SaaS営業とは?仕事内容や一般営業との違い、必要なスキルを解説
サブスクリプションなどのSaaSビジネスは、その手軽さから近年、急速に普及しています。
SaaSビジネスにおける営業活動は、従来の「売って終わり」の営業とは異なり、顧客との継続的な関係作りが欠かせないことから、仕事の内容や求められるスキルもまた異なります。
本記事では、SaaS営業の特徴や仕事内容、効率化する支援ツールなどを解説します。
SaaS営業とは?
最初に、SaaSビジネスやSaaS営業の特徴、一般営業との違いを解説します。
SaaSビジネスとは?
SaaS とは「Software as a Service」の略で、ユーザーが必要とする機能をクラウド上で利用できるようにするサービスのことです。
一般的に利用が多いサブスクリプション(定額制)の動画配信サービスや音楽配信サービスなどは、ユーザーにとって手軽に始められることから、近年、爆発的に普及しているビジネスモデルです。
企業が活用しているSaaSの代表的なサービスとしては、名刺管理ツールや会計ソフト、CRM、SFA、ビジネスチャット、オンライン会議ツールなどが挙げられます。インターネットにつながっていれば場所を問わずに利用できるため、テレワークの浸透にともないSaaSを導入する企業が増えており、ビジネスユースでも市場は拡大の一途をたどっています。
SaaS営業とは?
SaaS営業とは、SaaS業界における営業活動のことです。SaaSビジネスの普及とともに営業担当者も増えており、他業界と比較してもリモートワークの定着率が高いため、子育てと仕事を両立しやすいといった声が多く挙がっています。
SaaSに関しては、こちらでも詳しく解説しています。
参考:SaaSとは?PaaS・IaaSとの違いや代表例をわかりやすく解説
SaaS営業と一般営業の違い
プロセスごとに職種を分別している
SaaS営業は一般営業と違い、プロセスごとに職種が分かれているのが特徴です。一般営業では多くの場合、ヒアリング〜提案・交渉~クロージングまで、1人の営業担当が受け持ちます。
一方、SaaS営業の仕事は、大きくマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスに分類でき、それぞれ別の担当者が配置されるのが一般的です。
売り切り型ではなく顧客との継続的な関係を重視する
SaaS営業は一般営業のように「売って終わり」ではなく、「売ってからがスタート」となります。
顧客との信頼関係を築き、継続利用してもらわないと利益を得られません。そのため、売った後も適切な顧客体験を提供しながら顧客満足度を上げ、顧客ロイヤルティやLTVを向上させることが重要です。
顧客ロイヤルティを重視する
一般営業では売上や利益が重視されますが、SaaSビジネスでは、顧客が他社にはない特別な価値を抱いている、ロイヤルティの高い状態を維持することが重要です。
この状態が続けば他社への乗り換えやチャーン(解約)を防ぐことができ、安定した収益確保につながります。
LTV を評価指標として活用する
SaaS営業で定量的な指標として重視されるのが、 LTV(顧客生涯価値)です。 LTVは顧客が自社製品やサービスとの接点を終えるまでに支払う総額であるため、顧客にかけた投資コストよりもLTVが上回っていなければなりません。
そのため、SaaS営業では継続利用を促す施策やアップセル・クロスセルなどの単価アップ施策を行って、LTV向上を目指します。
LTVに関しては、こちらでも詳しく解説しています。
参考:LTV(ライフタイムバリュー)とは?言葉の意味や計算方法を紹介
SaaS営業の将来性
SaaSビジネスは、今後も成長が見込まれている拡大市場です。株式会社富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場 2022年版」によると、2021年度には9,271億円だった国内SaaS市場が、2026年には1兆6,681億円となり、2021年度比で80%増になるだろうと予測しています。
リモートワークや場所にとらわれない働き方は、今後も拡がると考えられます。また、国もデジタル庁を発足させてクラウドを活用した行政の基幹業務システム、つまりSaaS導入を後押ししていることから、SaaS市場は一層拡大すると考えられます。
SaaS営業の仕事内容
SaaS営業の仕事は、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4つに大別できます。前述したように、SaaS営業では職種ごとに担当者を変えるのが一般的です。
それぞれの仕事内容を、以下で詳しく解説します。
マーケティング
マーケティングは、潜在顧客層の発掘を担当する職種です。
デジタル広告やSNSマーケティング、ウェビナーなどを活用して広くアピールをしながら潜在顧客を発掘、問い合わせのあった人をリード(見込み顧客)化して、インサイドセールスにつなげていきます。
こちらも参考にしてください。
参考:リテンションマーケティングの重要性とToDoに落とすまでの具体策
インサイドセールス
インサイドセールスは、マーケティング担当が獲得したリードに対してナーチャリング(育成)を行う仕事です。
電話やメール、チャット、オンライン会議ツールなどを活用して、見込み顧客の成約の精度を高めるアプローチを行い、フィールドセールスにつなげていきます。
インサイドセールスに関しては、こちらでも詳しく解説しています。
参考:インサイドセールスとは?目的や既存営業との違い、導入のポイントを解説
フィールドセールス
フィールドセールスは顧客と商談を行い、成約・受注を獲得することが目的の職種です。インサイドセールスが電話やメールなどの非対面営業であるのに対し、フィールドセールスは実際に会って商談するケースが一般的です。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、売ってからが始まりのSaaS営業ならではの職種で、顧客の継続利用を定着させる役割を担います。自社製品やブランドへの顧客ロイヤルティの向上や、アップセル・クロスセルによる単価アップなどにより、LTVの向上を目指します。
カスタマーサクセスに関しては、こちらでも詳しく解説しています。
参考:カスタマーサクセスとは何か?仕事内容やプロセス・3つの成功ポイント
SaaS営業に求められるスキル・経験
以下のスキル・経験は一般営業にも必要ですが、顧客との円滑な関係性を長く築いてLTV向上が最終目的であるSaaS営業には、さらに高度なスキルが求められるでしょう。
詳しく解説します。
専門知識
自社が提供する製品やサービスに関する専門知識をもとに、顧客に応じた訴求ポイントや、機能・使い方などを説明できるスキルが求められます。
顧客との継続した関係をつくるには顧客のニーズや課題を常に把握しておく必要があり、知識を活かしてそれらを満たす対応が必須となります。
論理的思考力
SaaS営業には、やみくもに営業するのではなくKPIを意識して論理的に営業活動を進める力も必要です。
KPIから逆算して、どうすれば目標とする顧客を獲得できるか、どのタイミングでどのようにアプローチするとロイヤリティが上がるかなど、論理的に組み立てて行動すると、業務の効率化につながります。
顧客の声を反映する力
SaaS営業は、顧客のファン度を一層高めるためにも、期待値を超える製品やサービスを提供し顧客満足度を高める必要があります。常に顧客の声を拾って、製品やサービスに反映する力もあるとよいでしょう。
課題解決力
顧客が抱えている課題だけではなく、顧客がまだ気づいていないインサイトを提示して、自社商材でどのように解決できるかというベネフィットを提供する課題解決力や提案力も求められます。
求められている以上のサービスや支援を提供すると顧客の信頼を得られ、長期的な継続利用も期待できます。
チームワーク、協調性
SaaS営業はマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスとに分業化していることが多く、関係部署で連携しながら進めることが重要です。
SaaS営業の成功率を高めるには、各担当が常に情報を共有して最善策を導き出すといった、協調性やチームワークが欠かせません。
SaaS営業を効率化するには
SaaSビジネスは顧客との継続的な関係維持が重要であるため、マーケティングから営業、カスタマーサクセスにいたるまで、見込み顧客や顧客のフォローアップが欠かせません。
業務を効率化するには、顧客情報を一元管理し、営業活動や顧客管理を効率化できるCRM/SFAツールの導入をおすすめします。
CRM/SFAツールの活用で最新の顧客情報や営業活動を共有・可視化でき、最適な営業プロセスへの改善が可能になります。また、属人化しがちな営業活動の平準化にも役立ち、組織全体のレベルアップも期待できるでしょう。
詳細は以下の資料内で紹介していますので、あわせてご確認ください。
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SaaSビジネスは今後もますます拡大すると予測され、SaaS営業も需要が増えると考えられます。
SaaS営業は、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの、職種ごとに担当が異なるのが一般的です。また、通常の営業よりも、ハイレベルなスキルが求められます。
こうしたSaaS営業の業務負担を軽減し効率化するには、CRM/SFAツールの導入が効果的です。営業活動を可視化し標準化できるCRM/SFAツールの活用で、効果的なSaaS営業を目指しましょう。