ドリルダウンとは?ドリルアップ・ドリルスルーとの違いや利用法を解説
ドリルダウンとは、概要レベルから詳細レベルへと掘り下げて分析する手法で、全体像をより正確に把握でき、問題点を見つけやすくなるというメリットがあります。
ドリルダウン機能は一般的にBIツールに搭載されており、CRM/SFAと連携することで営業パフォーマンスの最大化やリソースの最適化が実現します。
本記事ではドリルダウンの特徴や重要性、業務におけるドリルダウンの活かし方を解説します。
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ドリルダウンとは?
最初に、ドリルダウンの特徴や重要性、ドリルアップやドリルスルーとの違いを解説します。
ドリルダウンの特徴と重要性
ドリルダウンはデータ集計や分析シーンでよく利用される手法で、データをおおまかな概要レベルから詳細レベルへと掘り下げていくことで、全体像をより正確に把握するために活用します。
たとえば事業部レベルから部、課レベルへと絞り込むような、階層のあるデータを分析する際に適しています。
ドリルダウン機能はBIツールに搭載されていることが多く、事業部の売上が目標に達していない場合に、部や課のレベルまで掘り下げて調べる際などに有効活用できるでしょう。
変化が激しく競合ひしめく市場のなかで企業が生き残るには、膨大なデータを正確に分析する必要があります。ドリルダウンによって常に正しい経営判断を下すことは、いまやビジネスにおいて必須の条件といえるでしょう。
また、ドリルダウンによって問題点や課題が発見しやすくなるため、迅速な対応が可能となるメリットがあります。
ドリルアップとの違い
ドリルアップはドリルダウンの反対語で、詳細なデータを概要レベルに引き上げる手法です。たとえば月単位の売上を四半期単位、年単位へと切り替える際に活用します。
ドリルスルーとの違い
ドリルスルーとは、集計表上で項目データや合計データ、集計データの明細を表示する手法です。
ドリルスルー機能を使えば任意のレポートへ移動できます。たとえば、売上集計レポートからその詳細データ、あるいは売上ではなく来店客情報が記載されたレポート等を確認できます。
一方、ドリルダウン・ドリルアップは、分析内容の細かさや階層を変化させる分析手法で、階層の違いにより課題等を把握する際に活用します。
ドリルダウンの利用で分析できることの具体例
ここからは、営業活動や顧客管理業務におけるドリルダウンの活かし方を、例を用いて解説します。
売上高の月別・週別・日別・時間別の変化
売上分析でドリルダウンを活用すると、課題を発見しやすくなります。
たとえば任意の商品の月別売上だけではなく、週別・日別・時間別の売上を確認すると、売上の伸びない時間や曜日、特定の日がわかることもあります。
売り上げ不振の曜日や日時がわかれば原因も突き止めやすくなり、問題解決につなげやすくなるでしょう。
エリア戦略のための国・都道府県・市区町村別人口変化
人口動態を国から都道府県、市町村別へとドリルダウンしてデータを確認することで、営業のエリア戦略に活用できます。
特定の地域の売上が低い場合、ここ数年の人口減少が激しい、若年層が少ないなどといった特徴がわかれば、対策を立てやすくなるでしょう。
組織における事業部・部・課のKPI達成状況
たとえば、ある事業部のKPI達成状況が他事業部に比べ芳しくない場合、部~課レベルまでドリルダウンして分析を行うと、どの段階で問題が発生しているかを発見しやすくなります。
ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ別の顧客管理
カスタマーサクセスにおけるLTV別に顧客をセグメントしたアプローチ手法であるタッチモデルでも、ドリルダウンを活かした分析を活用できます。
ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチ別に顧客や営業活動のドリルダウン分析を行うと、課題を見つけやすく、最適な対策や顧客フォローができるでしょう。
ドリルダウン利用方法【ツール別】
ドリルダウンを実際に行うにはExcelでも可能ですが、BIツールを利用するのが一般的です。
BIツールとは、膨大なデータを集約・分析して経営判断に活用するためのツールのことで、BIツールならドリルダウン機能も簡単に使うことができ、営業やマーケティングに有効活用できます。
ここでは、代表的なBIツールとExcelでのドリルダウンの利用方法を簡単に解説します。
Excelでのドリルダウン
Excelでは、ピボットテーブルを使うことでドリルダウン分析が可能です。
たとえば、上のピボットテーブルには2022年と2023年の売上が記載されており、2022年の「+」ボタンをクリックすると、2022年の各月の売上が表示されるようになっています。
ピボットテーブルのフィールドの項目を変えれば、さまざまな階層のデータを集計・分析できます。
Qlik Senseのドリルダウン
直感的な操作でデータを簡単に可視化・分析できるBIツールの「Qlik Sense」には、ドリルダウン機能が搭載されており、以下の手順で利用できます。
- ドリルダウンを活用する前に、親子関係を持つ項目のグループ化の設定を行う
- 「アプリの新規作成」を選択⇒アプリの名前を入力
- Excelファイルからデータを取り込む
ExcelファイルをQlik Senseの画面にドラッグ&ドロップするか、「データの追加」をクリックしてExcelファイルを選択 - 画面左側の「アセット」パネルから「マスターアイテム」を選択⇒「軸」を選択して「新規作成」をクリック
- 画面上部で「ドリルダウン」を選択して必要な項目を選ぶ
- 名前欄にグループ名を指定する
- 「軸を追加」をクリックして、「完了」をクリック
Looker Studioのドリルダウン
Qlik Senseと同様によく使われているBIツールの「Looker Studio」では、以下の手順でドリルダウンを活用できます。
- Looker Studioにログイン
- リストからレポートを探して、「レポート名」をクリック⇒「編集」をクリック
- グラフを選択
- プロパティパネルから「設定」を選択
- ディメンション下部にある「ドリルダウン」をオンにする⇒ディメンションをグラフに追加
ドリルダウンに役立つBIツールの機能
BIツールにはドリルダウン機能のほか、営業活動や顧客管理に便利なさまざまな機能が搭載されています。以下で詳しく解説します。
OLAP分析機能
OLAP(オーラップ:Online Analytical Processing)分析機能とは、蓄積された膨大なデータをあらゆる角度から集計・分析し、迅速に問題点や課題を発見・解決する機能です。
多次元分析やデータの可視化のほか、各種データソースとの連携により、目的に合ったデータ分析が可能となります。ドリルダウン、ドリルアップ、ドリルスルーは、OLAP分析機能の解析手法のひとつとなります。
この機能と自社のCRM/SFAと連携すると、膨大な量の顧客管理が可能となり、管理方法の質の向上や適切なアプローチも実現できるでしょう。
レポーティング機能
レポーティング機能とは、日常の営業活動などのデータを分析して、迅速に問題点や課題を発見する機能で、業務の効率化やリソースの最適化などに利用できます。
CRM/SFAと連動すると営業活動の効率化、パフォーマンスの最大化などを期待できるでしょう。
データマイニング機能
データマイニング機能とは、膨大なデータから人間が発見できない法則性や顧客との関係性、未知の傾向などを探して分析できる機能です。
日々の活動では気付かなかった課題や問題点を抽出できるため、トラブルを未然に防ぎ、解決する対策のヒントを得られます。
シミュレーション機能
シミュレーション機能とは、蓄積データを活用して仮説や検証を行える機能です。
目的に向けたシナリオを複数のパターン予測できるほか、目的やゴールから必要な数値を研鑽するゴールシーク機能も備わっています。
この機能も、CRM/SFAと連携することで、顧客に対するさまざまなアプローチ法を計画できます。
参考:顧客分析とは?10のフレームワークや分析に役立つツールを解説
ドリルダウンはBIとCRM/SFAの連携で効率化できる
ドリルダウンとは、データを概要レベルから詳細レベルに掘り下げることで問題点や課題を発見しやすくする分析手法です。ドリルダウンにより課題に対する迅速な対応や業務・リソースの最適化、顧客管理の質の向上などが実現します。
ドリルダウンは一般的にBIツールに搭載されている機能であり、CRM/SFAを連携してドリルダウンを行うと、営業活動や顧客管理の課題発見や対応をスピーディに行えるようになるため、ビジネスが一層加速化するでしょう。