セグメントとは?意味や顧客をグループ化する方法・活用事例を解説!
セグメントとは、顧客をグループ化して最適なアプローチを行う手法です。営業活動を効率化するうえで、セグメントに対する正しい知識と活用方法の習得は欠かせません。
本記事では、マーケティング戦略や営業戦略に役立つセグメントの概要や利用方法、企業の成功事例などを解説します。
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セグメントとは?意味や目的を解説
セグメント(Segument)は「区切り」「区分」と訳されて、顧客をグループ化する手法をいいます。
たとえば、年齢や年収、趣味などでグループに分ければ「どのような顧客が自社商品を購入してくれるのか?」を特定できるようになります。自社商品を購入してくれる顧客に対して優先的にアプローチを行うことで、営業活動を効率化可能です。
近年は、CRM/SFAなどのITツールが普及したことに伴い、顧客データの管理が容易になったことでセグメントを活用する企業が増加しています。
セグメントの使い方
ビジネスでは、利用用途によって「セグメント」という用語の使い方が変わります。利用されることの多い用語と意味は以下のとおりです。
セグメンテーション | 集合体をいくつかのグループに分ける行為 |
セグメント情報 | テーマで分類して公開している情報 |
マーケットセグメント | 顧客を何らかの基準で分けたグループ |
セグメントの目的
セグメントの目的は、自社商品はどのような顧客に売れるのかを特定して、広告戦略や営業戦略に役立てることです。
顧客を年齢や職業などの属性や行動パターンで細分化すれば「どの顧客が自社商品を購入してくれているのか?」を把握できます。
自社商品を購入してくれる顧客グループを優先してアプローチすれば、商談率や契約率が上がり売上アップが期待できます。
セグメントとターゲットの違い
セグメントとターゲットは、STP分析に用いるものです。
セグメントとは、顧客を年齢や趣味などでグループ分けすることです。一方、ターゲットとは顧客グループの中から、どのグループを優先的にアプローチするかを決めることをいいます。
セグメントで顧客をグループ化する方法
代表的なセグメントには「デモグラィック(人口統計学的属性)」「サイコグラフィック(心理学的属性)」「ジオグラフィック(地理学的属性)」「ビヘイビアル(行動学的属性)」があります。
デモグラフィック(人口統計学的属性)
年齢や性別、職業、可処分所得、家族構成など人口統計学的に顧客を分類する手法です。データは集めやすいですが、現代では顧客の価値観が多様化しているため、顧客ニーズ把握に役立たない場合があります。
年齢 | 10代、20代、30代、40代、50代など |
性別 | 男、女など |
職業 | 会社員、学生、主婦、経営者など |
可処分所得 | 300万円以下、300〜400万円、401〜600万円、601〜800万円、801万円以上など |
家族 | 独身(家族別居) 、独身(家族同居)、配偶者有・子供有、配偶者有・子供無 、配偶者無・子供有など |
サイコグラフィック(心理学的属性)
習慣や趣味、嗜好、価値観など心理学的に顧客を分類する手法です。Web分析やインタビュー調査を実施してデータを集める必要がありますが、顧客ニーズの把握に役立ちます。
性格 | 神経質、社交的、野心的、素直、誠実、勤勉など |
趣味 | スポーツ、読書、音楽、料理、語学、旅行、登山など |
価値観 | 経済的報酬型、目標達成型、自立型、愛他性型、美的追求型など |
ジオグラフィック(地理学的属性)
国や地域、居住地、現在位置など地理的属性で顧客を分類する手法です。どのエリアを狙うか考える際に役立ちます。
世界の地域 | アジア、北米、南米、ヨーロッパ、中東など |
日本の地域 | 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州など |
人口規模 | 1万人未満、1~10万人、10~100万円、100万人以上など |
人口密度 | 都市部、郊外、地方など |
ビヘイビアル(行動学的属性)
Webサイトへのアクセス、インターネットの使用時間、商品購買履歴など行動学的属性で顧客を分類する手法です。
Webサイトへのアクセス | 毎日、週1回、月1回など |
インターネットの使用時間 | 1時間未満、1~2時間、2時間~3時間、3時間以上など |
商品購買履歴 | 初回、2回目以降 |
セグメントと合わせて覚えたいSPT分析
セグメントと合わせて覚えておきたいフレームワークが「SPT分析」です。
SPT分析は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字からなる、アメリカの経営学者フィリップ・コトラー氏が提唱した手法です。顧客へのアプローチに役立つ手法のため、以下で詳細を解説します。
セグメンテーション
SPT分析におけるセグメンテーションも、自社の対象となる顧客を絞り込むために、顧客をグループ分けすることをいいます。代表的なセグメントは、前述したとおり「デモグラィック(人口統計学的属性)」「サイコグラフィック(心理学的属性)」「ジオグラフィック(地理学的属性)」「ビヘイビアル(行動学的属性)」があります。
どのような属性の顧客が自社の顧客になるかは、フレームワークを活用して分析していきましょう。フレームワークを活用した顧客分析については、以下の記事を参考にしてください。
参考:顧客分析とは?7つのフレームワークや分析に役立つツールを解説
ターゲティング
ターゲティングとは、細分化された市場の中から、自社がターゲットに据える市場を選ぶプロセスのことです。
自社の製品の強みが生かされるような市場、自社のブランドイメージやコンセプトなどに合致した市場を選択するのが一般的です。複数の市場に対して、それぞれのニーズに合致した製品を提供することもあります。
ポジショニング
市場調査を行い、競合他社との関係から自社の立ち位置を決めるプロセスのことです。
ここでは、市場の競合他社の価格・機能・品質などの調査を行った上で、自社製品と比較します。そして、どのような点で自社製品に優位性があるのかを明確にしましょう。
自社と競合他社を当てはめることで、自社の立ち位置が分析しやすくなります。比較する軸の代表例は、値段・品質・店舗数・販売チャネルなどです。
STP分析の重要市場「6R」
6Rとは、以下6つの頭文字を取った指標のことです。
- 市場規模(Realistic Scale)
- 成長性(Rate of growth)
- 競合の状況(Rival)
- 優先順位(Rank)
- 到達可能性(Reach)
- 測定可能性(Response)
STP分析を行うときは6Rを活用すると、セグメント、ターゲティング、ポジショニングの精度が上がります。
市場規模(Realistic Scale)
市場規模が大きいと、利益が得られる可能性が高まります。しかし、市場が大きいからといってかならず利益が得られるとは限りません。
競合他社が参入している場合は、競争に巻き込まれて衰退してしまうおそれがあるでしょう。そのため、市場参入して利益が見込めるかどうかも考えることが大切です。
成長性(Rate of growth)
成長性とは、市場が拡大しているかの指標です。競合他社の商品が売れているか、消費額が伸びているかなどから判断します。
市場の成長性が見込めるのであれば、自社商品が販売しやすくなります。
競合の状況(Rival)
競合の状況とは、競合他社がどれぐらいシェアを占めているかを調べる指標です。競合の状況を見ることで、自社商品が売れる見込みがあるのかを理解できるようになります。
競合に関しては入念に調べるようにしましょう。
優先順位(Rank)
競合他社と自社を比較して、どこに強みがあるかを確認することが大切です。
たとえば、競合他社と比較して自社の強みがない場合は、市場に参入しても利益が見込めないでしょう。その一方で、自社に強みがある場合は、競争激化しても利益が見込めます。
到達可能性(Reach)
到達可能性は、ターゲットに対して的確にアプローチできているかの指標です。
ターゲットに対してさまざまなプロモーションをおこなっても、届かなければ意味がありません。そのため、自社のターゲットに適切にアプローチできているかを確認する必要があります。
測定可能性(Response)
測定可能性は、ターゲットにアプローチした効果を測定できるかを判断する指標です。
実施した施策は、どれだけ効果が見込めたのかをかならず確認するようにしましょう。もし、理想の効果が見込めずに、費用対効果が悪い場合は施策を見直してください。
セグメントを活用した企業事例
ここでは、セグメントを活用している企業の事例を紹介します。 戦略的なセグメント活用によって成功を収めている事例をピックアップしたため、ぜひ参考にしてください。
株式会社ジンズホールディングス
出典:JINS
株式会社ジンズホールディングスは、メガネブランド「JINS」の運営会社です。2001年設立以来、斬新なアイテムを販売して全国400店舗以上を展開し事業拡大に成功しています。
他社では視力矯正の必要がある人をターゲットとしていましたが、同社はPCやスマートフォンを利用して眼精疲労に悩んでいる顧客を見つけ出しました。目の健康を気にする人向けにブルーライトカットメガネ「JINS SCREEN」を作り、累計販売本数1,150万本を達成する大人気商品を生み出すことに成功しました。
市場や顧客をセグメント化した上で経営戦略を立て、メガネ業界の常識を塗り替えることに成功しています。
株式会社ファーストリテイリング
出典:ユニクロ
株式会社ファーストリテイリングは、ファストファッションブランドで圧倒的な売上を誇るユニクロやジーユーの店舗を運営している企業です。幅広い世代の人にユニクロが愛されている理由は「Life wear」の価値観で商品が作られているためです。
Life wearとは、あらゆる人の生活を豊かにするための洋服で、細部にこだわり上質で着心地がよいものを作るという方針です。
ファッションブランドでは一般的に、年齢や趣味・嗜好でセグメント化されます。しかし、同社は「本当の顧客ニーズは何なのだろうか?」と考え、それが上質で着心地のよい服だと気づくことができたのです。
他ブランドとは異なる販売戦略を考え、ファストファッションブランドのトップに君臨しました。
パナソニック株式会社
パナソニック株式会社のレッツノートは、16年連続で13インチ未満のモバイルノートPCシェアNo.1の実績を保有する人気製品です。
1990年代頃、SONYやVAIOがインターネットに接続して音楽や映像を楽しめるPCを販売してシェア拡大するなど、競争が激化していました。同社はそのような市場でも売れるように、商品のターゲットを「外回り営業担当者」に絞り込み、長時間駆動と軽量化をウリにしたPCを開発して、シェア拡大に成功しました。
セグメントで顧客アプローチを最適化しよう
セグメントによって顧客を年齢や年収、趣味、行動パターンなどでグループ分けすれば「どのような顧客が商品を購入してくれるか?」を考えられるようになります。
顧客との関係構築や営業効率化に役立つ手法であり、セグメント化して経営戦略を立てていけば、競合他社がいても、自社商品で利益が得られるようになります。これを機会に、セグメントに取り組んでみてください。
顧客をグループ分けする際は、CRM/SFAツールを利用することで高度な分析が可能になります。下記の資料ではCRM/SFAツールの導入ポイントを紹介しているため、ツールの利用を検討している方はぜひ参考にしてください。