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業務の属人化を解消するには(2)〜ツール導入でスピードアップ  〜ボトルネックに対する管理要素・活用すべきCRM/SFA機能
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業務の属人化を解消するには(2)〜ツール導入でスピードアップ  〜ボトルネックに対する管理要素・活用すべきCRM/SFA機能

属人化を解消するためには、業務のボトルネックをすべて明確化し、優先順位をつけた上で解決するべきであることを、第1回で解説しました。

属人化を解消するために講じる対策は多岐にわたりますが、ITツールを活用することも有効な手段です。

今回は、第1回で洗い出したボトルネックを解決し、属人化を解消するための代表的な対策について解説しましょう。

属人化解消にまず必要な仕組みの整備

業務の属人化を解消するには(2)〜ツール導入でスピードアップ  〜ボトルネックに対する管理要素・活用すべきCRM/SFA機能_属人化解消にまず必要な仕組みの整備

属人化を解消するためには、必要となる仕組みの整備から始めます。具体的には業務のマニュアル化と、情報共有の仕組みの整備の2つです。

業務のマニュアル化

業務のボトルネックを明確にし、業務および責任の分散化を検討した上で業務プロセス全体を把握した結果を踏まえ、業務マニュアルの作成を行います。

マニュアル作成は業務を熟知する担当者に行ってもらう必要があり、完了するまでに時間がかかるものです。

そのため、上長がこの整備作業の必要性について十分に理解をし、たとえ業務を一時遅延したとしても、担当者がマニュアル作成の時間を捻出できるように配慮するべきでしょう。

マニュアルの構成

マニュアルの必須項目は次の通りです。

  • 業務の概要
  • 業務の目的や背景
  • 業務フロー(フローチャートなどで、業務プロセスの全体像を図にしたもの)
  • 業務の具体的な手順
  • 業務を行う上での注意事項
  • トラブル発生時の対処方法

精度の高いマニュアルが完成すれば、業務プロセスの最適化が加速します。担当者が不在であったり、担当者の異動や退職で業務の引き継ぎが必要な時にも、マニュアルを確認することで誰でも迅速にキャッチアップができます。 

情報共有の仕組み整備

マニュアルが完成した後は、属人化解消の一環として業務分散を徹底し、部署の統合や業務担当者の増員も必要に応じて実施します。また、社内勉強会を定期的に開催し、マニュアルを社内に浸透させる体制づくりも重要です。

勉強会の講師をつとめるべき担当者が多忙で時間がとりにくい場合には、勉強会の開催頻度を下げ、かわりに必要なマニュアルやデータに誰でもいつでもアクセスできる共有環境を整備しましょう。

また、積極的な情報共有を行うことで正当に評価される仕組みがあれば、担当者もモチベーション高く取り組めるはずです。情報共有を“やらされている”というネガティブイメージを払拭するのにも有効な方法です。

属人化を解消するためにITツールを導入する背景

属人化の解消には、最新情報がリアルタイムに共有されることが必須です。しかし、情報共有のツールとしてローカルデータを使い、その管理を担当者が自分のPCで行っていては、いつまでたっても状況が変わることはありません。

必要な時に最新の情報が共有される体制づくりには、ITツールの導入が有効な方法です。

属人化解消にはITツールの活用が現代社会における前提

業務のボトルネックを解決して属人化を解消するステップを踏んだ後に、担当者が自分の保有する情報を共有するツールとしては、クラウドベースのITツールが適しています。

メンバー総数が一桁程度の小規模な組織で、かつ業務プロセスがさほど複雑でなければ、自分のPCのローカルにあるスプレッドシート、クラウドベースのGoogleスプレッドシートやMicrosoft OneDriveの自分専用フォルダを利用しつづけても、属人化を再度引き起こす可能性は低いでしょう。

しかし、大規模な組織で情報共有するメンバー数が多くなれば、共有するデータ数も増えます。スプレッドシートでリアルタイムに情報共有するには限界があり、情報がすぐに陳腐化してしまう可能性が大です。

属人化を解消し、業務標準化を定着させるには、クラウドベースのITツールを活用しましょう。

どのような種類の情報を共有するかによってCRM/SFA、MA、チャットボット、マニュアル作成ツール、名刺ツール、BPMツールなど、さまざまなITツールが選択肢になります。複数のITツールを連携して活用する方法も検討できるでしょう。

営業活動の属人化解消にはCRM/SFA

特に営業業務の属人化解消には、営業活動に役立つ機能を搭載したクラウドベースのCRM/SFAが適しています。

外出の多い営業担当でも、作業場所を選ばずリアルタイムにデータ更新が行え、営業活動に必要な最新情報をいつでも得られるからです。加えて、CRM/SFAをMAと連携すれば施策幅も広がるため、属人化の解消はさらにスピードアップすることができます。

ボトルネックに対してSFAとCRMの活用すべき機能

ボトルネックに対してSFAとCRMの活用すべき機能

営業業務の属人化を解消するために活用すべき機能がCRM/SFAには多数あるので、確認しましょう。

営業の属人化解消においてキーとなる要素

営業の属人化解消のキー要素は、第1回で洗い出したボトルネックに対し、

  • 顧客・案件情報
  • 活動情報
  • 営業プロセス
  • 統計状況の可視化

という4つが挙げられます。

これら4つのキー要素を、ツール活用で正しく整備することで、ボトルネックを解決し、属人化を解消します。

管理要素1:顧客・案件情報の整理と一元化

顧客の背景や課題、予算感などの情報を共有し、顧客対応の方法について、社内の関係者が同じ認識を有することが必要です。これは顧客対応が属人化して、受注角度が下がってしまう危険を避けるためでもあります。

具体的な方法としては、顧客のBANT情報、顧客とのコンタクト経緯や案件状況など、顧客に関する情報を一元化し蓄積することです。

CRM/SFAでは、顧客コンタクト機能や案件情報機能で、顧客に紐づく情報はすべて一元管理ができます。情報をツール内に集約し、分散させないことで、属人化の解消をすみやかに行うことができます。

管理要素2:活動情報のリアルタイムなアップデート

複数の営業担当者が同じセリング方法をしているつもりでも、同じ成果がかならず出るわけではありません。その理由は、各自が行うセリングプロセスやアクションスピードなどの些細な違いから、結果が変わってくるからです。

そこで、メンバー全員の案件受注の確率を上げるためにまず行うべきは、営業活動の情報を分析し、受注できた担当者の成功パターンや受注できた担当者に共通する行動を洗い出して共有することです。

加えて、営業活動の情報分析を継続して行えば、受注の定量化や営業活動の効率化ができるようになります。これは、属人化の解消のためにも必要となる対応です。

顧客や案件データの一元管理を正しく行うには、営業活動情報のリアルタイムな入力を、担当者全員に順守させることが絶対条件となります。なおCRM/SFAには、担当者ごとの活動情報を管理する機能が搭載されています。

管理要素3:営業におけるプロセスの定量化と可視化

CRM/SFAには、調整可能なパイプラインの標準テンプレートが提供されています。一般的な営業情報の管理であれば、こちらの活用で十分でしょう。

しかし、細部まで確認しなければ気が付かないような些細な営業プロセスの差異を見つけ出す必要があるときには、標準テンプレートではなく、自社で必要な調整を施したパイプラインで管理するという方法が有効です。

また、何をSQLと捉えるかという定義を定め、フラグづけを徹底することも有効といえます。たとえば特定の業界、その業界での予算感や対象課題の有無などから、特定の顧客課題や一定規模以上の企業をSQLとみなす定義を決め、SQLに対する営業活動を強化させるのです。

さらに、決済者の合意などの情報をパイプラインの途中に入れ込む、といった方法も有効でしょう。

管理要素4:統計状況の可視化と改善

属人化が解消して業務の標準化が実現しても、その後に業務の棚卸しが正しく行われず、PDCAでも改善点が見つからなければ、また属人化が発生してしまいます。改善点を発見するには、CRM/SFAのレポート・ダッシュボード機能を活用するのがよいでしょう。

営業収益やリード数をレポートにして利用するのが一般的ですが、担当者ごとに統計レポートを作成することもできます。属人化を解消するためには、たとえば、営業担当ごとのリードに対する活動数、商談数、商談率などの統計を可視化し共有することで、担当者間での稼働量の差異や営業活動の質の可視化ができます。

またCRM/SFA活用により、その都度の対面報告や、資料作成に費やする時間が削減できるので、マネージャーの生産性も上がるはずです。

以上の4つの管理要素を考慮してCRM/SFAの機能を構築することで、属人化の解消から業務の標準化、その後の改善まで行うことができます。

属人化の解消で得られるもの

業務の属人化を解消するには(2)〜ツール導入でスピードアップ  〜ボトルネックに対する管理要素・活用すべきCRM/SFA機能_属人化の解消で得られるもの

属人化を解消することで得られることは何か、大きく以下の3点が考えられます。

業務効率の改善や品質の安定

業務の標準化により業務内容が完璧に共有できていれば、たとえ担当者不在でも、他メンバーが業務を代行できるため、業務の停滞が回避できます。

また、複数の目で最新状況がチェックできれば、人的ミスがあっても迅速に発見でき、問題点や課題も見出せるので、業務品質のばらつき防止が可能になります。 

ノウハウの蓄積 

マニュアルの作成により、担当者一人しか知らなかった業務ノウハウを組織に蓄積することができます。担当者が退職しても迅速な対応ができるだけでなく、たとえ引き継ぎ先が新人であっても、マニュアルを読んで対応すれば、前任者同様の稼働が時間をかけずにできるようになるでしょう。  

適正評価

上長が各メンバーの業務内容を十分に理解できるようになれば、必要に応じて担当者の代理も務まり、あるいは他のメンバーを割り当てることも可能になります。

また、一人当たりの業務時間や、人員の適性について正しい判断ができるようになり、担当者に対する適切な評価も可能になります。高評価が得られれば担当者はいっそう意欲的に業務に取り組むようになり、退職率の低下も期待できるでしょう。

課題に対して適する機能を有効に使うこと

第1回で洗い出したボトルネックを解決し、属人化の解消をするには、自社に適した機能を有するITツール(群)の活用が有効です。

さまざまなITツールの中からどのITツールを選択するかは、どのボトルネックを解決するかによって異なります。ボトルネックにつけた優先順位から検討してください。

業務の標準化は、一度行えばゴールではありません。社内の声を吸い上げ、改善ポイントが見つかれば、業務プロセスを改善してマニュアルも変更してください。その活動こそが、属人化に逆戻りしないためには必須なのです。

標準化を行った後には、今回言及したダッシュボード機能などで引き続きモニタリングを行い、標準化を組織に定着させることが必要となります。第3回で詳しく説明します。

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