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総合食品卸プレコフーズが語る『セールステックを軸にした営業DX戦略』
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総合食品卸プレコフーズが語る『セールステックを軸にした営業DX戦略』

商圏を絞った新規特化型営業と4つの強みで顧客を増やし、シェアを高めていったプレコフーズ。シェア拡大の結果、営業変革の必要性に直面した同社は、同時に営業環境と理想のギャップの課題も抱えていた。プレコフーズがソフトブレーンと協力体制を築くことで得られた成果とは?セールステック(CRM/SFA)を軸にした営業DX戦略を徹底解剖する。

今回の登壇者について

相馬 貴史 氏

株式会社プレコフーズ 経営戦略本部 事業戦略部 経営イノベーション課
課長

髙瀬 友和 氏

株式会社プレコエムユニット 営業統括室
統括マネージャー

佐伯 寛紀 氏

株式会社プレコエムユニット 東京ベイセンター 営業1課 第1グループ
マネージャー

【営業スタイルと強み】商圏を絞った新規特化型営業

プレコフーズは他社が狙わない個店をターゲットとした新規特化型営業の営業スタイルを採用している。

「当社は商圏を首都圏に限定しています。商圏を限定することで、ターゲットは小規模店舗でも配送効率を高めることにより、大規模店舗と同じくらいの大きな売上に繋がります。我々は4つの強み(※1)を活かしシェアを拡大。一都三県の顧客数は約27,000軒にのぼります。」(佐伯氏)

(※1)4つの強み
・国内最高クラスの衛生管理システム
・小ロット/週6日配送
・きめ細やかに対応するオーダー加工
・独自の受発注システムにより、顧客は生鮮3品(肉・魚・野菜)の同時発注が可能

【営業変革の必要性】シェア拡大によって生まれた課題

プレコフーズでは首都圏を中心に顧客数を増やしていった結果、シェアが高まったことにより営業手法を変える必要性が生じた。

「シェアが伸びると従来の飛び込み営業は非効率になり、一度不成約となったお店への再営業の難しさを年々感じていました。」(髙瀬氏)

【導入前の課題】営業環境と理想のギャップ

導入前は、紙ベースの報告、生産性向上や成果に結びつかない結果報告会が中心の営業会議が行われていた。プレイヤーを兼任するマネージャーはチームを正しくマネジメントできず、個々の能力に頼る属人的な営業スタイルが基本。スキルアップが見込めない環境だった。

「当時の基本ツールは紙とExcel。会議では結果を報告するために2時間かけ、営業担当は21〜22時頃までの残業が常態化。各営業チーム同士の交流やチームメンバー同士の情報交換が実施されない“オレ流”の営業スタイルを各自実行していました。」(髙瀬氏)

「営業哲学、技術、ノウハウ、活動方針、そして顧客情報までもがバラバラの状態でした。これらを共有できる方法があれば、会社の売上も、社員の豊かさもアップするのでは、と感じていました。」(佐伯氏)

【導入時の目標】「普通の人が普通にやれば普通以上の成果があげられる仕組み」の構築

2016年5月にeセールスマネージャーを導入。「普通の人が普通にやれば普通以上の成果があげられる仕組み」を目指した。まず取り組んだのはプロセスマネジメントの水平展開だ。

プロセスマネジメントの推進

「結果に至るには然るべきプロセスがあります。そこで必要なマネジメントとは、結果や人間の管理ではなくプロセスの管理(プロセスマネジメント)であり、それにより結果を最大化することに注力しました。」(佐伯氏)

「優れたツールを導入しても、使う人のリテラシーが低ければ形骸化します。プロセスマネジメントの考え方の重要性を感じました。」(髙瀬氏)

【取り組み事例】プロセスマネジメントを推進する7つの実施項目

(1)営業プロセスの設計

まずは営業プロセスを細かく分解。顧客にアプローチをするための事前準備から契約し、初回納品後のアフターケアまでのプロセスを設計。

(2)活動内容の細分化

新規アプローチからヒアリング、既存顧客への活動、アプローチ内容(電話、メール、訪問)など活動内容も細分化。(現在の項目数は全100項目)

「どんなお客様に、どんな手法でヒアリングを実施したのかをファクトベースで定量的にカウントしていくと、どのような営業活動をしたときに、どれだけの成果につながったのか“勝ちパターン”が見えてきます。」(髙瀬氏)

(3)活動登録ルールの設定

・eセールスマネージャーを活用した計画的な活動
・次のアクションは商談におけるゴール・目的と具体性を伴った5W1Hを反映
・時間の使い方を可視化するためにも、事務作業も活動登録
・誰が見てもわかるように記入

「セルフマネジメントの観点で、論理的な表現・思考の訓練にもなります。これは将来、マネジメント層になったときに必要なスキルです。」(髙瀬氏)

(4)各プロセスにおけるKPI設定

プロセスを分解し、ファクトを集積することで、実現性の高いKPIを設定する。
実績をもとに設定されたKPIによって、何をどれだけするべきか明確になる。

「今期2021年はコロナ禍にも関わらず、創業以来、過去最高の新規獲得軒数を達成しました。eセールスマネージャーを導入以降、毎年ファクトが集まるほどKPIの精度は高まり、営業成果につながります。ファクトの集積はeセールスマネージャーなしでは実現できなかったと感じています。」(髙瀬氏)

(5)CAP会議の導入

CAPは次の頭文字を意味する。
・C(check):実行結果を振り返る
・A(action):次にすべきことを考える
・P(plan):具体的にどうやって、いつやるか、5W2Hでスケジュール反映する

「当時CAP会議を導入したときは「そもそもCAPとはどういう意味か」から始まりました。そこでマネージャー達と認識を揃えるために言っていたのが『CAP会議終了後、そのミーティングルームを出るとき、やるべきことが明確になっている状態にすること。そうでなければ、そもそも会議をする意味はない』と常に言っていました。」(髙瀬氏)

(6)WBS作成

各プロセスにおける営業テクニックをまとめた営業マニュアルの役割を担うWBSを作成。

「今や、なくてはならない存在です。作成には手間も労力もかかりましたが、かつては属人的だったトップセールスの工夫を一つにまとめることで、“このプロセスを踏むことで成果が出やすい”という型を共有することができました。これをつくるときには、ソフトブレーン様のセミナーを受講し、WBSを採用するメリットを理解するところからはじめました。」(髙瀬氏)

(7)定着させるための活動

マネジメント層による講義形式のティーチングをはじめ、WBSの勉強会、プレゼン形式のトレーニング、チームやプレイヤー同士のCAP会議、ロールプレイングなどを実践。

「足りない部分をWBSと照合しながら、ロールプレイングを実践することで、フィードバックの質が格段に上がりました。また定着させるために、根気強くマネージャー側が働きかけるようにしていました」(髙瀬氏)

【導入後の成果と今後の展望】導入前の売上と比較し125%を実現

1マス当たりの平均売り上げは、導入前の2016年度と比較し125%を実現。

今後の展望について、次のように語る。
「新規顧客獲得以外にもCRMツールとして活用することで、LTV向上につなげていきたいと考えています。さらに、飲食店での成功事例から新しいWBSを構築することで、新しい客層の開拓を目指しています。」(佐伯氏)

「今後は営業組織だけではなく、あらゆる部門においてeセールスマネージャーの理解が必要になってきます。新規客層の開拓においては、商慣習やニーズが異なる領域への挑戦になるため、ゼロベースでWBSを作成していくことも課題になってくると見ています。」(髙瀬氏)

まとめ

ソフトブレーンと協力体制を築くことで得られた成果ポイント

(1)単にシステムを変えるだけでなく、プロセスマネジメントの考え方を定着
(2)セールスプロセスを、詳細にKPI設定して可視化
(3)営業会議のやり方を変え、定着させるためにマネージャーが徹底的に関与
 上記によって導入前と比較し、平均売上125%を実現

セールステックを軸にした営業DX戦略に欠かせない『プロセスマネジメント』

eセールスマネージャーの導入後、プロセスマネジメントの考え方を組織に定着させたプレコフーズ。プロセスマネジメントでは、詳細にKPI設定をして目標を達成することが重要であると同時に、生産性の向上には営業担当ひとりひとりの成長も不可欠だ。

「WBS作成を通じてトップセールスのテクニックを1つのフォーマットに落とし込むことで、チーム指導に活用できるようになりました。」と髙瀬氏は語る。

セールステック(CRM/SFA)という手段を目的化せず、会議のやり方を見直し、定着のためにマネジメント層が関与しながら改善を繰り返し、最適化をはかったプレコフーズ。
同社における営業DX戦略はソフトブレーンと協力体制を築くことで得られたとも言える。
プレコフーズの成功事例は、営業DXに課題を抱える企業のみならず、プロセスを改善することで業務効率・生産性向上を目指すあらゆる組織に共通するだろう。

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