リピーターになる要因とは?6つの獲得ポイント・成功事例を解説
リピーターは、企業に安定した収益をもたらしたり、商品やサービスを口コミまたはSNSを活用して拡販したりとマーケティングにおいて必要不可欠な存在です。
しかし、新規顧客の獲得は順調に行えているが、リピーターになってくれる顧客数や導線がうまくいかず悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、リピーターになる要因やならない要因、リピーター獲得のポイントなどについて解説しています。
リピーター獲得増や顧客の離脱に悩んでいる方は、最後に成功事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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リピーターとは?
リピーターとは、ある商品やサービスを気に入り、複数回に渡って繰り返し購入したり、利用したりしてくれる顧客のことです。
リピーターになる顧客は、商品やサービスに求めている以上の価値を提供されたと感じている可能性があるでしょう。また、企業の収益面で安定した売上に貢献してくれるのは、新規顧客ではなくリピーターです。
リピーター率=リピート購入した顧客数÷総顧客x100から算出ができます。リピーター率を知ることで、自社の売上や顧客満足などに関する改善案や対策に役立つでしょう。
リピーター獲得の重要性
ビジネスの成功において、リピーター獲得は欠かせない重要な要素です。以下では、3つの重要性について解説します。
収益の安定性
リピーターは定期的な購買行動により、企業に安定収益をもたらしてくれる大切な顧客です。イギリスの経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱された「パレートの法則」または「8:2の法則」がそれを示しています。
引用:パレートの法則 | 用語解説 | 野村総合研究所(NRI)
絶対的な法則ではありませんが、「売上全体の8割は、2割の要素が生み出している」といった傾向を指しています。つまり、新規顧客よりコストをかけず集客ができる効率のよさも含め、全体構成の2割のリピーターが収益の安定を支えていることがわかります。
参考:「パレートの法則」の分析方法|用語の意味や活用事例も解説
LTVの向上と構築
LTV(ライフタイムバリュー)とは、リピーターがどれだけブランドや企業に忠誠心や愛着心を持ち、生涯利益をもたらしてくれるかの指標のことです。
リピーターは定期的な購買行動で何度も商品やサービスを利用してくれます。価格や性能だけでなく、企業理念やホスピタリティなどにも共感してくれているのです。
LTVの向上や構築は、マーケティングに必須のアップセルやクロスセルの営業にも効果的です。さらには、リピート回数を増やしたり、解約率低下などの相乗効果にもつながっていくでしょう。
参考:LTV(ライフタイムバリュー)とは?言葉の意味や重要性・計算方法を紹介
口コミや紹介の拡散
リピーターは、商品やサービスへの満足度が高く、積極的に友人や知人に推薦してくれます。
拡散の中でも口コミと紹介は信頼性が高く、新規顧客獲得においてコストをかけず集客できる点は効果的な手段といえるでしょう。
実際に利用したことがあるリピーターの体験談付きの宣伝は効果的かつコストがかからないメリットがあるため、影響力のある根強いリピーターを離脱させないための施策は、企画担当やマーケティング担当が考えるべきポイントです。
また、定期的なサービスやイベントをすることで新しい口コミや紹介を促すきっかけにもなるでしょう。
参考:口コミとは?購買行動につなげブランドイメージを高めるための効果的な活用法
リピーターになる要因
一般的な顧客が、どのようにしてリピーターになっていくのでしょうか。リピーターになる要因を解説していきます。
商品やサービスに魅力がある
そもそもリピーターの方は、何かのきっかけでブランドや商品、サービスが好きになり、魅力を感じ続けていることからリピーターになっています。商品の魅力的なポイントは、顧客によってさまざまあるでしょう。
たとえば、コストだったり、使いやすさだったりと、企業が設定しているペルソナと自社商品やサービスがマッチしているのです。その結果、リピーターは商品やサービスに惹かれて何度も購入したり、利用したりしています。
ペルソナが求めるニーズを把握することで定期的な集客・売上につながっていくでしょう。
ホスピタリティがある
今後は少子高齢化により、新規顧客獲得が厳しい時代に突入していきます。そこで、リピーターになる要因としてホスピタリティが大切なポイントです。
物価高騰のあおりも受け、商品やサービスを低価格で提供することに限界が来ることもあるでしょう。
価格に影響されず何度も購入・利用してもらうためには、清潔感や接客態度、丁寧さの気持ちを持つことが大切です。顧客に心地よい満足感を体験してもらいたいという想いが、ホスピタリティの向上につながります。
コストパフォーマンスが高い
顧客は、コストパフォーマンスが高い商品やサービスに対して好感を持ち、リピーターになっていきます。
人は購入前に、自分の感覚から価格設定やサービス内容に仮説を立てたり、イメージしたりすることが多いでしょう。
たとえば、ある商品の価格が想定していた価格より低かった場合、コストパフォーマンスが高いと感じ「また購入してみよう」と思います。もちろん、価格だけではなく、使いやすさや購入のしやすさなどもリピートの決め手になるでしょう。
顧客を逃さないよう、競合他社の価格設定をリサーチして適正価格を把握しておくことも大切です。
親近感や愛着心が持てる
顧客は、商品やサービスに触れる機会が増えることで、親近感や愛着心を持つようになり自然にリピーターへと変わっていくケースがあります。Web広告やメルマガなどを活用し、顧客へクーポンや割引きのお知らせ回数を増やしていくのです。
このように、何度も目にすることで「利用してみよう」という、心理状態へ変わる可能性があります。
商品やサービスの露出を増やす方法はいろいろあります。しかし、コストがかかるだけでなく、かならず成果が出る保証はありません。
発生するコストや労力を考え、戦略的に施策を打つことがおすすめです。
リピーターにならない要因
リピーターにならない顧客とは、どのような心理状態なのでしょうか。以下では、3つの要因を解説していきます。
商品やサービスがニーズにマッチしていない
どれだけ高品質な商品やサービスでも、顧客のニーズにマッチしていなければリピートはされません。ペルソナのリサーチを間違ってしまうと、ニーズとのアンマッチが起こってしまいます。
たとえば、都心のビジネスパーソン向けに1日の疲れを癒してもらおうと、サウナ付き風呂のサービスを考えたとします。しかし、立地が駅からバスで30分走り、徒歩5分で着くとした場合、人気のスポットになるでしょうか。
「気軽に利用できない」「異動で余計疲れる」と、ニーズとマッチしていないという結果に終わってしまうでしょう。
ペルソナのニーズにマッチさせるために、アンケート調査やSNSを活用して的確にニーズを把握する必要があります。
商品やサービスの質に納得していない
購入のしやすさやコストパフォーマンスが良くても、商品やサービス自体の質が悪ければ、もう一度利用したいとは思いません。
一度でも不満を感じられてしまうとリピートはむずかしいでしょう。
リピート率が低い場合、リピーターにならない要因が必ずあります。顧客ニーズを調べたり、顧客の本音を集めたりして、要因を突き詰めていくのが大切です。
リピーター獲得の仕組みが弱い
リピーターとして何度も利用してもらうための仕組みが弱いことも、要因の1つにあります。
純粋に商品やサービスを気に入ったことが理由で「また利用したい」と思うリピーターは多いでしょう。しかし、世の中には似たような商品やサービスが数えきれないほどあるため、時間の経過とともに忘れられてしまうことがあります。
そこで、スタンプカードやLINE配信などを活用していくことで定期利用を促し、リピーターになる仕組みをしっかり作っていくことが大切です。
リピーター獲得のポイント6つ
1人でも多くのリピーターを獲得することが、企業が生き残るために非常に大切です。以下、リピーター獲得のポイント6つを解説していきます。
ブランドコンセプトを明確にする
ブランドコンセプトの明確化は、ブランドに愛着を持つファンを増やし、リピーター獲得につながっていきます。
忠誠心や愛着心により、ブランドロイヤリティが高まることでもあるでしょう。商品やサービスの価格以外の部分でファンになり、魅力を感じた顧客が思わずリピートしてしまうのです。
公式サイトやSNSを活用して、商品が完成するまでの背景や職人の商品への想いなどを伝えることが大切です。競合他社にはない価値観を生み出せれば、結果として顧客単価の向上にもつながっていくでしょう。
競合他社と差別化を図る
「〇〇企業の〇〇商品がいい」「他社とは違うサービス」と、思わせ差別化を図りましょう。どこで購入しても同じ商品であれば、リピーターになってもらうのはむずかしいものです。
自分たちが売る意味や商品価値、顧客への想いなど、自分たちだからできることを言語化していきましょう。
新規顧客からリピーターの獲得には「この商品がいい」と思わせる何かを作る必要があります。ときには、競合他社の商品を使い自社との違いを分析することも、差別化を図るためには有効な戦略です。
会員限定サービスを提供する
商品やサービスを選んでくれた会員向けに限定サービスを提供していきます。
たとえば、一般顧客には出していない期間限定クーポンや会員限定のサンプリングなど、特別感でメリットを感じてもらうのです。
特別感を感じたリピーターが知人や友人に口コミをすることで、新規顧客が増えたり、既存顧客がリピーターになったりする可能性があります。
直接アプローチする
顧客リストに登録しているメールアドレスやSMS(ショートメッセージ)を活用して、直接、アプローチしていきます。Web広告や口コミも有効な手段ですが、本当に届けたいペルソナに届かない場合があるからです。
直接、顧客へDMやメールでアプローチすることで商品やサービスの存在に気づいてもらいましょう。
お得情報や新商品の事前告知が親近感を感じてもらい、リピーターへと変わっていくきっかけ作りができます。
顧客データの分析を行う
顧客が購入した商品の種類やタイミング、年齢などのデータを細かく分析していきましょう。
データ分析の結果、顧客ニーズが見えてきます。似たようなニーズを抱えている顧客も類似商品やサービスで悩みを解決できる可能性があるため、DMやメルマガを活用して提案をしていきましょう。
提案がマッチした場合、顧客のロイヤリティが高くなりLTV向上の可能性を広げます。
分析したデータはCRMやSFAツールに情報を蓄積させていくことで将来的に企業の資産になっていくでしょう。
コミュニティーでつながりを作る
顧客同士がつながれるコミュニティを作り、既存リピーターから有益情報や本音が聞ける環境を作りましょう。
顧客同士が好きな商品やサービスについて語ったり、本音で気持ちよく交流できたりすることでリピーター増加や維持につなげていきます。
コミュニティー内でのウェビナーや特別セール、インセンティブなどを用意することで顧客ロイヤリティを向上させるのです。
横のつながりを作り、同じ共通点の仲間が増える喜びを感じてもらいましょう。
リピーター獲得のための注意点
新規とリピーターへの情報提供のバランス
新規顧客とリピーターへの情報提供はバランスを整えながら行いましょう。
新規顧客向けやリピーターのどちらかに偏った「特典」や「情報発信」にならないように注意してください。新規獲得に意識が向きすぎてしまい、リピーターが有益と感じられない情報が続き過ぎてしまうと、リピーターが離脱する可能性が出てしまうからです。
そもそも、リピーターがいるからこそ、安定収入や口コミで商品やサービスのお得情報が拡散されている点は忘れないようにしましょう。
サービスをマンネリ化させない
毎回、同じようなインセンティブでは飽きてしまうため、マンネリ化しないように注意しましょう。
競合他社のほうが魅力的な商品の特典や割引きがついてくるという情報が入った場合、離脱される可能性もあります。
顧客データを活用して興味がある商品やサービスにつながるインセンティブやノベルティを用意することで、リピーター獲得につながり離脱防止にもつながるといえるでしょう。
リピーターを獲得した成功事例
事例1. 定山渓第一寶亭留 翠山亭
定山渓第一寶亭留は、北海道内に8つの旅館と3つの飲食店を展開している会社です。
リピーターやロイヤルカスタマーを大切にしたいと考え「GMOおみせアプリ」を導入しました。
宿泊すればするほどスタンプが増え、ランクアップする仕組みを作り、アプリ会員限定の特典やプランを用意しリピーターを増やしているのです。
アプリ公開1ヵ月で500名以上にインストールされ、集客への成功を実現しています。
参考:ロイヤルカスタマー増加中!【北海道(定山渓・支笏湖・富良野)の宿泊施設】|株式会社第一寶亭留/翠山亭
事例2. 株式会社シャボン玉本舗
シャボン玉石けん株式会社は、通販サイト「シャボン玉本舗」を運営しています。
無添加にこだわった製品を取り扱っているシャボン玉石けんは、Web接客ツールを導入し、製品のこだわりや魅力を伝えているコーポレートサイトへ誘導。
すると、購入率130%増加だけでなく有料会員登録率136.7%という改善に成功しました。
導入前は新規顧客に向けた商品のこだわりや魅力がきちんと顧客に伝わっていませんでしたが、Web接客ツール導入後は、商品へのこだわりや魅力を伝えられたことでリピート率や購入頻度などを向上できました。
参考:商品のこだわりを伝えたことで、購入率が130%、有料会員登録率が136.7%に。さらに、リピート率や頻度も向上
事例3. 株式会社ストークメディエーション
株式会社ストークメディエーションは、日本初、自宅にいながらサロン仕上げのような髪色を実現するパーソナライズヘアーカラーD2ブランド『COLORIS(カラリス)』を手がけている会社です。
LINEを活用したことでコールセンターコストの制御とリピート率を1.3倍以上に伸ばすことに成功しました。
以前は、利用者からコールセンターへの問い合わせのうち、20%ほどに対して顧客対応ができておらず、「コールセンターがつながりにくい」という声が上がっていました。
そこで、CRM領域の強化のために開封率の高いLINEを検討。配送状況や髪の染め方など、顧客が問い合わせしたい内容に対してLINEを導入したことで、最短で対応できるようになりました。
結果的にリピート率が1.3倍以上、定期会員が2倍になり、コールセンターコストの抑制も実現できたのです。
参考:リピート率向上・コールコスト削減・ネガティブUGC減少・お客様の悩みを可視化。導入後、これらを全て実現!
リピーター獲得がビジネス成功のカギ
新規顧客の獲得をきっかけに、どれだけの割合でリピーターという優良顧客になってくれるかがビジネス成功のカギといえます。リピーターにならない要因や獲得するための注意点を理解したうえで、リピーター獲得に向けて具体的な行動を起こしましょう。
そのためには、企業全体がリピーター獲得の重要性を把握することが大切です。
自社でリピーター獲得に悩んでいるなら、他企業の成功事例を参考にしてビジネスを成功させるノウハウを身につけましょう。