エンゲージメントとは?ビジネスへの活用方法やメリットを解説
組織マネジメントで重要とされる「エンゲージメント」という用語についてご存知でしょうか?
企業では従業員のエンゲージメントが高いほど、企業の成長へとつながる行動を期待することができます。本記事では、ビジネスにおけるエンゲージメントの意味やメリット、高める方法について詳しく解説します。
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エンゲージメントとは
まずは、エンゲージメントの意味や重要とされる背景を見てみましょう。
ビジネスにおけるエンゲージメントの意味
エンゲージメントの意味は文脈によって異なりますが、一般的には「関与」や「参加」などの意味で使われます。
ビジネスにおいては、人事面では企業(所属組織)に対する関与の度合いとして、マーケティング面では「顧客エンゲージメント」という呼称で、商品やサービスへの顧客の興味・関心を測る指標として用いられます。
エンゲージメントが重要視される理由
近年、さまざまな企業が従業員のエンゲージメントを重要視している理由としては、人材競争の激化や働き方の多様化が挙げられます。
「転職」を選択するハードルが従来と比べて低くなったことや、入社後の企業とのミスマッチから生じる早期離職の増加(厚生労働省調べ)から、多くの企業が雇用後も長く在籍してもらうために従業員のエンゲージメントを高める方法を模索しています。
また、企業側の求める理想と従業員の間でのギャップが招く生産性の低下といった懸念の大きさも、重要視されている理由の一つといえるでしょう。
エンゲージメントを高めるメリット
次に、従業員のエンゲージメントを高めることで企業が得られるメリットを3つ解説します。
離職率の低下
エンゲージメントが高まると、従業員の満足度や貢献性が向上します。
企業に長く在籍する意義が生まれることで、新しく採用された従業員の早期離職率の低下や、有能な人材の流出を防ぐことにもつながります。
従業員の連携強化
従業員のエンゲージメント向上により、従業員は企業に対する当事者意識を持ち、より協力的な活動を行うようになります。
部署間での連携もスムーズになり、企業全体の成長につながる一体感のある事業活動を行えるようになるでしょう。
生産性の向上
エンゲージメントの高い従業員は、仕事に対する意欲が高まり、企業全体の生産性向上につながります。
エンゲージメントは、従業員の仕事に対する満足感や誇りといったモチベーションにも影響するため、生産性を高めるためにも重要な要素といえるでしょう。
エンゲージメントの高い企業の成功事例
前章で解説したメリットのために、実際に企業はさまざまな取り組みで従業員のエンゲージメント向上を行なっています。本章では、スターバックスやサイバーエージェントの2社を成功事例として紹介します。
スターバックスコーヒージャパン
スターバックスでは「パートナー」という言葉を重視し、従業員を大切にする文化が根付いています。
コーヒーの知識や接客スキルの向上をサポートし、従業員がみずから積極的にスキルアップを目指せる環境づくりも行なっています。
従業員がお互いを尊重し、協力して働く仕組みが作られており、従業員の高いエンゲージメントを実現させている成功事例の一つといえるでしょう。
サイバーエージェント
サイバーエージェントでは社内に「キャリアエージェント」という組織を置き、従業員のコンディション把握や、社内異動の公募制度などの適材適所で働きやすい環境づくりを行なっています。
その結果、社員一人ひとりの高いエンゲージメントを維持し、87%の社員が「働きがいがある」と答える環境を実現しています。
参考:87%の社員が「働きがいがある」と答える環境を実現ーーCHO曽山が語るエンゲージメントを高める人事施策
エンゲージメントを高める方法
実際に企業が従業員のエンゲージメントを高めるためには、具体的にどのようなことを実施すればよいのでしょうか。本章では、エンゲージメントの測定方法と向上施策例について紹介します。
エンゲージメントの測定方法
企業が従業員のエンゲージメントを数値化して測る方法はさまざまです。
以下に、エンゲージメントの主な測定方法を表にまとめました。企業の組織形態に合う方法で、まずは自社のエンゲージメントを数値化してみましょう。
測定方法 | 説明 |
アンケート調査 | 定期的なアンケートを通じた従業員の意見、感情の把握や、満足度、組織文化、チームワークなどの評価 |
1対1の面談 | 上司との個別の面談を通じて従業員のニーズや課題を理解し、直接的なフィードバックを送る |
360度フィードバック | 同僚、上司、部下からの総合的なフィードバックを収集し、全体的なエンゲージメントや関与度を評価 |
生産性指標の分析 | エンゲージメントが生産性に与える影響を把握するために、生産性指標や業績のデータを分析 |
離職率のモニタリング | エンゲージメントの高さは通常、離職率の低下に寄与するため、離職率をモニタリングし、変動とエンゲージメントを関連付ける |
匿名フィードバックボックス | リアルで率直な声を収集する手段として、従業員が匿名で意見を提供できるプラットフォームを提供する |
エンゲージメントの向上施策例
企業の規模や業種などによって従業員のエンゲージメントを向上させる施策は異なります。
本章では営業部におけるエンゲージメントの向上施策を例にして、エンゲージメントを高める具体的な方法を解説します。
フィードバックの強化
従業員が具体的な目標を持ち、それに向かって進捗を確認できる環境を整えます。具体的には、週次や月次のミーティングを通じた上司との対話やフィードバックを重視し、従業員が自分の成果に対して評価を受けることができるようにしましょう。
目標設定が明確で、成果に対する評価が公平であれば、従業員は仕事により高いモチベーションを示す可能性が高まります。
スキルアップの仕組みづくり
営業職は、常に市場や競合の変化に対応して適切な商談を行う必要があります。従業員が自己成長できるように、営業スキルや業界知識の向上をサポートするようなトレーニングプログラムを提供しましょう。
定期的なトレーニング、ワークショップの機会や、従業員が最新の営業成績や同僚の情報にアクセスできるような環境・仕組みを用意できれば、従業員のスキル向上に対する意欲の喚起にもつながるでしょう。
コミュニケーション機会の創出
営業部内でのコミュニケーションや協力がエンゲージメントに大きく影響します。定期的なチームミーティングや情報共有の場を設け、従業員同士や上司とのコミュニケーションを活発化させましょう。
また、成功事例や同僚のキャリアアップについての情報を営業部内で常にオープンにすることで、より従業員同士の共感や学びの機会が生まれ、営業部全体の連帯感が高まります。
エンゲージメントを高める上で注意したいポイント
従業員のエンゲージメントを高めるうえで注意したい3つのポイントを解説します。以下の3つは、エンゲージメント向上に効果的である反面、工数の多さや気を付けなければいけないポイントがあることを理解しておきましょう。
働きやすい環境の整備
エンゲージメントを高めるためには、働きやすい環境を整えることが必要です。
これには、柔軟な労働条件やワークライフバランスのサポート、必要なリソースの提供などが求められます。従業員がストレスなく業務に取り組めるような環境づくりが、エンゲージメントの向上につながります。
また、コミュニケーションツールや効果的な仕組みの整備も、業務の円滑な進行とチームワークの向上に寄与します。
従業員の分析体制
従業員がみずからスキルアップを目指すような仕組みとして、自身の成績データが可視化され、成長が目に見えるような環境を整えることが重要です。
たとえば、営業における自身や他の従業員の成績が常に閲覧できる状態であれば、成績上位者の分析や弱点の把握が可能になります。
成長が実感できると従業員の働くモチベーションの向上や働きがいの発見にもつながるため、エンゲージメント向上においては成長しやすい環境づくりを心がけましょう。
営業部のデータ分析に適した営業支援ツール(SFA)については、以下の記事をご参考ください。
参考:SFA(営業支援ツール)おすすめ比較12選!機能や違い・選定ポイントを解説
適切な報酬制度
従業員のエンゲージメントの維持・向上には、成果に応じた適切な報酬が得られる仕組みも重要です。
成果に対して公正かつ透明な報酬制度を設け、優れた成績を上げた従業員には公的な認識や表彰を行います。これにより、努力や成果の数に応じた見返りを与えてくれる企業であるという信頼が高まり、結果としてエンゲージメントが促進されます。
企業から与えられる報酬は、企業に所属する従業員にとって自身の努力や成果が目に見えて実感できるものです。給与制度や福利厚生の見直しも必要に応じて行い、エンゲージメント向上施策に取り組むようにしましょう。
エンゲージメントを高め、適切なマネジメントを実施しよう
本記事では、エンゲージメントの意味やビジネスでの活用メリット、そして実際に従業員のエンゲージメントを高める方法について解説しました。
企業が掲げる理想や目標、方針などは従業員にかならずしも理解されるわけではありません。思い通りにマネジメントすることは難しいものですが、従業員のエンゲージメントを高めて適切にコントロールすることで、企業と従業員の歩みを合わせることができるでしょう。
エンゲージメントを高めるためにも、まずは従業員の声を聞き、適切なツールの導入や仕組みづくりで企業の成長を実現しましょう。