働き方改革を推進!企業の成長を後押しするポイントとは?
2019年4月から施行された働き方改革関連法により、多くの企業で働き方の見直しが実施され、ワークライフバランスに配慮した職場環境づくりなどのさまざまな取り組みが行われています。しかし、働き方改革の実現は一筋縄ではいかず、苦労する会社も多いようです。
本記事では、働き方を見直すべき理由や、改革を進めるポイントなどについてお伝えします。働き方改革の進め方にお悩みの経営者や管理者は、ぜひ参考にしてください。
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広がる働き方の見直し!その理由とは?
働き方の見直しは、企業が直面する喫緊の課題です。以下は、その代表的な理由です。
- 少子高齢化による働き手の減少
- 労働生産性をアップして業績を上げ、厳しい競争に勝ち抜く必要性
- 出産や育児との両立の支援
- 家族への介護など、多様化するライフステージへの対応
- 働き方改革関連法に代表される法令への対応
働き方の見直しに関する詳細、働き方改革を推進するメリットは、以下の記事で解説しています。
参考:働き方改革とは?目的や背景・企業の事例をわかりやすく解説
新しい働き方に変えよう!見直す6つのポイント
働き方改革を実現したい企業には、取り組むべきポイントが6つあります。それぞれのポイントを踏まえて新しい働き方に変え、従業員の満足度向上と業績アップにつなげましょう。
業務の標準化を進める
業務の標準化により、「特定の担当者しかできない業務」が「誰でも一定レベルまでは遂行できる業務」に変わります。
マニュアルにもとづく業務の遂行は、代表的な方法です。担当者が不在でも代役を立てやすくなり、業務を止めずに済むため、顧客満足度もアップするでしょう。確立した手順で業務を進められるため、試行錯誤の手間が減り、無駄な残業が減る、というメリットも見逃せません。
マニュアルは、読み手の立場で作成することが重要です。以下の点に注意して作成することで、円滑な業務の遂行に役立ちます。
- 手順を省略せず、ていねいに説明する
- 新入社員でも理解できる用語で記載する
- 複雑な作業は画像などを使って理解を助ける
ムリ・ムダ・ムラや、無駄な残業をなくす
仕事はできるだけ少ないコストで、求める成果を得ることが重要です。加えて、スケジュールを遵守し、安定した品質で成果物を提供しなければなりません。以下のような仕事の進め方ではコストがアップし、業務に携わる関係者も疲弊してしまいます。
- 「うまくいく」ことを前提とした、無理なスケジュールの提示
- 必要以上の品質へのこだわり
- 目的が不明な業務
- 従業員の健康に関する配慮の無さ
- 残業や休日出勤を美徳とする文化
- 機器のメンテナンスの軽視
- 労働時間の管理不足
これからの時代は仕事の「ムリ・ムダ・ムラ」を排除し、生産性をアップして無駄な残業をなくすことも重要です。CRMやSFAの導入により、業務の実績や成果、労働時間を可視化することも有効です。以下の記事も参考にしてください。
参考:働き方改革には生産性向上が不可欠!メカニズムや意味、実践方法を徹底解説
業務の割り振りを適切に行う
ビジネスをスムーズに進めるためには、業務を割り振る方法も重要です。以下のポイントを踏まえて、適切に割り振りましょう。
- 担当者の能力を考慮し、適材適所を意識する
- 仕事の負荷ができるだけ均一になるよう工夫する
- 担当者の成長につながる業務割り振りを行う(1つ上のレベルの仕事を割り振る)
「できる人ほど忙しい」状況を作り出すと、成長へのモチベーションが上がりません。能力が上がるほど、ワークライフバランスの実現から遠ざかるためです。
能力の高い担当者は、難易度の低い業務を他の担当者に任せることで業務の負荷を下げられます。「特定の従業員が長時間労働を強いられる」という事態を避けられるとともに、組織全体のレベルアップや働き方改革も進むでしょう。
円滑なコミュニケーションを実施する
円滑なコミュニケーションも、働き方の見直しで挙がる項目の一つです。上司への報告や部下への指示、他部署へ協力を仰ぐときは、できるだけ内容を明確にして伝えるとスムーズです。
明快な表現は、認識の相違を防ぎます。意図した内容が正確に伝わるため、不具合や不都合な事態の発生、やり直しなども減るでしょう。能力を存分に発揮でき、業績向上に貢献することも望ましい成果の一つです。
一方で、あいまいな表現で伝えると、確認作業などのコミュニケーションコストが増えます。認識の相違に起因する不都合も起こりやすくなるでしょう。円滑なコミュニケーションの重要性については、以下の記事も参考にしてください。
参考:働き方の変化が企業を成長させる!労働者不足解決の方法とポイントまとめ
会議の進め方を工夫する
会議は、無駄が指摘されやすい業務です。何も結論が出ないまま終わったのでは、時間を割いて会議に出席した意味がなくなってしまいます。有意義な会議にするためにも、以下の項目を押さえたうえで進めましょう。
- 会議の目的とゴールを明確にして、出すべき結論をしっかり出す
- 出席者は必要かつ十分なメンバーに抑える
- 会議の時間は可能な限り短縮する
- 必要な資料は事前に共有し、各自で熟読してもらう
上記の項目を踏まえて進めることで、内容が濃く、実りある会議を実現できるでしょう。
「しっかり働き、しっかり休む」企業風土をつくる
生産性の向上には、残業時間の削減も重要です。「遅くまで働く従業員よりも、定時までにやるべき仕事を済ませて成果を上げる従業員が優秀」という意識を共有し、「しっかり働き、しっかり休む」企業風土をつくりましょう。プライベートや家庭事情への配慮も重要です。
この施策により、従業員のモチベーションがアップします。時間当たりの生産性も上がるため、業績のアップも期待できるでしょう。
働き方の見直しを実現する4つのステップ
働き方の見直しは、手順を踏んで行うことが成功のコツです。4つのステップに分けて、見直しの進め方を確認していきましょう。
ステップ1:現状の問題点の把握
働き方の見直しを成功させるためには、問題点の正しい把握が必須です。多角的な視点で、漏れなく把握しましょう。
可能であれば経営者、管理職、担当者、取引先それぞれにヒアリングを行い、意見を聞くことが重要です。アンケートの形で、日ごろ感じている課題を求める方法も有効です。
ステップ2:課題の抽出
把握したさまざまな問題点を整理し、課題を抽出しましょう。同じような問題点は、1つの課題にまとめられます。
なかには「従業員個人の問題」と思われる問題点も挙がるかもしれません。その場合でも、とりあえずは課題の一つとして認識しておきましょう。
特に、多くの従業員が問題点として寄せてきた場合は、一見すると個人の問題と思われるようでも組織に潜む課題があるものとして考える必要があります。
ステップ3:解決策の検討と立案
課題がひととおり挙がったら、解決策の検討と立案に移ります。挙がってきた課題は、すべてが働き方の見直しに関するものとは限りません。加えて、一度にすべての課題に対して対策を取れないケースも多いでしょう。
それぞれの課題は以下の項目を踏まえて優先度をつけ、課題の解決と働き方の見直しにつなげることが有効です。
- 解決した際の効果
- 解決に要する時間
- 解決に必要なコスト
- 法令に抵触する可能性
「効果が高く、短時間で成果につなげることができ、コストも少ない」課題は、まず選ばれるべき項目といえるでしょう。また、効果が少なくコストが高くても、法令に抵触する課題は最優先で解決しなければなりません。
ステップ4:解決策の実行と効果のチェック
解決策を策定した後は社内に周知したうえで、現場で実行して効果をチェックしましょう。実行した結果、思った以上の成果をあげる場合もあれば、期待する成果があがらない場合や逆効果となる場合もあるかもしれません。
実行後は、定期的に成果をチェックしましょう。新たな課題があれば原因を追求し、対策を施してください。施策のチェックと改善を繰り返すことで、より良い働き方を実現できます。
代表的な「PDCAサイクル」「OODAサイクル」については、以下の記事で紹介しています。
働き方改革を成功させる3つのポイント
働き方改革の成功につながるポイントは、3つあります。それぞれのポイントの重要性や行うべき内容はなにか、詳しく解説します。理解したうえで実行し、より良い職場と業績アップを実現してください。
経営陣や幹部の「働き方改革を成功させる」という覚悟
働き方改革はしばしば、全社にわたる改革となります。成功させるためには、経営陣や幹部が先頭に立ち、「働き方改革を成功させ会社を変える」覚悟が必要です。企業はトップの意思によって動く面も多いため、覚悟は心の中だけにとどめず、社内に宣言しましょう。
これにより、会社としての意思を表明できます。「トップの方針である」という文言により、働き方改革に懐疑的な従業員にも協力してもらえるでしょう。全社一丸となった取り組みにより、労働環境と業績の改善を実現できます。
従業員の意識改革
従業員の意識改革も、働き方改革の成功に重要なポイントです。なぜなら、現場で汗を流し、目標に向けて努力を重ねているのは、個々の従業員であるためです。働き方改革の実現には、従業員の協力も欠かせません。
みずからにベネフィットがあるとわかれば、協力を得やすいものです。業績のアップや所属部署の発展につながるといった企業の事情だけでなく、以下のように従業員がメリットを感じやすい項目も伝えましょう。
- 給与や賞与のアップにつながる
- ワークライフバランスを実現でき、働きやすくなる
- より良い福利厚生を得られる
ツールを積極的に活用して業務効率化を実現する
働き方改革の実現には、機械やツールの積極的な活用による業務効率化も重要です。従業員は、人間が対応して効果をあげる業務に集中的に配置しましょう。機械やツールに任せられる業務は積極的に機械化して工数を減らすことも、業務効率化につながります。
CRMの導入は、有効な手法の一つです。導入方法や使い方のポイントは、以下の記事をご参照ください。
働き方改革で業績とモチベーションの向上を実現
働き方改革は、企業にも従業員にもベネフィットをもたらす施策です。より少ないコストでより高い業績を狙えること、従業員を増やさなくても済むこと、従業員のモチベーションを高められることは、主なメリットといえるでしょう。
ワークライフバランスの向上により、働く時間はより少なく、給与はより多くといった結果を実現できるかもしれません。
働き方改革は、関係者の協力を得たうえで進めることが重要です。直面する課題の解決に向けて、以下の記事でわかりやすく解説しています。働き方改革の推進に役立ててください。