販路拡大の方法とは?新しい販路を開拓してビジネスを成長させる15の方法
販路の拡大は、ビジネスを成長させる過程のなかで避けられない課題です。ひとくちに販路拡大といってもさまざまな方法があるため、自社のビジネスとターゲットに合った販路を見きわめることが重要になります。
この記事では、販路拡大に向けて新しい販路を開拓する方法について解説します。
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販路拡大・販路開拓とは
「販路」は商品やサービスが生産者から消費者に届くまでの経路のことです。販売経路を略した言い方であり、販売ルートとも同じ意味で用いられます。
「販路拡大」とは
たとえば、農業生産者が栽培・収穫したお米はいったん、JA(農協)に集められます。JAは米の卸売業者に販売し、卸売業者は米屋やスーパーなどの小売店に納品します。このような経路をたどって消費者がお米を買うことができるようになります。
最近では農業生産者がネット通販を利用して直接消費者に販売するケースも増えてきました。従来からの販路にくわえて新たにネット通販でお米の直販を始めたとすると、この農業生産者は2種類の販路を持つことになります。
この例のように、「販路拡大」は販売経路を増やすという意味であり、簡単にいえば商品やサービスの売る方法を増やすということです。
「販路開拓」とは
「販路開拓」も販路拡大とだいたい同じ意味として使われますが、販路開拓は生産者(販売者)から消費者までに中間業者や小売店が多数存在する場合に、「自社の商品を扱う中間業者や小売店を増やす」という意味でも使われます。
また、「販路」は自社から見た販売先や販売方法のことであり、中間業者や小売店もそれぞれに販路を持っていることになります。商品やサービスの特性、あるいは、業種や業態によって、販路にはさまざまな種類があります。
販路拡大は生産者(販売者)側から見ると、販売窓口が増えて新たな顧客の獲得、全体の販売量の増加につながります。消費者側から見れば、商品やサービスを購入するための選択肢が増えるため、利便性が高まるという効果があります。
販路を構成する3つのチャネル
生産者から消費者にいたる商品やサービスの流れ全体を見渡したとき、「モノの流れ」と「お金の流れ」、また、消費者が商品やサービスの存在を知り理解するための「情報の流れ」に分けることができます。それがチャネルです。
流通チャネル
商品やサービスが販路を通じて物理的に移動することにともなって、その所有権が移転する時点でお金の流れが発生します。
商品やサービスの物理的な移動を「物流」といい、取引にともなうお金と受発注の情報の流れを含めて「商流」といいます。販路のなかで物流と商流を合わせたモノとお金の流れ全体をあらわすのが流通チャネルです。
流通チャネルは生産者と消費者の間にどんな中間業者(卸売業者)と小売業者が介在しているかということに着目した概念です。
販売チャネル
流通チャネルのうち、商品やサービスが最終消費者に渡る時点の販売窓口や提供方法が「販売チャネル」です。
販売チャネルの種類は、中間業者(卸売業者)と小売業者を通じて販売する場合の業態の違い、直接販売する方法(直販)の場合に直営店舗を通じて販売されるものか、ネットを通じて販売されるものか、といったことで区別されます。
コミュニケーションチャネル
モノとお金以外に生産者(販売者)と消費者の間では情報もやり取りされます。
広告などを通じて商品やサービスの存在を知らせるために生産者(販売者)側から発信される情報や、商品やサービスの購入を検討する消費者が生産者(販売者)に問い合わせをする際のやり取りを行う経路などがコミュニケーションチャネルです。
販路拡大の枠組み
販路拡大は、新しい顧客を取り込むための経路を作り出す取り組みです。
提供する商品やサービスには特定の顧客層が存在するため、新たな販路を見出すことが難しいケースのほか、これまで気づかなかった顧客層や販路がより大きな成果を生み出すケースも考えられます。
販路拡大の取り組みには、自社の事業を構成する4Pとそれに対応する4Cを明確にした上で、適切なセグメンテーションとターゲティング・ポジショニングについての分析を行う必要があります。
新しい販路が想定するペルソナを明確にするとともに、カスタマージャーニーマップを活用して、具体的な購買プロセスが適切かどうかを検証することが重要です。
4P(製品・価格・流通・プロモーション)・4C(顧客価値・コスト・利便性・コミュニケーション)の整理
販路拡大を検討する際には、自社の商品やサービスのマーケティングの切り口を明らかにするための4P(製品・価格・流通・プロモーション)と、対象とする顧客を分析するための4C(顧客価値・コスト・利便性・コミュニケーション)を整理する必要があります。
4P・4Cについては以下の記事で詳しく解説しています。
参考:4P(マーケティングミックス)とは? 営業戦略に活かす方法も解説!
STP(セグメント・ターゲティング・ポジショニング)の設定
マーケティングプロセスのなかで4Pと4Cの分析に続くのが、対象とする顧客と自社の立ち位置を具体化するためのSTP(セグメント・ターゲティング・ポジショニング)の明確化です。
STPについては以下の記事で詳しく解説しています。
参考:セグメントとは?顧客をグループ化する方法や管理の重要性を解説!
ペルソナとカスタマージャーニーマップの活用
STPに沿ったペルソナを決めることで顧客の解像度が高まり、カスタマージャーニーマップを想定することで販売活動の具体化がしやすくなります。
ペルソナとカスタマージャーニーについては以下の記事で詳しく解説しています。
参考:【イチから解説】カスタマージャーニーとは?概念やマップの作り方・活用事例を紹介
販路拡大の15の方法
販路拡大は事業を成長させていくために欠かせない取り組みです。流通チャネル、販売チャネル、コミュニケーションチャネルのどの部分を強化すれば最終的な販売拡大につながるのかを見きわめることが重要です。
具体的には以下のような販路拡大の方法が挙げられます。
ECモールへの出店
ECモールへの出店は、新たな販売チャネルを設けるということです。総合的な商品を扱うモールのほか、特定分野の商品を専門に扱うモールなどさまざまな種類があります。
自社でECサイトを構築する場合に比べて、出店のフォーマットが決められており、初期投資を抑えられる点や消費者の目に触れやすくなる点がメリットです。モール内では競合する商品と横並びで比較されることから、差別化要素により注力する必要があります。
ECサイトの開設
自社のECサイトを持つことは、独自に商品やサービスの訴求方法を工夫できる点や、出店料がかからないといった点がメリットとなります。一方、初期投資が大きくなる点と、独自に集客を図らなければならない点がデメリットといえます。
オウンドメディア・ブログ・メルマガの運営
コミュニケーションチャネルを充実させる方法として、オウンドメディアやブログ、メルマガなどを通じて情報発信を行うことが挙げられます。販売チャネルとしても機能する効果的な方法であり、さまざまなビジネスでこれらの手法が取り入れられています。
SNSでの情報発信
インターネットを通じた情報発信のなかでも、消費者との双方向のコミュニケーションが取りやすいのがSNSを利用した情報発信です。
エンゲージメントの高い消費者に絞ってSNS広告を打てる点が大きな特徴です。また、SNS上からシームレスに消費者の購入につなげる「ソーシャルコマース」は、視覚的な訴求力が求められるカテゴリーや情報に敏感な顧客層に向けた商品に適しています。
口コミサイトの活用
飲食店や美容院、宿泊業などでは、口コミサイトに登録することも商品やサービスの認知度を高めるために有効です。
商品やサービスに対する生の声が他の消費者の目に触れることから、信頼を獲得する効果を得られます。広告宣伝に比べて対費用効果が高いことや、長期的な信頼構築につながる反面、マイナスの評価や炎上のリスクがあります。
広告の出稿
認知度向上、購買意欲の喚起、新規顧客の獲得、ブランドイメージの向上など、コミュニケーションチャネルの主要な役割を果たすのが広告です。
広告は販路拡大のために有効な手法ですが、効果を高めるためには出稿するメディアの選択やクリエイティブの方向性など、戦略的な運用が求められます。
パブリシティの利用
対価を支払って特定のメディアに露出を図る広告と異なり、メディアなどに取り上げてもらうことで認知度を高める効果をもたらすのがパブリシティです。
第三者を通じて発信される情報であることから、信頼性を担保できる情報発信の方法です。一方、メディアによって発信される情報の内容をコントロールできない点がデメリットです。
飛び込み営業
飛び込み営業は販売チャネルのひとつの手法です。採用する企業は多くはありませんが、保険や金融商品など対面による顧客との信頼関係を築くことが重要な商品や、日用雑貨や消耗品など単価が低い商品、オフィス用品や清掃用品など導入が簡単で即決しやすい商品などに有効な販売チャネルです。
電話営業
電話営業は訪問営業に比べて地理的な制約がなく、短時間に数多くの潜在顧客にアプローチできるという点が大きなメリットです。
タイムリーな情報提供が可能であり、リード顧客を獲得するために有効な方法です。DMやWebマーケティングと組み合わせて、購買プロセスのなかで適切に用いることでさらに効果が高まります。
DM・メールマーケティング
電話営業と同様に、一度に多くの潜在顧客に到達できることに加え、多様な形でメッセージを届けることが可能な販売チャネルです。
電話営業と異なるのは、継続してアプローチを続けることが可能であり、時間をかけて認知度向上と購買喚起を行うことができるという点です。
イベント・セミナーの開催
イベントやセミナーは、ある程度興味・関心の高い顧客層に、商品やサービスをより深く知ってもらう機会となります。
質の高いイベントやセミナーの実施は顧客エンゲージメントを高めると、同時にブランドイメージを向上させることにもつながります。
見本市・展示会・商談会出展
自社で開催するイベントやセミナーのほか、公的機関や業界団体などが主催する見本市・展示会・商談会に出展することも、商品やサービスの認知を高め、新たな顧客を獲得するための有効な方法です。
全体の集客規模が大きいことから、数多くの消費者の目に触れる機会となります。
リファラルマーケティングの活用
リファラルマーケティングは、商品やサービスを購入した顧客に対して、新たな顧客を紹介してくれた場合にインセンティブを与え、紹介を通して新たな顧客を獲得していくマーケティング手法です。
顧客自身のネットワークを活用するものであり、同質な顧客層の厚みを増す効果が期待できます。
マッチング支援サービス・コンサルティングの活用
行政では、地方創生や地域課題の解決を目的として企業の参画を促す取り組みのほか、創業者や中小事業者の新規事業開発に営業先を紹介するサービスなどを行っています。
内閣府が実施する「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」や中小企業基盤整備機構の「海外マッチングコンシェルジュ」などのほか、自治体ごとに販路拡大につながるさまざまなサービスが行われています。
個人的な伝手(つて)
個人的な伝手やネットワークを通じて新しい販路、新しい顧客を獲得する取り組みは、経営層を中心によく行われることです。
業界内で形成されるネットワークのほか、商工会議所などを通じた地域内でのつながり、スタートアップのコミュニティなど、経営者は販路拡大や新たなビジネスチャンスの機会が得られるネットワークに加わっていることがほとんどです。
顧客情報を有効活用して販路拡大の成功確率を高めよう
販路拡大には多様なアプローチが考えられますが、新しい販路を見つける際には既存の顧客データを分析することが重要です。顧客の基本属性や購買プロセス、購入にいたった理由や原因を知ることが、開拓すべき販路を検討する際の基準となるからです。
顧客データを効率的に蓄積し、効果的な分析を行うためにはCRMの活用がおすすめです。CRMに蓄積された既存顧客のデータを分析、活用することが新規販路開拓の足がかりとなり、販路拡大の成功確率を高めることに直結するでしょう。