不動産業界におけるDXの必要性とは? 課題や導入のメリット、成功事例を徹底解説!
近年、多くの業界や企業で、IT化やデジタル技術を駆使した「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が推進されています。
しかし、いまだに従来の商慣習から抜け出せず、遅れをとっているのが不動産業界です。
DX導入の遅れは今後、企業の競争力や優位性を確立できない事態を招くと言われています。
本記事では、DXの導入が遅れる不動産業界にスポットをあてて、不動産業界が抱える課題から、DXを導入する必要性やメリット、企業の成功事例を踏まえ、DXの重要性について解説します。
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なぜ不動産業界にDXが必要なのか?
まずはじめに、なぜ不動産業界でDX改革が必要なのか解説します。
業界特有の商習慣やアナログ作業の常態化
総務省の「令和元年通信利用動向調査報告書」※のテレワーク導入状況の推移によると、2019年時点の不動産業のテレワーク導入状況は25.4%にとどまっており、情報通信業や金融・保険業と比べて半分程度の低水準に位置しています。
不動産業界ではいまだに書類作成が手書きで行われていたり、来客対応や内見対応は対面式であったり、顧客管理も過去のシステムを使用しているなど、さまざまな業務をマンパワーに頼らざるを得ない状況が続いているからです。
不動産業界特有の商慣習やアナログ作業による業務プロセスが定着し、依然として古い体質を脱却できない状況が続いています。
長時間労働による人手不足が顕在化
不動産業界では非効率的な業務が常態化しているため、それにともない、長時間労働による人手不足も深刻な問題として挙げられます。
2018年に行われたパーソル総合研究所と東京大学 中原淳准教授の「残業実態調査」の結果によると、残業時間が月に30時間以上に及ぶ従業員の割合が、不動産業では31.8%(月平均21.6時間)と、14業種のうち4番目の水準となっています。
同時に、不動産業界は他の業界に比べサービス残業が多く、その結果、業界全体の離職率も高く、慢性的な人手不足が問題となっているのです。
顧客ニーズの多様化
顧客ニーズの多様化も、DXを推進すべき理由に挙げられます。
近年では、不動産を選ぶ方法も店舗に足を運ぶ方法から、インターネットやスマートフォンを活用して物件情報を取得することが当たり前となっています。
また、働き方やライフスタイルの変化にともない、新築の不動産ばかりでなく、中古物件やリノベーションの有無など、顧客の求める要望やニーズは複雑化しつつあります。
したがって、これまでのような仕組みではなく、顧客ニーズに対応した新たな取り組みが求められているのです。
不動産業界がDXを活用するメリット
ここからは、不動産業界がDXを活用するメリットについて解説します。
業務効率化による生産性向上
DXの活用によって、従来のアナログ方式の業務スタイルからデジタルシフトすることで、業務効率化による生産性向上につなげることができます。
業務のデジタル化を通じ、業務全体を最適化できれば、これまでマンパワーに頼っていたアナログ業務の自動化や、プロセス自体の可視化や分析も可能なため、人件費削減などのコスト抑制にも寄与します。
労働環境の改善による人手不足の解消
DXの推進は、これまで慢性的だった長時間労働の是正や人手不足の解消の効果も期待できます。
DXの導入効果を最大化するため、業務プロセスの見直しや棚卸しを行い、業務の自動化や無駄な作業を削減することで、生産性が大きく向上します。
顧客満足度の向上
DXの導入により、顧客満足度の向上も期待できます。
DXは、これまでの業務プロセスを自動化・可視化するだけでなく、従業員をより重要度の高い業務に転換することができます。
また、これまでに蓄積したデータの分析・活用をDXやAI機能に移行することで、新たな事業を創出することも可能です。
そのため、マーケットや消費行動の変化に瞬時に対応することができ、結果として顧客の求めるサービスを提供することにつながります。
既存システムからの脱却
DXの導入により、既存システムから脱却することも可能です。
現在、多くの企業ではメインフレームやオフコンなどの基幹システムをレガシーシステムに頼っており、それはすでに開発から20年以上の歳月を経過しています。
その間、社内のシステムは改善を繰り返し、今では肥大化や複雑化、扱える人材が社内にいないブラックボックス化する事態に。
こうした状況は「2025年の崖」と呼ばれ、このまま企業がデジタル化に取り組まなければ、2025年から2030年にかけて国内で年間、最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると報告されています。
したがって、DXの導入により早期に既存システムからの脱却を図ることは、競合との差別化や優位性を得られるだけでなく、経済損失などのリスクを回避することにもつながります。
不動産業界におけるDX導入の成功事例
従来の商慣習を見直し、新たにDXを導入する不動産企業も一部、存在します。
以下では、不動産業界の中で先行してDXを業務に採用する企業の成功事例について解説します。
三井不動産
不動産大手の三井不動産では、テクノロジーを活用し、不動産業にイノベーションを定着させる取り組みとして、DXの推進に積極的に着手しています。
2017年から全社的なDXへの取り組みを開始した同社は「DX本部」を設立、2023年には3部体制に拡大しました。事業変革プロジェクトとして「&LOGI Solution」や「新MSPアプリ」など、新たに11のサービスをリリースしています。
働き方改革では、システム刷新により年間で約27.9万時間の業務効率化(2018/4~2023/3)や、クラウド化率96%(2023年度)など、すでに多くの分野でDXの実現を果たしました。
GA technologies
2013年の設立以降、不動産ビジネスにテクノロジーやイノベーション技術を駆使し、現在では売上高600億円を突破したGA technologiesは、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「DX調査2020」においてDX銘柄に認定されています。
具体的には、資料や契約書作成、電話・FAXなどのデジタル化や、投資用ローンの申し込みや審査のオンライン化など、不動産取引プロセスを包括的にデジタル化したことをはじめ、完全非対面での不動産販売による優れた顧客体験の提供など、不動産業界の中では他社に先行して圧倒的な優位性を発揮しています。
参考:不動産業界に最適なSFAとは? メリットや活用事例、おすすめのSFAツールを紹介!
不動産業界におすすめなDXサービス3選
不動産業界でDXを導入するにあたり、採用のハードルが高くてはいつまで経ってもDX改革は進展しません。
そこで以下では、不動産業界におすすめなDXサービスを厳選して紹介します。
eセールスマネージャーRemix Cloud
特徴
導入実績5,500社以上、サービスの利用継続率95%を誇る国産CRM/SFAです。
シングルインプット・マルチアウトプットのため、IT人材の有無に関係なく、誰でも簡単に操作することが可能。
メリット
- システムの導入から定着までを一括してサポートしてくれる
- 国内の業務プロセスをもとに機能を搭載しているため、業務工数や作業時間を大幅削減
- 企業の規模や人数に応じてプランを選択できるため、少ないコストで成果を出すことが可能
料金プラン
- スケジュールシェア(グループウェアのみ)
月額3,000円/1ユーザー - ナレッジシェア(閲覧のみ)
月額6,000円/1ユーザー - スタンダード
月額11,000円/1ユーザー
いえらぶCLOUD
特徴
不動産業務支援に特化した「いえらぶCLOUD」は、これまでに全国12,00015,000社以上の導入実績を誇り、不動産業務にかかわるすべての業務をカバーしたシステムです。
また、専門スタッフが1社ごとに、利用状況や動向に応じてコンサルティングやサポートする体制が構築されているため、賃貸・売買・管理問わず活用することができます。
メリット
- すべての不動産業務がいえらぶCLOUDで完結できる
- 多機能ながらわかりやすい画面デザインや操作性のため、誰でも使いこなすことが可能
- 仲介会社や管理会社向けのシステムも用意されているため用途によって使い分けできる
料金プラン
要相談
カイクラ
特徴
カイクラは、これまでに100業種以上の導入実績を誇り、特に電話応対の多い不動産業界において、顧客情報の対応履歴や状況を共有できるなど、顧客コミュニケーションを一元管理できるシステムです。
メリット
- 顧客との会話を瞬時に表示できるだけでなく、対応履歴や通話録音、文字起こしなど、顧客に関する情報が簡単に共有可能
- 連絡がつながりにくい顧客でもSMS連絡機能を使って確実にメッセージを届けることができる
料金プラン
- スタンダード(1ライセンス=1拠点)
- 月額利用料 税込34,000円~
- 初期費用 税込199,100円~
そのほか、企業のDX推進に役立つ各種ツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考:DXは低コストでも実現できる!DXに役立つ14の無料ツールを紹介
まとめ:DX導入による不動産業界のデジタル化は待ったなし!
不動産業界では長時間労働や人材不足、デジタルシフトへの遅れなど、課題が山積しています。
しかし、停滞を嘆くのではなく、デジタル化を含むDX導入の推進のために、業務プロセスの見直しや棚卸しを行い、着実に無駄や不要を抽出する必要があります。
生成AIをはじめとする個別技術の発展やリモートワークの浸透など、近年のビジネス環境の変化を見れば明らかなように、デジタル化は今後、確実に進行します。
その潮流に取り残されないように、今からDXの導入を検討してみてはいかがでしょうか。