営業生産性は高まります。
SaaSの市場規模は年々拡大しているため、今後はいっそう既存顧客を囲い込む取り組みが進むでしょう。この活動に中心的な役割を果たすカスタマーサクセスは、さらなる需要の増加が見込まれています。
カスタマーサクセスを導入するメリット
カスタマーサクセスはなぜ重要なのか。あらためて、メリットを2つにまとめます。
メリット1. CX(顧客体験)の向上
CXは、Customer Experienceの略で「顧客体験」と訳されます。商品の購入前からアフターフォローに至るまで、顧客視点で感じる一連の購買体験を指す用語です。
カスタマーサクセスが行う顧客の成功支援は、CXの向上に直結しています。
たとえば、自社が「課題解決のためにあるサービスを購入した」ケースを考えてみます。自社のことを第一に考えて導入後のフォローを徹底的に行ってくれる企業と、サービス購入後は連絡が途絶える企業、どちらの企業と「今後も取引したい」と思うでしょうか。
上記の例のように、良い体験をした顧客はリピーターになるだけではなく、良い口コミを拡散してくれる存在にもなり得ます。
CXの向上によって、新規顧客を獲得し続けなくても、既存顧客が継続的に利益を生み出してくれる仕組みが構築できるのです。
したがって、カスタマーサクセスの導入は組織の成長に必要不可欠な要素だといえます。
メリット2. 他社との差別化
市場が成熟し切った現代では、類似した商品・サービスが世に溢れかえっています。さらに、グローバル化が進んだことで、消費者は世界のどこにいても一定水準の商品・サービスを入手できるようになりました。
機能や品質で優位性を保つことが困難になりつつあるなか、低価格競争から抜け出すためには、顧客にプラスアルファの価値を提供しなければなりません。
カスタマーサクセスで行う成功支援は、商品・サービスの「付加価値」となります。自社ならではの支援により他社と差別化を図ることが、レッドオーシャンで生き残る原動力になるでしょう。
カスタマーサクセスにおけるKPI
カスタマーサクセスでは成果を示す指標として、複数のKPIを用いることが一般的です。ここでは、主な4つのKPIを取り上げ、チェックすべきポイントを解説します。
LTV(Life Time Value)
LTV(顧客生涯価値)は、ある顧客が生涯のうちにどれだけ自社に利益をもたらすかを測る概念です。
数値が大きくなるほど、継続して企業に利益をもたらす「お得意様」になっていることを示します。
逆に、LTVが少ない顧客ばかりの場合は、サービス内容が顧客から求められているものかどうか真剣に検討しなければなりません。
現代の営業活動を成功させるうえで、LTVの最大化は至上命題ともいえるでしょう。
LTVの計算方法はいくつかありますが、「年間取引額×収益率×契約年数」で求める方法が代表的です。
LTVを高めるためには、顧客を「ファン化」させ、より多くのサービスを使ってもらう工夫が求められます。
参考:LTV(ライフタイムバリュー)とは?言葉の意味や計算方法を紹介
解約率(チャーンレート)
解約率(チャーンレート)も、カスタマーサクセスにおける重要なKPIの一つです。
契約した商品・サービスがどれだけ高額でも、解約されてしまえば自社に入る収入はゼロになってしまいます。
たとえば、新規加入時に豊富な特典を用意して多くの顧客の加入につなげても、継続中の顧客に対してなにもケアをしないと、チャーンレートの高止まりを招きます。
これでは利用者数が増えないため、利益率が向上せずプロダクト改良への投資も思うように進みません。
事業の拡大には、新規顧客の獲得以上に、既存顧客への満足度向上が重要です。解約の原因を分析し、課題解決に向けてPDCAサイクルを回すことが大切です。
アップセル・クロスセル率
顧客1人あたりの単価を向上させるうえで重要なのが、アップセルとクロスセルです。
意味 | 具体例 | |
アップセル | 現状よりも高額なサービスへの乗り換え | ・プランのランクを上げる ・ライセンス数を増やす |
クロスセル | 契約中のサービスに加えて新たなサービスの契約 | 会計業務に加えて、人事業務に関するサービスも契約する |
どちらもコンスタントな増収をもたらすため、カスタマーサクセスの重要なKPIに挙げられます。
もっとも、顧客は常にコスト削減を考えているため、アップセルやクロスセルの実現は簡単ではありません。サービスを活用するベネフィットを提示し、顧客の納得を得ることが重要です。
顧客の成功につながる提案ができるかどうかは、カスタマーサクセス担当者の手腕が問われるポイントといえるでしょう。
参考:【保存版】アップセルとは?意味やクロスセルとの違い、成功方法を解説
顧客ロイヤリティ
顧客ロイヤリティは、顧客が自社のサービスに持っている「愛着」や「信頼」を指す用語です。
NPS(Net Promoter Score)は顧客ロイヤリティを測定する重要な指標であり、値が大きいほど顧客ロイヤリティが高いことを示します。
NPSは顧客に対し「あなたはこのサービスを知人に勧める可能性はどの程度ありますか?0から10の整数で点数をつけてください」という趣旨の質問を投げかけることから始まります。
顧客の回答は、以下の3種類に分類します。
点数 | 分類先のグループ |
6点以下 | 批判者 |
7点~8点 | 中立者 |
9点以上 | 推奨者 |
NPSは、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値となります。
たとえば9点以上の割合が5%、批判者の割合が75%の場合、NPSはマイナス70です。
NPSは最低でも「0」以上を確保することが望ましいとされていますが、業種や顧客層によってバラつきやすい数値であることを考慮しましょう。
NPSを「健康診断」と捉えたうえで、継続率の高さに油断せず「口コミで勧めたい」というレベルまでサービス品質を高めることが大切です。
カスタマーサクセスの具体的な仕事内容
ここでは、カスタマーサクセスの具体的な仕事内容を実際の流れにもとづいて解説します。
1. 導入支援(オンボーディング)
カスタマーサクセス活動で、顧客に対し行う最初の支援がオンボーディングです。
オンボーディングとは、顧客がサービスを自力で使いこなすことができるよう教育・レクチャーをすることを指します。顧客の離脱を招く最大の要因は「導入でつまずくこと」にあるため、カスタマーサクセス活動が特に重要な意味を持つフェーズです。
オンボーディングの具体的な業務内容は、以下のようなものが挙げられます。
- 初期設定の完了・基本操作の習得を目的としたサポート
- 教育用コンテンツ・チュートリアルの提供
オンボーディングを適切に行うことで、顧客ロイヤリティを高める効果も期待できます。
2. 使い方や困りごとに関するウェビナーの開催
サービス活用を定着させる支援として、Web上で行うセミナー開催が挙げられます。ウェビナーでは、サービスの使い方や顧客が抱えるであろう困りごとに関するものだけではなく、顧客の成功につながる多彩なテーマを扱うことができます。
たとえば、営業支援システムを提供している会社の場合、顧客は営業担当者が多いはずです。
このようなケースでは、営業担当者のニーズを満たす「オンライン時代の営業術」といったテーマの内容を届けることも、有効な成功支援になります。
サービスの活用はもちろん、プラスアルファの価値提供で顧客の課題を解決することが、カスタマーサクセスの重要な業務の1つです。
参考:Webセミナー(ウェビナー)が必要な理由とは?どのツールを用いるべきか
3. 既存顧客同士で意見交換し合うコミュニティの運営
オンラインコミュニティの運営も、カスタマーサクセスが行うサービス活用支援の1つです。
オンラインコミュニティ運営には以下に代表されるさまざまなメリットがあるため、多くのSaaS企業で取り入れられています。
- 顧客同士に仲間意識が生まれ、解約抑止につながる
- 顧客同士がナレッジを共有することで、サービスの活用レベルが上がる
- 顧客同士で課題を解決してくれるため、カスタマーサクセスの運用リソースを圧迫しない
顧客と自社双方にメリットがある取り組みのため、積極的に体制構築を検討しましょう。
4. 定期的な「ヘルススコア」チェック
ヘルススコアは、顧客がサービスを継続利用するかどうかを数値化したものです。具体的なヘルススコアの指標は、以下のようなものが挙げられます。
- サービスへのログイン回数
- 定期開催しているセミナーへの参加有無
- アンケートへの回答内容
ヘルススコアが高い顧客は、今後もサービスを継続して利用してくれる可能性が高いと判断できます。
一方で、ヘルススコアが低い顧客は解約懸念が高まっているため、早急に不満解消のアプローチを図らなければなりません。
ヘルススコアは顧客の離反を防ぎ、サービス活用率を高める施策を打つうえで重要な指標となります。「率先して対応すべき顧客は誰か」を把握するために、定期的なチェックを欠かさず行うことが大切です。
5. 解約抑止・更新フォロー
ヘルススコアのチェックにより判明した「活用度の低い顧客」や「不満を抱えている顧客」に対し、優先的に解約抑制のアプローチを行います。個々の顧客にパーソナライズされた働きかけにより、特別感を醸成することもひとつの方法です。
また、普段「なんとなく」継続している顧客ほど、契約更新のタイミングで解約が発生しやすくなります。更新時期が迫っている顧客の活用状況をリサーチし、先回りして継続へのアプローチを行うこともカスタマーサクセスの重要な任務です。
カスタマーサクセスを成功させる3つのポイント
ここからは、カスタマーサクセスの成功に欠かせない3つのポイントを取り上げます。従来の営業活動にありがちな慣習にとらわれず、ビジネスの原理原則にもとづいた考え方で行動することが重要です。
データを最大限に活用する
顧客の成功を実現するためには、顧客の抱えている課題や潜在ニーズの理解が欠かせません。そこで重要になるのが、データの収集や分析です。
データ分析をすることで、客観的かつ有効な顧客フォロー戦略を立案できます。データの収集は、ヘルススコアはもちろん、顧客管理システムである「CRM」や、マーケティング活動を効率化する「MA」などITツールを活用するのが効率的です。
部門をまたいで情報を一元管理できるツールを導入することで、収集したデータを最大限に活用できます。
参考:【営業活動のスピードアップ戦略】CRM/SFAに蓄積したデータ活用が肝!
部門を超えた組織全体で取り組むことを意識する
カスタマーサクセスは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスから続く営業プロセスの一つです。そのため、部門間が連携し、組織全体で顧客の成功支援に取り組まなければ効果は半減します。
部門の垣根を超えて取り組む組織は顧客の情報がよく入ってくるため、かゆい所に手が届くサービスをつくりやすく、市場での優位性確保につながります。
部門間の協働体制を構築するためには、顧客情報を共有できるCRM・SFAの導入が有効です。
顧客ごとに提供するサポートを変える
カスタマーサクセスでは、それぞれの顧客にあわせた対応を行うことが大切です。
すべての顧客に有人対応を設けることは理想的ですが、ユーザー数の多い商材において現実的ではありません。そこで、LTVを軸として顧客を分類し、層ごとにサポート内容を変えることでコストパフォーマンスを最大化させる必要があります。
顧客の分類は、以下のように3階層にわけて考えることが一般的です。
LTV | 支援スタイル | 支援の具体例 | |
ハイタッチ | 高い | 個々にカスタマイズされた支援 | ・マンツーマンフォロー ・定例MTG |
ロータッチ | 中間 | 1対多数の集団的な支援 | ・ワークショップ ・セミナー |
テックタッチ | 低い | デジタルを駆使した画一的な支援 | ・説明動画 ・チャットボット |
上記のタッチモデルをもとに支援を提供することで、部門のリソースを適切に分配できます。
カスタマーサクセスの成功事例
カスタマーサクセス導入の際は、以下の成功事例を参考に施策を検討してみてください。
事例1. Apple|カスタマーサクセスマネージャーの設置で顧客の信頼を高める
新製品の発売前などは、長蛇の行列がテレビで報じられる「Apple Store」。
スティーブ・ジョブズは当初から、ただ製品を店頭に並べて優秀な販売員を設置するだけでは、ファンを獲得するのが難しいと考えていたそうです。
そこでジョブズは、店舗の奥にスペースを作り、カスタマーサクセスマネージャー(ジーニアス)を設置しました。
カスタマーサクセスマネージャーの役割は「顧客が自社製品の価値を最大限に引き出せるように手助けする」こと。
現在は「Genius Bar(ジーニアスバー)」として、製品の相談はもちろん、マシンを検証したり修理や交換を行ったりなど顧客の課題解決を担う部門として機能しています。
iPhoneやMacの購入後も、継続的に店頭で支援を行うのがApple流のカスタマーサクセスです。
事例2. Sansan|カスタマーサクセスの中心を「オンボーディング(導入支援)」と定義
2007年の創業当初より、日本ではまだ珍しかったサブスクリプション型の事業をスタートしたSansan。法人向けのクラウド名刺管理サービス「Sansan」を提供している同社では、2012年に国内でいち早く、カスタマーサクセス部門を創設しました。
カスタマーサクセスを立ち上げたのは「プロダクトを顧客に使いこなしてもらう」ことこそが、継続利用の鍵だと確信していたため。
Sansanというサービスについて、いくら口頭でメリットを伝えても実感してもらうのは難しい。だからこそ、そもそも「使ってもらわなければ価値が出ない」と考えていたそうです。
そのため、カスタマーサクセスの本質を「オンボーディング支援」と定義し、サービスを導入してから使い方に慣れてもらうまでの間のサポートに注力しました。
こうした取り組みの効果で、Sansanは業界トップクラスの解約率0.60%という実績を打ち出しています。
事例3. スターバックス|利便性の高さで頻繁な利用を促す
サードプレイス(第3の場所)として顧客がくつろげる場所を作り、無料Wi-Fiサービスを提供するなど利便性の高さで知られるスターバックス。そんな同社が、顧客に継続して利用してもらうための取り組みとして始めたのが「スターバックスカード」です。
スターバックスカードは「スターバックスを財布に入れて持ち歩いてもらいたい」という思いで2002年に国内導入が開始されました。店舗ごとにデザインが異なる限定カードを収集したり、プレゼントとして利用したりする方も多いかもしれません。
スターバックスカードは既存顧客とのつながりを強化し、プレゼントとして利用されることで新規顧客の創出にも寄与しています。
利便性の高さやスターバックスカードの存在により顧客をファン化させ、継続的な店舗利用を促している事例です。
カスタマーサクセスを成功に導くツール
最後に、カスタマーサクセスにおすすめのITツールを紹介します。
コミューン株式会社「commmune」
commmuneは、オンラインコミュニティの企画・運用を一気通貫でサポートするカスタマーサクセスプラットフォームです。
課題の自己解決を促すFAQやナレッジベースをはじめ、ユーザーの能動的なアクションを引き出す多数の機能を搭載しています。ユーザーの動向を分析する機能もあるため、顧客の潜在ニーズを満たす細やかなフォローを実現できます。
「双方向のコミュニケーションを実現したい」「すべての顧客にまんべんなくサポートを提供したい」など、コミュニケーションを重視したい場合に最適なツールです。
参照:commmune
HiCustomer株式会社「HiCustomer」
HiCustomerは、顧客に関するさまざまな情報を時系列で管理し、データの集計や状況把握を効率化するカスタマーサクセスツールです。
CRMやチャットツールなどに点在している情報を集約し、データ分析にかかる工数を削減。活動の振り返りや定量的な効果測定が可能になるため、より効果の高い施策を立案できます。
「業務の脱属人化を目指したい」「サポート提供を仕組み化したい」など、データ活用により業務を効率化したい組織に最適です。
参照:HiCustomer
クラウドサーカス株式会社「Fullstar」
Fullstarは、無料でチュートリアルを作成できるカスタマーサクセスツールです。
顧客の自己解決を促すチュートリアル作成機能や、顧客の声を収集するアンケート機能、プロダクトの利用状況を可視化するデータ分析機能など、初めてツールを導入する組織にとって過不足ない機能が搭載されています。
「まずは気軽にテックタッチを実装したい」という場合に最有力候補に挙がるツールです。
カスタマーサクセスは顧客の成功体験を実現する手段
現代の営業活動において、カスタマーサクセスは「サービス品質そのもの」といっても過言ではありません。カスタマーサクセスの本質である「顧客の成功」を実現することが、自社の収益拡大に直結します。
カスタマーサクセスを成功に導くためには、部門間の協働体制を構築することが大切です。情報を一元管理できるCRM/SFAシステムの導入で、より顧客に選ばれるプロダクトの提供を実現しましょう。