PDCAを回す秘訣は仕組みと会議にあり!「脱:報告会議」から「CAP会議」へ
「PDCAサイクル」とは、以下のPlan(計画)→Do(実行)→Check(点検)→Action(改善)を業務において回してゆき、ある一定の成果や効率化に繋げる手法のことを指します。
- Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する
- Do(実行):計画に沿って業務を行う
- Check(点検):業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する
- Action(改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて改善する
今回は、PDCAサイクルがなぜうまく回らないのか、どうすれば回るようになるかを具体的な事例を交えてご紹介します。
原因 1:ゴールから考えたプロセス毎の指標が設定できていない
PDCAサイクルは、製造現場や営業現場でよく使われる考え方です。
「営業現場での事例」を以下に記載します。
営業現場で多くみられるのが、目標(ゴール)設定とPDCAが繋がっておらず、掲げた目標予算を具体的なPlan(計画)に落とし込めていないケースです。
目標設定の際に、目標予算が各部門や各営業マンに割り振られ、顧客リストを渡された営業マンは「1日○件回れ」という指示の下、Plan(計画)を立て、Do(実行)に移していきますが、ここに陥りがちなワナがあります。
多くの場合、与えられた顧客リストに指示通り訪問するだけでは設定した目標を達成できないことに気づいていないのです。
そうなってしまう理由は2点あります。
1つ目は、漠然とした予測で計画を立てている点です。
よくある営業部門のケース
【目標】
年間目標を営業マンの人数で頭割りする。それを月次目標で分割する。
【プロセス】
顧客接点を増やせと号令をかけ、1日3件回れと指導をしている。
上記のように、1日3件訪問しただけで目標としている数字にはたして到達できるのでしょうか?
実は、ほとんどの会社の営業部門では、仮に目標としている訪問件数をクリアしたとしても、ゴールとしている売上金額に到達できないことが弊社の調査で判明しています。
それはなぜか?
一言でいえば、受注までのプロセスを無視して訪問件数だけを指標にしているためです。
営業には受注するまでに「初回訪問」→「提案」→「見積提示」→「クロージング」→「受注」などのプロセスがあり、ゴール(目標)に辿り着くためには、それぞれのプロセスに指標を設けてそれらをクリアしていく必要があります。
ゴールから逆算したプロセスを管理せずに結果のみを管理するのは間違いです。
結果が出てしまってからでは軌道修正ができません。
例えば、受注目標が3件/月だとして、その手前のプロセスの「見積提示」から「受注」への前進率が30%だとしたら、10件の見積提示が必要となります。
「見積提示」の手前のプロセスの「初回訪問」からの前進率が10%だったとすると100件の初回訪問が必要となります。
一方で、1ヶ月20営業日だとして1人あたり3件/日の訪問が限界だとすると60件/月の訪問が限界となります。
100件の初回訪問が必要にも関わらず、60件が限界だとしたら、この時点で「プロセスの設計が間違えている」ことになり、改善が必要になります。
これに気づいていないのです。
言い換えると「PDCAのPlanの段階で間違えている」ことに気付いていないケースが多いのです。
原因 2:Pの質×量をマネジメントできていない
2つ目は、日々のPDCAの回し方にあります。
例えば、Plan(計画)のPについて見てみます。
一昔前に比べ、グループウェアなどのスケジュール管理機能により「誰が、どこに行っているか?」をリアルタイムで共有できるようになりました。
スケジュールが共有できていれば「Pのマネジメント」もできていると錯覚してしまいがちですが、そのスケジュールの【質×量】までマネジメントし、次のDo(実行)に繋げなければなりません。
では、営業におけるPlan(計画)の【質×量】とは何でしょうか?
- 【質】→行くべき先に行けているのか?会うべき人に会えているのか?
- 【量】→1日3件訪問しようと号令はかけているが、それを計測して改善点を見付けて策を打っているのか?
この2点を見なくてはならないのに、
- 【質】→グループウェアのようなスケジュール管理ソフトでは、表面的に「どこに行っているか?」は分かるが、その顧客は行くべき先なのか?までは分からない。
また、「会うべき人に会えているのか?」という部分も見えない。 - 【量】→1日3件訪問しようと決めている部署が10営業日経過したときに、3件×10営業日→30件訪問できているのかをマネージャーはチェックできない。
足りない場合はそのリカバリーの指示を部下にしなくてはならないのにグループウェアのようなスケジュール管理ソフトでは、把握できない。
実態としては、P(計画)の【質×量】のマネジメントをできている会社はとても少ないのです。
このように、一口に「PDCA」と言っても、いきなりP(計画)の段階でコケてしまっているケースがとても多いのです。
PDCAサイクルをうまく回すための営業会議の在り方4つのポイント
また、その後の、D(実行)→C(点検)→A(改善)についても見てみましょう。
営業活動後に上司や関連メンバーにメールなどの手段で情報共有をし、会議用にエクセルなどを利用し資料作成をしている企業は多いと思います。
この場合、下記のような課題に陥ってしまいます。
- とにかく会議が多い
- メールを書くにも背景から文章で書かなければいけないので、時間がかかる
- 会議用資料は別途用意する必要があり、作成のために残業することも少なくない
エクセルなどを利用した会議は、ほとんどの場合「報告会/ヒアリング会」と化しています。
こうなると、D(実行)→C(点検)で終わってしまい、A(改善)や次の具体的なP(計画)が明確にならず、営業マンはとても時間のかかる資料作成に追われる割にマネージャーから有益なアドバイスを得ることができません。
このようにPDCAが繋がらない、回らない状態に陥っている営業部門が多いのです。
下記にPDCAをうまく回すためのポイントを4つ挙げます。
- 営業マンに報告や会議資料の負荷をかけない
- 会議まで待たずとも営業現場のP(計画)の【質×量】が見え、無駄なD(実行)を生まない仕組みを作る
- 報告のためのメールやエクセル資料を廃止し、常に見える仕組みを取り入れる
- 会議ではA(改善)→P(計画)に繋げられるような「ネクストアクション会議」にする
上記のポイントを実践できている企業は、「脱:報告会議」すなわち「CAP会議」へと、会議の名称を変えています。
これは「会議とは、C(点検)→A(改善)→ネクストアクションとしてのP(計画)を回す場であるべきだ」という考えによるものです。
業務が違っていても、問題や課題の本質は「なぜPDCAが回らないのか?」というシンプルな構造である場合が多いので、改めて自部門でもどうなっているか?をC(点検)し、A(改善)に繋げてみると良いかもしれません。