スコアリングの効果やメリットとは|営業の成果向上ポイントや例も解説
営業の成約率を高めるために見込みの高い顧客に絞る場合、成約の見込みを測る必要があります。
本記事では、顧客の成約見込みを数値化する手法「スコアリング」の方法やポイントを実際の例を交えてわかりやすく解説します。
スコアリングとは
まずは、スコアリングの意味や、企業が実施するメリットを解説します。
自社に最適な顧客を見きわめる「スコアリング」
スコアリングとは、「リード」と呼ばれる成約見込みの高い顧客層を点数化し、自社にとってどの顧客が優先すべき対象かを明確にする営業・マーケティングの手法です。
スコアリングを行う際の主な対象となる要素には、「従業員の規模」「売上」「予算」「担当者の決裁権の有無」「導入時期」などがあります。これらの要素をもとにスコアを算出し、高いスコアを持つ顧客からアプローチすることで、ビジネス機会を最大限に活用することができます。
スコアリングを行うメリット
スコアリングの主なメリットは以下の通りです。
顧客獲得方法の最適化
顧客の行動や反応から得られるデータをもとに分析を行うことで、購買意欲の高いリードかどうかを識別できるようになります。
営業活動の効率化
リードの質に応じて営業活動を最適化することができるため、時間とリソースの無駄遣いを減らすことができます。
成果の最大化
見込みの高いリードに集中して営業を行えるため、成約率の向上と売上の増加つながります。
これらのメリットを実現するためには、次に解説するスコアリングの手順で適切に実行することが重要です。
また、スコアリングはデータ分析手法であるため、企業の営業部だけで実施するのではなく、マーケティング部や情報システム部との連携を強化することでさらなる効果を期待できます。
スコアリングの活用方法
スコアリングの手順
スコアリングを効果的に実施するためには、明確な手順を踏むことが重要です。スコアリングのプロセスを理解し、適切に実行することで、営業の成果を大きく向上させることができます。
スコアリングの基本的な手順は以下の通りです。
- 目標の設定:スコアリングを行う目的を明確にします
- 評価基準の設定:リードの行動や属性に対する点数を決定します
- データ収集:リードの行動や属性に関するデータを収集します
- スコアリング:収集したデータにもとづき、リードに点数を付与します
- アクションプランの策定:スコアの高いリードに対して、どのようなアクションを取るかを決定します
この手順を踏むことで、リードの質を正確に評価し、効率的な営業活動を展開することが可能になります。
特に、評価基準の設定と実施する施策の策定は、スコアリングの成功において最も重要なステップです。適切な基準と計画にもとづいてスコアリングを行うことで、営業部はより効果的にリードを管理し、成果を最大化することができます。
スコアリングの点数化方法
顧客を点数化する具体的な方法は、各企業によってどういった点数基準を設けるかで大きく異なります。
ただ、スコアリングの際に行われる点数化方法はある程度定まっており、主に以下3つの方法で点数化を行います。
「属性」で点数化
一番わかりやすい点数化の条件が、顧客の「属性」でスコアリングする方法です。
自社の商品・サービスを提案する際、役職・業界・企業規模(個人であれば年収)などの顧客属性によって成約の見込みの高さは異なります。
これを基準として、自社のターゲットペルソナに近ければ近いほど高いスコアを設定するようにすれば、営業リストの中でも優先すべき顧客が高い点数で表示されるようになります。
「行動」で点数化
顧客からの「行動」を点数化する方法もスコアリングにおいては有効です。
顧客からの能動的な行動は、それだけで一定の興味があることが伺えますが、その中でもたとえば「問い合わせ」をする顧客は、より興味を持っていることが想定されます。
このように、顧客が自社に対してどのような行動を取っているかに焦点をあててスコアリングすることが可能です。
「購入」で点数化
既存の顧客にしか適応できないデメリットはありますが、顧客の「購入」状況でスコアリングを行うことも重要です。
新規顧客を獲得するには、既存の数倍はコストがかかるとされていることから、既存顧客のアップセル・クロスセルに力を入れていきたい企業も多いのではないでしょうか。
その場合、既存の顧客の購入履歴を洗い出し、スコアリングを行うことで顧客のロイヤリティ(ファンの度合いのような指標)を数値化することが可能です。
スコアリングで成果をあげる3つのポイント
スコアリングは営業活動の成果を高める効果的な分析ですが、この分析精度をあげることで、成約見込みのスコアをより確度の高い数値として算出することができます。
スコアリングの精度を高めるために、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
顧客データを収集・分析できる環境
スコアリングはデータ分析手法であるため、先にあげた点数化方法の「属性」「行動」「購入」のどれを取っても顧客データが必要となります。
そのため、営業の成果向上のためにも以下のような顧客データの収集・分析環境を整えることが重要です。
- CRMシステム:
顧客の属性・行動・購入データを一元管理、また営業現場の業務効率化機能も - マーケティングオートメーション(MA)ツール:
顧客の行動を分析し、自動的にメール配信やリードナーチャリングを実施 - 表計算ツール(Excelやスプレッドシート):
入力の手間はかかるものの、低い導入コストで顧客データを収集・分析が可能
これらのツールを活用することで、営業現場から顧客一人ひとりのニーズや購買意欲を示したデータをより細かく収集・分析することができるようになります。
適切な点数基準の設定
スコアリングで設定される点数の基準は、スコアリングの方法や企業の事業展開によって異なります。
たとえば、本記事で挙げた3つのスコアリング方法だと、以下のような基準の違いがあります。
- 「属性」の場合:自社の商品・サービスのターゲットペルソナとの合致度合い
- 「行動」の場合:顧客のカスタマージャーニー(認知や興味、検討といった購入までの流れ)
- 「購入」の場合:自社とかかわる度合いや、商品・サービスへの好感度
これらは常に同じ基準で進むことはなく、状況によって変わっていくことも大いに考えられるでしょう。点数基準は経営企画などの部署と定期的に見直しを行い、スコアリングを行うことが重要です。
顧客ごとに適したアプローチ
スコアリングで成約見込みが高い顧客を洗い出した後は、スコアごとの顧客アプローチを定めておくことが大切です。
たとえば、スコア値が高い層を成約見込みの高い顧客として重点的に対面でアプローチし、スコア値が低い顧客にはメールマガジンやセミナーなどで長い時間をかけて育成するなど、顧客ごとに最適な対応を行うことができます。
スコアリングの事例を解説
本章では、実際に顧客の「行動」でスコアリングする場合の例を解説します。
顧客の行動を評価し、その結果をもとに営業戦略を立てることは、営業成果を向上させる上で非常に重要です。リードの行動を点数化することにより、顧客の興味や関心の度合いを定量的に把握することが可能になります。
このプロセスは、顧客がどの程度自社の商品やサービスに関心を持っているかを明確にし、それに応じたアプローチを計画するための基盤を提供します。
まずは行動ごとに点数を設定し、顧客の関心度を定量化します。
たとえば、上図では資料請求を1点、企業の公式SNSをフォローした場合を1点、イベント・セミナーに参加した場合を2点と設定し、これらの行動を顧客ごとに記録することでスコアリングしています。
点数に合わせて対応する営業活動を定めておけば、顧客の状況別に適切な営業活動を行うことも可能です。
総合1点の顧客には営業メールを送り、3点の顧客には直接アポを取り提案営業を行うなど、具体的なアクションを設定することで効率的な営業活動を実現することができるでしょう。
スコアリングの前に顧客管理(CRM)の体制を整えることが重要
本記事ではスコアリングについてのメリットや活用方法、顧客を見極め成果をあげるためのポイントを解説しました。
スコアリングは自社の商品・サービスにおける顧客獲得の優先度を測り、効率的に営業やマーケティングを実施するための重要な手法です。
適切なスコアリングを行うことで顧客分析の質を向上させ、営業の成果向上や業務効率化につなげることができます。
スコアリングには、顧客データを詳細まで収集・分析できる環境が必須といえるでしょう。マーケティング部や情シス部間との連携強化、CRMツールの導入を進めて顧客データを営業に活用できる環境を整えたうえで、スコアリングを実施して営業活動の効率化と成果の最大化を目指しましょう。