「アポ取り」を成功させる準備力4つのポイント
新規顧客を獲得するために営業マンが行う最初の行動は「アポ取り」です。
「アポ取り」が成功するとはどういう事でしょうか?
それは、アポ取りがきっかけで会社の売上に繋がり、会社が掲げる予算を達成した時です。
「アポ取り」がうまくいかないケースは大きく2つあります。
- 新人が何を話したらよいか分からずにリストを無駄にしてしまう。
- 先輩社員はアポ取りできるが、後輩に教えられずに部下のアポ取得率があがらない。
これらの課題を解決するため策はズバリ「準備」です。
下の図を見てください。これは、当社が準備を徹底して行った結果です。
206%までアポ率を向上することができました。
今回は、「アポ取り」が成功するためにどのような準備をすればいいのか、具体的にご紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
1.アポ取りの準備の準備 その(1)
準備の準備とは、誰もが実行できる環境を整えることです。
新入社員が技を盗んでくれるのを待っていては時間がいくらあっても足りません。
まず最初にアポ取りするまでに、しなければならないことはなんでしょうか。
電話する前に準備することを例にあげて考えてみましょう。
- 顧客企業を調べる
- 顧客の業界動向を調べる
- 顧客担当者を調べる
- 流入のきっかけを調べる
- 顧客の課題を探る
- 顧客の課題から想定される自社のアピールポイントを考える
電話をする前の準備を少し考えただけで、6つも出てきます。
中身を見ると当たり前の事ですし、こんな事ぐらい自然にやっているよと思える内容です。
しかし、この6つの当たり前の事を、全員が確実に実施できているかというと、実は出来ていないケースが多いです。
一つ一つは簡単な内容ですが、一つでも抜け落ちてしまう事によるアポ率への影響はとても大きいものです。
そのために各プロセス毎に「やる事」を明確化して業務を標準化していきましょう。
誰もが実践できる環境を作る事で「準備の準備 その1」は完了です。
2.アポ取りの準備の準備 その(2)
前項ではプロセス毎に何をしなければいけないかを明確にしました。
本項では「準備の準備 その(2)」として前項で定めた内容を実践するための中身を考えていきましょう。
代表的な例として、顧客に電話をするフェーズを例にしてご紹介します。
電話をするというフェーズの実行項目は・・・
- 発信番号、会社名、部署名、名前を確認
- 顧客へのヒアリング
- 顧客へのニーズ喚起
- アポ打診
- 日程調整
- 終話
この実行項目で特に問題になってくるのは「2」と「3」です。
ある程度の社会人経験を積んだ方なら問題ないですが、新人や異業種から入社してきた方にとっては何を話せばよいかも分かりませんし、場合によってはまともに会話が成立せずに相手を怒らせてしまう事にもなります。
教える側も似たような体験をしてきているので、上手に教えてあげられないというケースもよく聞いています。
それを解消するためにはツールを整備する必要があります。
ここで必要なツールは誰でも「ヒアリング」と「ニーズ喚起」が出来るような「トークスクリプト」です。
私の会社では大きく分けて4つの顧客流入があります。
- 自社ホームページ
- 他社Webメディア
- セミナー
- DM
少なくとも「ヒアリング」と「ニーズ喚起」を行うためのトークスクリプトはこの時点で最低4つは必要です。
当社では各流入毎に全体のトークスクリプトを作成しています。
その中で「ヒアリング」と「ニーズ喚起」のトークを更に分解していきます。
具体的に何をするかと言うと、アポ取りができている営業マンのトークを文書化することから始めます。
文書化したものの中から、ヒアリング、ニーズ喚起等にトークを分類してトークスクリプトに組み込んでいきます。
ここで大事なのは1種類作って満足してはいけないという点です。
実際に使っているトークは同じように見えても実際は違うのです。
アポ取りが出来る営業マンのトークは顧客の特性にあわせてトークの切り口やキーワードを変えながら「ヒアリング」や「ニーズ喚起」をしています。
代表的な分類方法は、問合せしてくれた方の所属部署によって切り分けるという方法です。
「営業部バージョン」、「情報システム部バージョン」、「管理部バージョン」などご自身の会社に問合せていただく事が多い部署のトークスクリプトを作っておくと、とても便利です。
いかがでしたでしょうか。ここまでが「準備の準備」です。
ここまでで、ご紹介してきたことは属人的になっていた事を誰にでも出来るように標準化をして環境を整えてあげる事が最大の目的です。
これを行う事により、指導する側も教わる側も理解と習熟のスピードが倍以上違ってきますので、是非実践してみてください。
3.アポ取り準備 その(1)
ここからは「実践編」です。
「1」と「2」でお伝えした内容の整備ができたからといって、昨日入社した新人がすぐに上手に顧客フォローができるかというと違います。
指導する側、教わる側の理解や習熟のスピードを加速させるために道しるべを作ったにすぎません。
ここからは、実践するためにどうしたらよいかを紹介します。
できるようになるまで「練習」です。ひたすら「練習」です。
自分自身に腹落ちするまで練習して、よどみなく「ヒアリング」と「ニーズの喚起」が行えるようになるまで練習を行います。
よく、「型破り」な営業スタイルでトップセールスになったという話を聞きます。
「型破り」とは「型」ができた上で、その殻を破って進化させることを指します。
ここでいう練習とは「型」を作る練習です。
「準備の準備」で作りあげたものは練習をするためのツールでもあるわけです。
最初に「型」を作っておけば、後はリアルなお客様相手に実践しながら経験値を高めていくことができます。
4.アポ取り準備 その(2)
その(2)として目標をしっかりと定めることが重要です。
ただ1ヶ月30件という目標を定めるだけでは意味がありません。
私の会社で実践している方法を、ご紹介します。
- 目標を設定。仮に月に20件としましょう
- 20件獲得するために必要な時間を試算
アポ率が10%で1時間あたりに電話できる件数が10件の場合は20件÷10%÷10件=20時間をアポ取りに費やす必要があります。 - 20時間の予定を月初にスケジュールとしてセット
- 不足があれば追加でスケジュール登録
仮に20営業日あった月だった場合で1日1時間の電話時間を確保していたが、ある日は別予定が入って電話できずにアポ取りできなかった場合は新たにスケジュールに追加して自身の進捗をコントロールしていきます。 - デイリーで上長に報告
このルールを追加しておけば、自分の配下にいるメンバーの状態も即座に把握ができるようになります。
5.まとめ 事業活動をさらに加速させるために
今回、わたくしがお伝えしたい事を、一言で表すと「アポ取りを標準化して営業マンに「型」をつけさせる」です。
最後に、これまでお伝えしたことを踏まえて、私が働いている会社で行っていることを、もう一つだけ、お伝えしたいと思います。
私の会社の営業マンはアポ取り業務はやっておりません。
なんで?と思われている方にお答えいたします。
実は「分業」を行っており、アポ取り業務選任のスタッフを配置しています。
しかも、アルバイトにも行ってもらっていますが、アポ率と獲得件数は落としていませんし、むしろ上がっています。
営業マンはアポ取り業務に費やしていた時間を顧客と接点を持つ時間に変換できるので万々歳です。
営業マンのように商品知識があるわけでもないのに、なぜそのような事が実現できたのか?
ここまで読んでいただいたかたでしたら、もうお分かりですね。
誰にでもできるように「準備」をしたからです。
現代の世の中に置いては「段取り八分」ではなく「段取り九分」と言ってもよいかもしれませんね。