【わかりやすく】データドリブンとは|意味や事例・支援ツールを紹介
データにもとづいた分析結果をもとに判断・アクションを行う「データドリブン」。変化の激しい現代のビジネスを成功させるうえで、多くの大手企業が導入している手法です。
本記事では、データドリブンの基本知識や実現するためのステップをわかりやすく解説しています。データドリブンの成功事例や支援ツールもあわせて紹介するため、自社の競争力を強化したいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
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データドリブンとは
データドリブン(Data Driven)とは、経験や勘のみに頼らず、収集したデータをもとに意思決定をすることです。客観的な事実にもとづいた判断・アクションにより、ビジネスをより良い方向に導く手法として近年注目を集めています。
ビジネスの現場においては、データを分析して経営戦略の策定に生かす「データドリブン経営」や、顧客データをもとにマーケティングを構築する「データドリブンマーケティング」などの用語もよく使用されます。
データドリブンは、経営者や役員などハイレイヤー層が取り組むべき手法だと思われがちですが、そうではありません。社内のあらゆる人々がデータを用いて意思決定を行っていくことで、データドリブンな組織をつくることが、自社のビジネス発展において不可欠な考え方となります。
以下では、営業組織におけるデータドリブンの必要性やメリットを詳しく解説しています。
参考:営業活動を効率化するデータドリブンとは?そのメリット・デメリットや導入ステップを紹介
データドリブンが注目されている背景
近年は多くの大手企業がデータドリブンに注目し、具体的な戦略を打ち出しています。なぜデータドリブンが注目を集めているのか、その背景を2つの側面から解説します。
顧客行動の複雑化
顧客が得られる情報量が増加している現代において、経験や勘に頼った意思決定は通用しなくなっています。
たとえば、以前は企業が打ったマス広告(テレビCMや新聞広告、DMなど)を受け取った顧客が、その情報をもとに意思決定を行うことが一般的でした。顧客の行動は企業側が容易にコントロールできたため、経験や勘に頼った判断が十分に効果を発揮していたのです。
しかし、インターネットが発達した現代において、もはやデータの活用なくして経営判断はできません。企業側の発信だけではなく、比較サイトやレビュー、SNSなど、ほかの消費者が発信した情報も含めて無数の情報源があるなか、顧客の行動を経験や勘で分析することは困難だからです。
このような背景から、より正確でリスクを抑えた経営判断を実現する「データ(客観的事実)にもとづいた意思決定」が重要視されるようになりました。
技術の進歩によるデータ活用幅の拡大
テクノロジーが進歩したことにより、より多くのデータを収集・活用できるようになったこともデータドリブンが注目される理由のひとつです。
たとえば、以前はコールセンターのオペレーターが一件ずつ収集していた「顧客の声」は、現代では口コミサイトやSNSで大量に収集できます。Webサイトを訪れたユーザーの行動も、ITツールによって容易に解析可能です。
このように、より手軽に多くのデータが収集できるようになったことで、経営やマーケティングへデータを有効活用しようという気運が高まりつつあります。
データドリブンを実現するステップと注力ポイント
以下ではデータドリブンを実現させるうえで必要となるステップを、注力すべきポイントとともに解説します。
1. データの収集
データドリブンを行う際は、まずデータを収集することから始めましょう。収集するデータの具体例として、顧客情報や売上データ、Webサイトへのアクセスデータなどが挙げられます。
データには膨大な種類があるため、やみくもに収集するのは効率的ではありません。「データを集めて何をしたいのか」を明確にしたうえで、収集すべきデータを定めることが大切です。
データの収集・管理は、ITツールを導入することでより効率化できます。
2. データの可視化
収集したデータは、加工して可視化することで初めて活用できるようになります。データは表計算ソフトを活用して加工することも可能ですが、多くの工数を要するため大量のデータを扱う際は適しません。
手動で管理できる量を超えるデータを扱う場合は、BIツールやDMPなどのデータ分析ツールを活用するのがおすすめです。
3. データの分析・アクションプラン策定
可視化されたデータを分析し、アクションプランを策定します。データ分析には「データ同士の関連性を導き出す」「ボトルネックを特定する」などの専門スキルが必要になるため、知識や経験のある人材が必要不可欠になります。
データドリブンを実現するためには、スペシャリストの採用・育成などの人事戦略も同時進行で進める必要があるでしょう。
参考:ジョブ型雇用とは?導入するメリット・デメリット、企業事例を徹底解説!
4. アクションプランの実行
いよいよ分析結果から導き出されたアクションプランを実行します。
データドリブンを成功させるポイントは、組織が一丸となって取り組むことです。データドリブンの重要性を組織の一人ひとりが十分に認識し、全員で同じ方向を向かなければ、収集したデータを十分に活用できません。
そのためには、マネジメント層が率先してデータドリブンについての理解を深め、社内にデータを活用する文化を浸透させていく工夫が必要です。
データドリブンを成功させた企業の事例
以下では、データドリブンを実現した企業の事例を紹介します。ぜひ自社のビジネスへアプローチする際の参考にしてください。
ヤマト運輸|データ分析による未来予測で新たなサービスを創出
ヤマト運輸株式会社は、2021年に300人規模の新・デジタル組織を立ち上げ、4年間でデジタル分野に約1,000億円を投資することで、データドリブン経営への戦略的な転換を進めています。
この戦略の目的は、データ分析にもとづく「未来予測」により、経営資源の配置を最適化し新たなサービスの創出をめざすことです。従来は、社員シフトや車両手配などを担当者の経験と勘をもとに行っていましたが、現在はデータにもとづいた3カ月先の業務量予測をもとに、経営資源の最適配置を行っています。
リアルタイムでデータ連携が行えるようになったことで、アプリやLINEチャットなどのユーザビリティが向上しました。結果として、データドリブン経営が顧客体験の向上につながっています。
顧客の利便性向上はもちろん、物流業界全体の変革を目指すうえで、データの活用が欠かせないことを示した事例です。
参考:ヤマト運輸「統合レポート2020 データ戦略・イノベーション戦略の推進」
Netflix|データにもとづいた顧客分析で真の競争優位性を獲得
Netflixは、登録会員数2億人超を誇る配信登録制のストリーミングサービスです。顧客データを収集・活用したデータドリブンなアプローチで、会社の業績向上を実現しています。
Netflixがとった戦略のひとつは、過去に評判のよかったテレビ番組のデータを活用し、オリジナルコンテンツを作成すること。これが史上最大のヒット作となったことで、大量の新規顧客獲得に成功しました。
さらに、今や業界のスタンダードとなっている「おすすめ機能(利用者一人ひとりの視聴履歴や好みにもとづき次に見るべき番組が表示される機能)」をいち早く採用し、既存顧客の維持を実現。
真の競争優位性を獲得するためには、知識と経験にもとづいた推測から脱却し、データから導き出される客観的事実をもとにした顧客分析が大切だと教えてくれる事例です。
参考:日経クロストレンド「Netflixのレコメンドは行動を分析 性別や年齢は対象外」
参考:MarkeZine「改めて、顧客分析とは何か。Netflixなど世界のテック企業の事例から基本となる考え方を解説」
データドリブンを支援するツール
データドリブンを行ううえで扱うデータ量は膨大です。手動で加工・分析するのは非常に手間がかかるため、専用ツールの活用がデータドリブンの成否を左右するといっても過言ではありません。
ここでは代表的なデータドリブン支援ツールを4つ紹介します。自社の目的や状況にあわせて、最適なツールを選択してください。
DMP
DMP(Data Management Platform:データマネジメントプラットフォーム)は、蓄積されたさまざまな情報を収集・管理するためのプラットフォームです。
DMPには、外部企業が提供するビッグデータを扱う 「パブリックDMP」と、社内のデータを蓄積・管理する「プライベートDMP」の2種類があります。ほかのツールと連携してデータを活用できる点が特長です。
Web解析ツール
Web解析ツールは、自社サイトへの訪問に関するデータや、ユーザーの行動を可視化するためのツールです。可視化できるデータは、PV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー数)、セッション数、Bounce Rate(直帰率)、CTR(クリックスルー率)など多岐にわたります。
代表的なWeb解析ツールとしては「Googleアナリティクス」や「Adobeアナリティクス」などが挙げられます。Googleアナリティクスは無料で利用できるため、ツールの活用実績がない組織でも気軽に導入可能です。
BIツール
BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)ツールは、膨大なデータの収集・分析をサポートするツールです。社内のあらゆるシステムに蓄積されているデータの分析やレポーティングができるため、意思決定までの時間が短縮されます。
「精度の高い経営判断を実現する」というデータドリブンの目的を達成するうえで、非常に重要な役割を担うツールです。
参考:BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは?メリットや活用事例を解説
MA
MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング作業を自動化・効率化するツールです。集客を効率化する機能や、見込み客に最適なアプローチを行う機能などが搭載されています。
顧客の行動が複雑化した現代においては、マーケティング戦略の策定に欠かせないツールだといえるでしょう。
参考:MA(マーケティングオートメーション)とは?ツール導入方法や活用事例
CRM/SFA
CRM(顧客関係管理)およびSFA(営業支援システム)は、顧客情報や商談情報を一元管理するシステムです。「氏名」「年齢」「属性」などの基本情報をはじめ、「購入履歴」「営業プロセス」「問い合わせ履歴」など顧客アプローチに欠かせない情報を蓄積します。
ビジネス活動を行ううえで必要不可欠なデータを扱うツールのため、近年は導入する企業が増加しています。
参考:CRMとは?機能やメリット、導入時の選び方、活用のコツをわかりやすく解説
データドリブンで競争力強化を実現しよう
顧客行動が複雑化している昨今、競争に打ち勝つ企業へと成長させるためには、データドリブンなアプローチで真に顧客が求めている価値を提供することが大切です。
データドリブンを実現する重要な要素は「人材の確保」「組織力の向上」「ITツールの導入」。ツールの活用を具体的に検討しつつ、中長期的な目線で人材育成や人事戦略に取り組むことをおすすめします。
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