スケジュール管理ツール導入の成功ポイント 目的別に応じたおすすめアプリについて
ビジネスパーソンにとって、プロジェクトや商談を前進させ確実に成果を上げるために、重要なタスクとなっているのがスケジュール管理。
こうしたスケジュール管理の手段(ツール)の充実ぶりとは裏腹に、スケジュール管理がうまくいかないという声が聞かれます。
そこで今回は、理想のスケジュール管理のツール選定についてのノウハウや具体的な選定ツールの基準などについて解説します。ぜひ参考にしてください。
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スケジュール管理はなぜ行う?
まずスケジュール管理はなぜ重要なのか整理しましょう。
1:目的、目標の達成
売上を上げるというゴールに向け、営業パーソンが遠回りすることなく最短距離で到達するためには、実際のタスクと必要な時間を計算し、管理する必要があります。
スケジュール管理を行うことで、「業務効率化」と「次回訪問の質向上」といった目的に対する成果が早く出て、営業活動がスピードアップするのです。
2:業務エラーの削減
多数のメンバーを抱えるプロジェクトなどの場合、手帳を使った手書きによるスケジュール管理では、ダブルブッキング等の業務エラーが頻繁に発生するため、その対応のための時間が増え作業効率が落ちてしまいます。
成果を求めるビジネスパーソンにとって、スケジュール管理は最重要項目。現在はツールを使うことで業務エラーを削減し、大幅に効率化できるのです。
メモやエクセルではなくなぜツールを使う必要がある?
スケジュール管理には、なぜツールを使う必要があるのか考えてみましょう。
メモやエクセル管理の課題
手帳を利用したり、エクセルにテンプレートを適当に作って行っていると、じきにスケジュール管理がうまくできなくなってしまうもの。経験がある方が多いのではないでしょうか。
手帳で管理する場合にまず問題になるのは、手帳を紛失したら情報を全て失う点。さらに記録スペースが限られるため、ちょっとした余白まで使ううちに、どこに書いたかがわからなくなったり、書いたこと自体忘れてしまうこともあります。しかも検索性がゼロなこと、他のメンバーとスケジュールを共有できないことも問題です。
一方、エクセル利用では記録スペースが無限大のため、結果としてデータが巨大化してしまいがちで、取り扱いが煩雑になります。検索機能があり、クラウド経由で他の人との共有もできますが、大きなエクセルデータでは読み間違えなどの事故が起こるので、業務に支障をきたすことが考えられるのです。
ツールを導入したことによる成果
スケジュール管理用のツールを使うと、次のようなメリットがあります。
- 記入や進行の負荷削減ができ、コア業務により多くの時間を使える
- 可視化でき、メンバーに共有できるので仕事もスムーズに進む
- 検索性が高く、過去の履歴が残るので分析することも可能
ツールを導入することが業務の効率化につながり、日常の作業を楽にするのです。
ツールを用いたスケジュール管理が失敗する理由
このようにツールを用いたスケジュール管理にはメリットが多いはずですが、では、うまく使いこなすことができずに、依然としてツールでのスケジュール管理に失敗しているビジネスパーソンが多いのはなぜでしょうか。2つの理由が考えられます。
個別最適でバラバラの管理ツールを使用している
利用しているスケジュール管理ツールが、一種類だけという人は少数派。ほとんどの場合、細かい用途に合わせた複数のツールを使っています。
管理ツールは多種多様。オフィスでよく利用されている管理ツールを挙げてみましょう
- 企業で指定されたグループウェア
- スケジュール管理ツール
- Outlookのアドレス帳(名刺管理を兼ねる)
- 名刺管理アプリ
- エクセル(プロジェクト管理などに利用)
多くのツールを併用していると、入力するだけで工数が多くかかるため、つい入力を後回しにしてしまいがちです。そうしているうちに、入力を忘れてしまうことが頻繁に起こり得るのです。多くのツールを使っていればいるほど、スケジュール管理に失敗するといえます。
営業活動に欠かせない関連情報との連携ができない
スケジュール管理を完璧にするだけで、日々の営業活動をじゅうぶんに行えるとは言えません。営業活動では過去の取引状況や過去の訪問時の商談内容という、スケジュールに関連した顧客情報の把握も必要となります。
関連情報との連携ができないスケジュール管理ツールでは、他の情報を把握してからスケジュールを入力することになるため、面倒になってしまうのです。
スケジュール管理ツール導入成功のポイントは「集約、連携、共有」
では、どうすればスケジュール管理ツール導入が成功するのでしょうか。ツール選定の際に考慮したいポイントとして、次の3つが考えられます。
ポイント1:必要な機能が一式カバーされた、ワンストップ・ツール
グループウェアやスケジュール管理ツールなど、複数のツールと併用する必要がなく、あらゆるシーンに必要な機能が、全て搭載されていることが重要です。
ポイント2:業務に必要な情報がシームレスに連携されている
顧客情報や売り上げ情報、進捗状況など、一つのツールにアクセスするだけで必要な情報が全て確認できるものであるべきでしょう。情報を分けて管理しても、良いことは何もありません。
ポイント3:他人にも共有可能
スケジュールの可視化と同時に、自分のスケジュールを同僚と共有できることも必要です。自分のTo-doを同僚と共有することは、同僚のタスク管理の一翼を担うことにもなります。
大事になるのはシングルインプットマルチアウトプット
以上のことから、集約、連携、共有なくして、スケジュール管理ツール導入の成功はありません。
そして成功のために重要となる概念が、シングルインプット・マルチアウトプットです。一つの入力で全てに共有できる体制が必要なのです。
【スマホ、PC対応】目的別スケジュール管理のオススメアプリ
スケジュール管理に必要な、集約、連携、共有の条件を満たすツールやアプリはたくさんあります。用途によってそれぞれ最適化されていますので、業務特性や達成したい目的に合致したツールを選択することがよいでしょう。目的別に代表的なツールをご案内してみましょう。
純粋なスケジュール共有がしたい場合 >スケジューラー
スケジューラー機能に特化したツールでは、複数のツールとの連携も条件として満たしやすく、その多くがシンプルなタスク管理機能を搭載しています。
Googleカレンダー
・製品概要:カレンダー機能、カレンダー共有
・特徴:GmailやGoogleマップとの連携、Gmailを利用しているユーザーに便利、マルチデバイス対応、シンプルで機能性に優れたI/F、ドラッグ&ドロップで簡単に変更できる
・料金:無料、ただしGoogle AppsのGoogleカレンダーは有料;600円/ユーザー/月(ベーシック)- 3,000円/ユーザー/月(エンタープライズ)
・URL:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.calendar
Yahoo!カレンダー
・製品概要:カレンダー・タスク機能、リマインダー、複数カレンダーの管理、カレンダー共有
・特徴:新幹線や宅配などの予定を自動登録、イベントカレンダー機能、Yahooメールユーザーに便利
・料金:無料
・URL:https://calendar.yahoo.co.jp/info/
Jorte(ジョルテ)
・製品概要:カレンダー機能、システム手帳のように使える
・特徴:機能豊富、ニュースなどをカレンダーに同期できる、着せ替えテーマが多い
・料金:無料プラン、アイコン・着せ替え使い放題:240円/月、ジョルテプラス:480円/年、ジョルテプレミアム:300円/月、3,000円/年
・URL:https://www.jorte.com/index.php
プロジェクトの進行管理がしたい場合>プロジェクト管理ツール
このタイプのツールは、複数人の稼働やタスクの綿密な管理、ステータス管理機能を搭載しているガントチャートやカンバン機能が基本機能として付いている場合が多いです。
backlog(バックログ)
・製品概要:チームコラボレーション、チームタスク、プロジェクトの進捗を管理
・特徴:開発からマーケティング、人事・総務まで、一般的なビジネスパーソンでも使いこなせる
・料金:30日間無料トライアルあり、2,000円/月(スタータープラン)- 150,000円/年(エンタープライズ)
・URL:https://backlog.com/ja/
Wrike(ライク)
・製品概要:タスク管理の形式をリード、ボード、テーブルの3つから選択する
・特徴:無料プランでもタスク管理の形式を選択できる、直感的に使える、Google Drive、Dropbox、Box、MSFT Office 365、OneDriveと連携
・料金:無料あり、24.80US$/ユーザー/月(ビジネス)
・URL:https://try.wrike.com/
Trello(トレロ)
・製品概要:タスク管理ツール、ガントチャートも作成できる
・特徴:付箋のような感覚で使える、一人でもチームでも、また社外の人とも共有できる
・料金:無料あり、 20.83US$/ユーザー/月(エンタープライズ)
・URL:https://trello.com/
営業やカスタマーサクセスなどの顧客接点があるもの>CRM/SFA
スケジュール管理だけでなく顧客情報にまで連携する領域が広がってくると、スケジュール管理機能が充実しているCRM/SFAという選択肢が挙げられます。製品によっては、前段のスマホを使った報告シーンでご紹介した上司や関係者とのリアルタイムコミュニケーションを実現する社内SNS的機能や、名刺情報のOCRによる登録機能を備えていたり、登録された情報から会議用資料を簡単に生成できる製品もあり、業務の効率化が期待できます。
Hubspot CRM
・製品概要: マーケティング、セールス、カスタマーサービスの各ソフトウェアをつなぐ総合的なプラットフォームのHubspotの中でも、中核の位置づけ
・特徴:顧客とのミーティングスケジュール設定、ウェブチャット機能により、顧客との関係構築が容易になる。他製品と組み合わせることでさらなる効果が
・料金:無料
・URL:https://www.hubspot.jp/
Salesforce
・製品概要:統合CRMプラットフォーム。売上の拡大を実現する営業支援、顧客管理
・特徴:社内SNS機能、同社のMAツールのPardotと連携し、見込み客の創出や見極めができ、営業サイクルを短縮することが可能
・料金:18,000円/ユーザー/月 (エンタープライズ)
・URL:https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/
eセールスマネージャー
・製品概要:純国産のCRM/SFA。生産性の最大化のための営業支援ツール
・特徴:日本の営業スタイルに適している。専任チームが導入から活用までをサポート
・料金:6,000円/ユーザー/月(スタンダード)
・URL:https://www.e-sales.jp/
Senses
・製品概要:AI搭載、GoogleやMS Officeツールと連携できる、自動通知で対応漏れを防ぐ
・特徴:カード形式の直感的な案件管理、グループウェアとの連携、運用負担が少ない
・料金:無料トライアルあり、25,000円/5ユーザー/月 (スターター)
・URL:https://product-senses.mazrica.com/
今回紹介したツールは、ほんの一例です。もともと無料であるものや、無料トライアルを用意しているものも多く、PCはもちろんのこと、スマホアプリでもほぼ対応しています。種類が多くて迷ってしまいますが、自らの目的を洗い出して考え、最適なツールを選定してください。
CRM/SFAに興味がある方や、導入を考えている方に向けて、様々なCRM/SFA製品を料金や機能、セキュリティなど32項目で採点し、ひと目でわかるグラフで特徴を教えてくれる製品比較シートと、料金・機能をXY軸にして製品群をマッピングした分析チャートをご用意いたしました。
比較の時間を短くしたい方に製品比較シート、どのような価格や機能性の製品があるのかといった、CRM/SFA製品の全体図を把握したいという方には製品分析チャートがおすすめです。
スケジュール管理ツール導入後「運用に至るまで」の注意点
スケジュール管理ツールを選択し、導入したからと安心してはいけません。ツールはあくまで手段であって、その運用が定着することで初めて成果が出るのです。
ツール導入後、運用を始める際に、まず以下の点に留意をしましょう。これらは自分自身でできることです
- 優先順位付けに慣れる:管理の精度を上げるために、普段から優先度をつける練習をしておくと、非常事態が起こっても即座に判断できるもの。自分の判断に合わせ、部署の方針や会社の方向性も頭においておく。
- 詳細も可視化し、余裕を持ったスケジューリングを:移動時間や所要時間を含めることも忘れずに。また想定外なことが起こっても、バッファーがあればキャッチアップが容易。
- 作業に時間制限を設ける:スケジュールした時間内に仕事を仕上げるために、工夫するようになるので、効率化につながる。
しかし自分だけにクローズしたスケジュール管理がうまくいくだけでは不十分です。企業で働く上では、業務の中で発生した情報をその都度社内のポータルで周知したり、メールやエクセルなどで共有したりする、あるいはミーティングをセットして関係者に直接伝達することなどが必要です。
組織として仕事をする以上、上司や同僚、部下、他部門といった、様々な立場の人々と情報共有しながら業務を進めていく必要がありますが、スケジュール共有も同様なのです。
スケジュール共有により、次の効果が期待できます。
- お互いの作業進捗の見える化で、プロジェクトの作業の漏れや遅れ、重複を防止
- コミュニケーションの改善
- 企業全体における顧客満足度、生産性、売上の向上
スケジュール管理ツールには共有機能があるものも多いので、導入を前向きに検討したいところです。もちろん運用方法の標準化やセキュリティへの考慮、関係者の強い意志も運用の定着には必要になります。
スケジュール管理ツールを活用して成果の向上を
ビジネスパーソンにとって、スケジュール管理は大切な仕事のひとつです。管理の手間を省いて正確なスケジュール管理を実行するために、ツールが大いに役立ちますし、その選定も重要項目といえます。
繰り返しになりますが、スケジュール管理ツールの導入の成功には集約、連携、共有の3点。加えて導入後の運用体制構築も忘れてはいけません。
今回はスケジュール管理ツールについてご案内しましたが、企業の業務効率アップを検討される上で、参考になれば幸いです。