定着しない社内SNSの理由とは?成功事例から学ぶ社内SNS成功の分岐点
多くの人がFacebookやTwitterなどのSNSを利用している今、セキュアな社内SNSで企業内でのコミュニケーションを活性化し、これまで以上に情報共有を円滑にしたいと考えている企業が増えています。
しかし、実際に導入しても活用しきれていないという声もよく耳にします。
個人で利用しているSNSと違い、なぜ社内SNSは活用、定着しないのでしょうか。
今回は、社内SNS導入がうまくいかない理由について紐解きながら、上手に活用するための仕組みづくりのポイントについて詳しく解説します。
導入した社内SNSがうまくいかないのはなぜ?
社内SNSを導入する目的は様々ですが、よく耳にするのが、社内での情報共有をうまく行い、コミュニケーションを活性化して多くの社員に気づきを与えるなど、いわゆるナレッジを高めるために導入するといったものです。
従来、社内での情報共有には、営業日報を作成して上司と日々の活動を共有する手法や、会議の場で複数の営業マンの活動を全員で共有する手法がありました。
また、他部門間においてはメールや電話、ミーティングなどを通じて情報を共有しています。
しかし、せっかく日報を提出しても上司からのフィードバックがなかったり、他部門との情報共有が迅速に行われず、情報の伝達漏れが出るなど、うまく情報共有のためのコミュニケーションが成立できないというケースも少なくありません。
以下の図で社内コミュニケーションの実態を例示してみました。あなたの会社にも当てはまるものがいくつかあるのではないでしょうか。
こうした課題を解決するための策として、社内SNSを導入する企業が増えています。
しかし、社内SNSをせっかく導入したにもかかわらず、その利用率は20%を下回っているという調査結果が報告されており、社員の間で活性化せずに定着していない実態が明らかになっています。
個人的にFacebookやTwitterを利用している方であればイメージしやすいかもしれませんが、ご自身がフォローしている知り合いで日々情報を更新している人はどれだけいるでしょう。
積極的に情報を書き込んでいるのはおそらく全体の20%にも満たず、そのほかの人は“閲覧するだけ”、あるいはアクセスもしていないという状況のはずです。
これは社内SNSであっても同様のことなのです。
では、定着化しづらい社内SNSの特長を具体的に挙げてみましょう。
一般的なテキスト情報を投稿する社内SNSの場合、いつも同じ人が投稿しており、その内容が感想文のようなケースが散見されます。
また、そもそも利用者が何を投稿していいかを理解しておらず、仕事で使うものだから「下手なことは書けない」という心理的な壁が投稿しづらい状況を作り出しています。
逆に、目的が明確でないことで一部の社員間の「プライベートなツール」になってしまうケースもあります。
せっかく投稿された内容も文章ベースであるために表記揺れが起こり、検索しても見つからないという状況に陥っている企業も多く見られます。
これでは、社内SNSを導入してもうまくいかないのは当然です。
成功する社内SNSとは?
社内SNSを定着させ、情報共有の基盤としてうまく活用するためには、まずは社内SNS導入の目的を明確にする必要があります。
「誰(どの部門)」が「どんな目的」で「どの部門」と「どんな情報」をタイムーに共有したいのかをはっきりさせておきましょう。
それぞれの目的がきちんと達成できる仕組みが非常に重要になってきますが、そもそも目的があいまいなままに導入してしまうことで利用率が上がっていかないのです。
こうした目的に沿った仕組みであれば、「積極的に利用しよう!」とはっぱをかけることなく、自然発生的に情報共有が行われていくはずです。
そこで有効なのが、報告のための形式やタイミング、部門にこだわらずに利用でき、自動で情報を共有できる機能を持つ社内SNSです。
普段の活動報告と自動連動した上で、関係部門の担当者に拡散される“業務報告連動型の社内SNS”という仕組みです。
これには、一般的な社内SNSにはない顧客情報や履歴情報を紐づけた形で自動投稿される仕組みが備わっているのが特長です。
下記はその仕組みを持つ社内SNSのタイムライン画面です。
活動を報告すると、同時に事実情報を共有すべき担当者に発信する「タイムライン機能」を備えた社内SNSは、システムが自動的に情報を展開してくれるので、投稿者が意識することなく情報共有が行えます。
投稿者は普段の活動報告を登録するだけなので負担がかかりません。
また、共有される情報は活動報告の項目がベースなので、表記揺れもなく、必要に応じて簡単に検索することもできます。
これにより、関係者全員に必要な情報を“見せる化”できるようになります。
情報が投稿されるとPUSH通知され、アイコンバッジにも表示されるので、自分宛に投稿が届いたことが一目でわかります。
その結果、部下のタイムラインに対する上司からの既読返信率が大幅に向上。
部門を超えて情報が共有されるので顧客への対応が迅速になり、満足度向上にもつながります。
また、活動情報に案件や顧客情報が紐づいた形で展開されるので、スピーディーで正確な状況把握が可能になり、改善や前進するための具体的なコミュニケーションがこれまで以上に活発になるはずです。
これは、「業務報告連動型社内SNS」だからこそできることなのです。
実例に学ぶ!正しい社内SNS活用とその効果
ここで、業務報告連動型社内SNSを利用した企業の事例を紹介しましょう。
担当営業マンに顧客から質問があり、社内のエンジニアに確認しないと回答できないシチュエーションです。
業務報告連動型社内SNSを導入する以前、営業マンは商談時に顧客から質問された内容を会社に戻ってから日報という形で上司に報告していました。
翌日、それを見た上司はエンジニアに相談してみるように担当者にアドバイス。
担当者はスケジューラを見ながらエンジニアとのスケジュールを調整し、空きのある3日後にミーティングを行うことが決まります。
3日後のミーティングでは、案件情報や顧客担当者とのやり取りなど詳細な情報を説明、相談した上でエンジニアから事例を紹介するようアドバイスをもらうことができました。
そして翌日、ようやく顧客に資料を送ることができたという流れです。
このタイムスケジュールでは、5営業日後にようやく顧客に回答できたことになります。
これでは顧客の要求に迅速に対応できたとは言えません。
日報づくりだけでなく、上司との相談時間、スケジュール調整、エンジニアとのミーティングなど、改善できるプロセスが多々あるように見受けられます。
そこで業務報告連動型社内SNSを導入すると何が変わるのでしょうか。
商談が終わった時点で活動報告をスマートフォンで入力すると、商談情報や顧客情報が紐づいた形で上司やエンジニアを含めた関係者全員のタイムラインに相談内容が投稿されます。
そのプッシュ通知を受け取ったエンジニアはフィード内容を確認し、すぐに適切なアドバイスをタイムラインに書き込みます。
また、上司は案件進捗を的確に把握し、関連する人脈情報も確認した上で自身がアポイントに同行するタイミングであると判断、担当営業マンに次の明確な打ち手を提示します。
上司の指示を受けた担当者は、顧客への回答とともに上司が次回同行したい旨を伝え、スケジュール調整依頼をすることで、次につながる具体的なアクションを起こすことができました。
この「次の打ち手」につなげるまでの時間はわずか30分あまり。案件を確実に前に進めながら、素早いレスポンスで顧客の要求に応えることができた好例です。
そのほかにも、業務報告連動型社内SNSのタイムライン機能を活用することで、定量的な効果を算出した企業があります。
以下の事例効果の上位を見ても、社内SNSにおけるタイムライン機能が有効に働いていることが見て取れます。
例えばマネージャーからのフィードバックを見ると、以前は1日かかっていたものがわずか5分という短い時間でレスポンスが返っています。また、他部署との情報共有もわずか数分で終わるようになっています。
ただし、タイムライン機能を使うことでコミュニケーション量が減るわけではなく、1日の間でコミュニケーションする回数は倍に増えているという結果も(4位参照)。
これは、活動履歴や案件・顧客情報が紐づいた形で具体的な活動内容がタイムライン上に次々に表示されるため、自然と確認のためのコミュニケーションが増えるという良い効果を生み出しています。
定性的に“情報共有”が進み、社内SNSが活性化されたという印象だけでなく、定量的な効果として社内SNS導入の効果が示されています。
重要なのはフローで見る活動情報とストックされている案件・顧客情報
世の中には社内SNSツールが数多くあり、それぞれメリットをアピールしていますが、上記のように効果を生むためには、何が必要なのでしょうか。
実は、テキスト情報が単純に流れていくタイムラインでは効果的な運用は困難です。
本当に必要な機能は、顧客情報や人脈情報、案件の進捗情報といったCRM/SFAなどにストックされている情報が、フローとして流れるタイムラインにきちんとリンクして表示される機能です。
特定顧客についての相談をタイムラインに流しても、「それが何の案件なのか」「どんな進捗状況にあるのか」「先方の担当者は誰なのか」「競合はどこなのか」といったことが活動報告と密接に連携されていなければ、上司や関連部署が適切なアドバイスを返すことはできません。
だからといって、別のタイムラインを使って膨大な情報を書きこむと、見読性は悪化し、結局は使いづらい・使われないツールになってしまいます。
情報の洪水に飲み込まれないためには、案件の規模や担当者ごとにフィードする情報をきちんとフィルタリングできる機能も必要不可欠です。