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業務の属人化を解消するには(3)〜業務標準化後に徹底すべきマネジメントとモニタリング内容
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業務の属人化を解消するには(3)〜業務標準化後に徹底すべきマネジメントとモニタリング内容

第2回では業務のボトルネックをITツールの機能活用により解決し、マニュアル作成を行って属人化解消の礎ができましたが、それがゴールではありません。整備した属人化解消の礎に対し、監督およびモニタリングを継続して行うことが重要です。

今回は業務の標準化を組織に定着させる方法について解説し、ITツール活用で属人化を解消した成功事例も紹介します。

属人化を解消(業務標準化)した後のTO-DO

属人化を再発させないためには、継続して対策を講じることが必要です。実際に何をすべきなのかを解説します。

属人化を解消(業務標準化)した後のTO-DO

マニュアルおよび業務フローの全社共有と徹底

マニュアルを一度完成させた後に内容を見直さずに放置していると、すぐに内容が陳腐化してしまい、新たな属人化が生まれてしまう要因となります。

それを回避するには、情報共有プロセスを整備したり、会議体を設定して現場の声を吸い上げる仕組みを整える必要があります。業務標準化は、こうして改善したマニュアルやフローを徹底して実施を繰り返すうちに見えてきます。

全社員にマニュアルの存在を周知して属人化解消の目的を理解してもらい、内容が実務に即しているか否か、よりよい業務プロセスはないかなど、ディスカッションできる環境を作りましょう。

監督およびモニタリング

属人化の防止には、上長によるメンバーの監督およびモニタリングを適切なタイミングで繰り返し行うことも必要です。

モニタリングする事項は、メンバーがマニュアルに即した仕事をしているか、マニュアルに過不足がないか、業務分散がマニュアル通りに行われているか、また特定社員が長時間労働していないか、といったことになります。

リアルタイムでメンバーの動向を把握するためには、第2回でご紹介したITツールの導入によって作成したダッシュボードや活動状況の活用が効率的です。

マニュアルや業務フローの運用と継続的な改善

日常の運用だけではなく、新入社員が入った際のマニュアルの共有方法や更新方法など、あらゆるケースを想定したマニュアルの運用方法を確定し、全社で共有します。

マニュアルは、よりよい業務フローが見つかった場合や環境の変化に対応するため、すみやかに内容を改善する必要があるため、定期的に見直す仕組みを整備します。マニュアルや業務フローの継続的な改善も、属人化の防止には必要なことです。

属人化の解消にあたってマネジメントすべき領域

属人化を解消し、業務標準化を定着させるには、マネジメントすべき領域が大きく2つあります。

ナレッジマネジメントを進める

まずはじめに必要となるのは、ナレッジマネジメントを推進することです。

営業担当はもちろんのこと、全社員それぞれが保有するノウハウや知見をデータ化し、蓄積する仕組みを作った上で、全社で共有することを徹底します。

他の部署での業務内容もおおまかに知ることができれば、自分の部署と重複する業務が発見できたり、標準化のための新たなアイデアが生まれるはずです。また、各メンバーの業務を知ることで、スキルレベルが測れるようになれば、上長はメンバーの正当な評価や、適切なアサインメントが実行できるようになります。

チーム連携のマネジメント強化

属人化が解消され業務の分散化ができれば、それまで属人化の渦中にあった担当者は、アサインされた担当業務に集中すればよくなります。結果、モチベーションの低下を避けられ、退職率の改善という効果も期待できるでしょう。

さらに、業務分散によってチームでひとつの業務を担当することになるので、連携意識が高まります。お互いのサポート体制も整えば、強いチームに成長するでしょう。

上長はメンバーの管理が円滑にできるので、業務標準化の定着が組織として加速するはずです。

業務標準化の注意点

業務の属人化を解消するには(3)〜業務標準化後に徹底すべきマネジメントとモニタリング内容_業務標準化の注意点

属人化を解消し、業務標準化を定着させるための注意すべき点もあります。

標準化不要な業務を見きわめる

業務の標準化は業務の品質を高め、効率をアップさせる効果がありますが、標準化することがマイナスになる業務もあります。

たとえばデザインや研究開発など、担当者独自のクリエイティビティが求められる業務では、業務を過度に標準化すると、柔軟な発想が失われてしまう可能性があります。

営業活動においては、顧客が抱えている抽象的な課題から提案方針を作り出すことが必要になる場合もありますが、このような業務に標準化は必要ありません。

業務の標準化が不要な業務のパフォーマンスを上げるためには、基本的なガイドラインのみ設けて、ある程度社員が柔軟に判断して行動できる属人化の余地を残します。

社員のモチベーションが落ちることも想定する

業務の標準化することが正しい選択でも、内容が厳格すぎると「縛られている」と感じるメンバーがでてくるものです。

しかも、一度ネガティブな印象を持ってしまったメンバーは、業務に対するモチベーションがなくなってしまうことがあります。メンバーが自由に決める余地を残しながら、標準化との線引きを慎重に行います。

教育やサポートの徹底

社内研修を全社員必須にして継続的に行います。また、不明な点があればすぐに解決策が提供できるよう、サポート体制の整備も行うべきです。

これらを徹底しないと、業務の標準化を他人事ととらえるメンバーが生まれてしまいます。業務を標準化し、新たな業務プロセスを全社に浸透させるには、教育やサポートへの投資を怠ってはいけません。

属人化解消の成功事例

業務の属人化を解消するには(3)〜業務標準化後に徹底すべきマネジメントとモニタリング内容_属人化解消の成功事例

営業業務の属人化解消に成功した企業3社を紹介します。

松竹株式会社

総合エンタテインメントを生業とする松竹株式会社様では、営業人員の世代交代による営業力の低下に加え、営業エリアの拡大、そしてコロナ禍におけるリモートワーク増加によって、営業活動が属人化し、営業情報が分散していました。

そこで、属人化を解消するためにITツールを導入し、情報共有を徹底することに。

情報共有に関する運用ルールの設計を若手メンバーに任せたので、ベテランがトップダウンで何事も決めていく体制から、若手も意見が言える組織に変化しました。

ITツールの活用により情報の一元管理が実現でき、各案件の進捗状況もシステムを見れば一目瞭然となったため、報告=データ化でスピード感が向上しました。

詳細はこちらをご覧ください。

扶桑電通株式会社

電気機器販売や設置、コンピュータソフトウェア開発と販売、電気工事や通信工事の設計、施工、管理を生業とする扶桑電通株式会社様では、案件の属人化が進んでいました。

自分の担当以外の情報を得ることが難しく、情報の管理方法も各支店で独自に行っていたため、円滑な情報共有が困難でした。さらにコロナ禍で社員のテレワークが進み、コミュニケーションや情報共有の効率化が急務となりました。

こうした課題を解決するため、ITツールを導入した結果、全社のデータを一元管理することができ、上長は各メンバーの活動状況がリアルタイムで把握可能に。上下間のつながりが強化できて、さらには支店間の連携もスムーズになりました。

詳細はこちらをご覧ください。

株式会社MISUMI

機械加工製品の販売などを行う株式会社MISUMI様では、営業スタイルが御用聞きになりがちで、かつ営業体制も担当任せで属人的になっていたため、担当者によって営業の進め方がバラバラでした。

ボトルネックも不明確で、営業の売れない原因を外部要因のせいにして、原因分析もきちんと行われていませんでした。営業プロセスにおいても主体的な意思が育っておらず、課題となっていました。

ITツールの導入が行われた結果、顧客情報の一元管理が実現し、営業活動が効率化しました。グループ内企業でも同等のITツールを導入したので、将来は全グループで情報を共有し、グループ全体での営業活動の実施を検討しています。

詳細はこちらをご覧ください。

業務標準化後はモニタリング・マネジメントの徹底が必要

業務の属人化はマイナス要素を多く含むので、できる限り解消して標準化することが必要です。業務マニュアルが全社に定着し、メンバー全員がその内容を遵守できれば、属人化の解消、業務標準化を成功に近づけられます。

標準化した業務を社内に定着させるためには、自社の要件に合ったITツールの活用で、必要な情報の一元管理を永続的に行うことをぜひご検討下さい。

加えて、マニュアル化した業務プロセスを全社で共有し、全社員に浸透したかどうかのモニタリングを徹底しましょう。現場の声を取り入れ、マニュアルを更新し続けることも忘れずに行っていきましょう。

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