売れない営業と売れる営業の違いと、売上を劇的にアップさせる具体的な手順
今年も多くの売れる営業と売れない営業を目の当たりにするシーズンがやってきました。
企業が決算期を迎える今、売上を確定させるために営業は奔走しますが、並行して来年度の予算を確定させなくてはなりません。
来期の売上予算を達成するために、今ある課題を解決してくれる新しいシステムや施策の検討、現行のシステムやサービスの見直しなどに向けて選定担当者は必死に情報を集めます。
そのため、この時期が一番集中して多くの営業と会うシーズンとなるのではないでしょうか?
今回は、月に10社、年間で120回以上も営業に会い提案を受けている著者が発見した売れる営業と売れない営業の違いを顧客視点でご紹介します。
自社の営業は大丈夫なのか?自分は大丈夫なのか?参考にしていただければ幸いです。
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売れない営業の3つの条件
上の図を見てください。これは、顧客が営業担当者にどんな不満を抱いているか、アンケート結果をまとめたものです。
これを見ると「あるある!」と思ってしまいます。できない営業は必ずこれらのことをやっています。
これら不満に共通しているのは顧客視点の欠如です。
これら1位~10位の不満と私がいつも感じている不満をまとめると売れない営業の条件は下記3つにまとめることができます。
売れない営業の3つの条件
- 顧客の課題を聞かずに自社の説明で終わる
- 事前準備をせずにくる
- 約束を守らない
この3つに該当する営業は、確実に売れない営業です。
この特長を持つ営業からは買いたいと思いません。
本当に基本的なことなのにできていない営業は意外に多いです。詳しく説明しましょう。
1.顧客の課題を聞かずに自社の説明で終わる
まさにこれが課題を解決してくるサービスだと分かっていて面談を受けたのであれば別ですが、そうではない場合、会社説明やどういった製品やサービスを提供していて、強み(競合他社との違い)、導入実績、という点を一通り説明したのであれば、顧客の課題を聞くべきです。
課題があるから、情報収集もするし時間をとって会っているのに、何も聞かずに自社説明だけして満足げに微笑まれても困ります。
こちらが持つ課題をこのサービスであればこのように解決できそうです、と言ってもらえることに期待しているのです。
そこで初めて採用検討の候補に入ることができると思います。
結局、課題を聞いてこないのでこちらから話したところ、半笑いの顔で聞いている営業がいましたがこの人からも絶対買いたくありません。
また、わざわざ電話してきて面談を取り付けたのに、商品の強みばかり繰り返して、当社で使う場合はどのように使えばメリットが得られるかの質問に答えられない営業も残念です。
全く顧客視点に立っていないからです。
顧客の課題に寄り添って次回の提案につなげるためにもきっちりヒアリングすることが大事なのではないでしょうか。
2.事前準備をせずにくる
これは、本当にダメです。
私が経験した売れない営業の最悪のパターンをご紹介すると、私がマーケティングを担当している商品は営業支援システムなのですが、「営業支援システムを使っていますか?」と聞かれたことです。使っているに決まっています。
この営業はおそらく私が所属している会社が何を販売している会社なのかも調べずに来たのではないでしょうか?信じられますか?
他には、思いっきり競合の商品を知っていますか?と聞かれたこともあります。知っているに決まっています。
これらは極端な例ですが、最低でも事前に訪問する会社はどういう業界なのか、その業界は最近どういった傾向にあるか、どういう商品を扱っているか、競合はどこか、ぐらいは、調べていくべきです。
もっと欲を言えば、顧客が喜ぶであろう情報をプラスアルファで持って行くことです。
これは、実際に売れる営業がやっていた感心する事例ですが、同じ業界の成功事例や競合の最近の情報などを提供してくれる場合もあります。素敵ですね。
発注した後もきちんと対応してくれていろいろな情報をくれるのではないか、という期待が膨らみますし信頼につながります。
営業の初回面談はとても重要です。この1回の面談で印象はほぼ固定されてしまいます。
ここで不信感を植え付けてしまうと想像を超えるぐらい良い提案が出てこない限りコンペで当て馬にされて終わってしまうのではないでしょうか。
3.約束を守らない
売れない営業は必ずと言っていいほど約束を守ってくれません。
面談時の印象や提案は良かったのに、約束の日に提案書が来ない、見積が来ない、こちらから催促をする、となるとがっかりしてしまいます。
誠実そうに「必ず連絡します」と言われて待っていて来ないと告白してもないのに振られた気分になります。
期待が大きかった営業ほどショックです。ほぼその会社に決めていたとしても迷いが生じます。
発注した後に豹変するのではないか?会社の体制が整っていないのではないか?と疑心暗鬼になり不信感につながります。
大げさではなく、金額の大小関わらず、顧客は発注後の対応がどうなりそかもしっかり考えているのです。
今後も一緒に仕事をしたいか、したくないか、信頼できるか、できないかが重要で、「約束を守る」ことが売れる営業の一番の条件と言っても過言ではないかもしれません。
売れない営業を売れる営業にするためには
売れない営業の3つの条件は、こんなことできて当たり前だと思っていても該当してしまう営業が意外に多いのです。
営業は自分が営業を受ける機会が少ない為、気付かない人も多いのではないでしょうか?
今は、ソリューション営業が求められる時代です。
顧客の課題やニーズを的確にくみ取って、それに即したソリューションを提供することが求められています。
一昔前まで行われていた押し売りや飛び込み営業、もしくは、ただただ御用聞きを続ける営業は通用しなくなりました。
売れない営業はそれに気づかず時代遅れの営業を続けているのです。
では、具体的にどうすれば売れない営業を売れる営業にすることができるでしょうか?
<営業の流れ>
- (1)事前準備・・・初回面談に向けて準備を行う
- (2)アプローチ・・・会社やサービス、強みなど自社の紹介を通して信頼できる担当者であり会社であることを理解してもらう
- (3)ヒアリング・・・顧客の課題、ニーズを理解し、自社の製品、サービスにマッチするか、どうすれば課題解決できるか探る
- (4)プレゼンテーション・・・課題解決できるソリューションを提案し、価値を理解してもらう
- (5)クロージング・・・面談内容を振り返り、今後の営業活動をお客様と決める
一般的にこのような流れで営業活動は行われていますが、売れない営業は必ずと言っていいほど、(1)事前準備と(3)ヒアリングができていません。
そのため、顧客の不満が募るのです。
逆を言えば、(1)事前準備と(3)ヒアリングをしっかり行える体制を組織で整えれば、売れる営業を増産できます。
もちろんプレゼンテーションやクロージングの能力も高める必要はありますが、ここを強化すると初回面談を成功させ、売れる営業への第一歩となるでしょう。
私が体験した中で、この人はできる営業だなと思った例を挙げると、初回面談前の電話でアポイントを取る際、日時が確定した時に簡単にこちらの現状をヒアリングしてきます。
そして、(2)アプローチ(3)ヒアリングの活動の段階で一通り自社紹介をした後、現在の課題を聞いてきます。
それに答えた後に、「今お話しいただいた課題と少しずれているところもありますが、こういった課題があるのではないかと考えてご提案をお持ちしました。」と今ある課題に対しての解決策を提示されたことがあります。
もちろん、少しずれているところもあるのですが、次回の(4)プレゼンテーションの段階でそのずれを調整して提案をしてきます。
これは、実際、信頼度が増しました。
課題と大きくずれた提案をされてしまったら逆に働く可能性もありますが、事前準備で業界への理解や競合調査などしっかりして挑めば大きくずれることはないと思います。
また、(4)のプレゼンテーション時に話したニーズと少しずれて提案されることは多くあります。(ベンチマークすべき企業数社が少しずれているなど)
これは、(3)ヒアリング時に話す方の話し方や受け手の受け取り方が影響するため、しかたがない場合もあります。
そのため、決裁者提案の前に窓口担当者に協力してもらって調整することが重要です。
売れる営業はここをきっちりやってきます。
窓口担当者の信頼を得て快く協力してもらい、決裁者の情報や会社の動向などより深くヒアリングして提案に活かすことが勝敗を大きく左右するのです。
まとめ
売れる営業は、必ず売れるプロセスを踏んでいます。
どのようなプロセスを踏めば信頼を得られるか、売れるかを知っています。
まずは、その成功体験を営業の「型」として落とし込み、売れない営業にルール化して実行させてみてはどうでしょうか?
それを営業組織全体で行えるようになれば、営業力は必然的に高まるのです。